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実は底堅い日本株 考えられる3つの要因 “世界同時引き締め”からの逃げ場に?

5/22 19:35 配信

THE PAGE

 米国株式市場に比べ、日経平均株価は意外に堅調だとの見方があります。これをどう考えればいいのか。第一生命経済研究所・藤代宏一主任エコノミストに寄稿してもらいました。

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 日本株の相対的な底堅さが注目されます。年初来の変化率(19日時点)は日経平均の▲8.2%に対して米S&P500種指数が▲18.1%、NASDAQが▲27.2%であり、特に4月以降は日本株の相対的優位が目立ちます。背景には(1)円安による日本企業の収益押し上げ期待、そして(2)グローバルに見た場合の日本のマクロファンダメンタルズの方向感があると考えられます。また先進国でほぼ唯一、(3)中央銀行が緩和姿勢を維持、むしろ強化している点も重要です。

(1)円安による日本企業の収益押し上げ期待

 まず(1)の円安については、輸入物価の押し上げを通じて個人消費を圧迫するとの指摘が多く、そのプラス効果に疑問が持たれており評価は難しいのですが、対象を「日本株」に限定すればプラスである可能性が高いと考えられます。国内総生産(GDP)に占める製造業のウェイトが2割に過ぎないものの、円安の恩恵を享受しやすい製造業は日本株の約6割を占めます。言うまでもなく、株価指数は大企業の集合体ですから、大企業製造業に偏重した株価指数に円安の恩恵が強く発現するのは当然でしょう。

 なお、19日に発表された4月の貿易統計によると、輸出金額は前月比+1.0%の7兆6295億円となり過去最高を更新。原数値の水準は過去2位、4月としては1位でした。通関時に適用されたUSD/JPYは122.8、前年比12.1%の円安でしたから、円安による売上高の嵩上げ効果が強く発現した形です。3月下旬以降の円安進行と時を同じくして日本株の底堅さが目立つようになったのは、単なる偶然ではないと筆者は考えます。

(2)日本のマクロファンダメンタルズの方向感

 次に(2)マクロファンダメンタルズの方向感が上向きである点も大きいと考えられます。米国は高インフレに直面し、消費者マインド(ミシガン大学調査)はリーマンショック時のボトムに接近しています。GDPの約7割を占める個人消費の先行きは心もとない状況にあり、景気減速懸念が強まっています。そして欧州はウクライナ危機の影響が色濃く発現し、景気の息切れ感も強くなっています。企業景況指数(PMI)はサービス業が回復基調にある反面、製造業は低下に歯止めがかかっていません。サプライチェーン問題、エネルギーコスト上昇が経済活動を下押ししているのは明白です。

 他方、日本は速報性と予測精度に優れた景気ウォッチャー調査が改善傾向にあるほか、PMIも上向き基調にあります。特にサービス業PMIは欧米との格差縮小を伴っている点で方向感の良さが目立ちます。

(3)中央銀行が金融緩和姿勢を維持・強化

 また(3)の中央銀行の政策スタンスも重要です。米国の連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ退治が最優先課題となっており、株価の下落に配慮する余裕はありません。マイナス金利導入の「盟友」であるユーロ圏は、7月の欧州中央銀行(ECB)理事会における利上げが現実味を帯びています。

 現在の市場金利は7月ECB理事会における0.3%の利上げ実施を織り込み、年末までに(現在▲0.5%とされている)マイナス金利の撤回を想定した水準にあります。そうした折、18日はレーン・フィンランド中銀総裁が「比較的早期にマイナス圏を脱却し、段階的な金融政策正常化のプロセスを継続することが必要に思われる。それが私個人の見解だ」とした上で「私だけではない。ECB政策委員会の私の同僚の多くが示唆していることでもある」として、金融市場の利上げ織り込みを追認すると、この発言を受けて欧州金利は上昇しました。

 このような政策スタンスの変化によって金融環境が緩和的でなくなりつつある中、欧州株は投資対象としての魅力が失われつつあります。その他では英国、オーストラリア、カナダなど先進国中銀が押し並べて金融引き締めを実施しています(例外はスイス中銀)。

 こうした世界同時引き締めをよそに日銀は金融緩和を強化しています。4月の金融政策決定会合で導入された「常設指値オペ」(10年物国債利回り0.25%で毎営業日買いオペ実施)は事実上の追加緩和であり、これは金融市場で度々浮上する緩和修正観測を徹底的に封じ込める意図が感じられました。こうした「封じ込め政策」は、世界同時引き締めからの逃げ場を探すグローバル投資家にとって魅力的に映るでしょう。

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※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

THE PAGE

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最終更新:5/22(日) 19:35

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