(ブルームバーグ): 「タイガー・カブ(子トラ)」として知られるヘッジファンド運用者たちは、同じハイテク株の急騰に乗って多額の運用益を上げてきたが、1-3月(第1四半期)にこうした銘柄が激しく売られた結果、ここ数年の利益が瞬く間に消失した。
彼らが有望視した銘柄の一部は一段安となり、悲惨な運用状況は4月から5月にかけても続いている。ハイテク株の比重が大きいナスダック100指数は今年に入り23%の大幅安を演じている。
タイガー・カブはタイガー・マネジメントの伝説的運用者ジュリアン・ロバートソン氏の下で勤務した経験を持ち、その後自らヘッジファンド会社を立ち上げたいわば門下生。タイガー・グローバル・マネジメントやローン・パイン・キャピタル、コーチュー・マネジメント、マーベリック・キャピタル、バイキング・グローバル・インベスターズと、バイキングからスピンオフし「タイガー・グランドカブ(孫トラ)」とも呼ばれるD1キャピタルが含まれる。
これらのファンドは最近、第1四半期末時点の米国株の保有銘柄変更を報告しており、以下のチャートは売却の幅広さと残る保有銘柄の状況を物語っている。ほぼすべてのファンドは、新規に取得した銘柄よりも清算したポジションの方が著しく多かった。そうした傾向が最も目立ったのはタイガー・グローバルで、83銘柄を手じまいした一方、新規取得は2銘柄のみ。
有望だと信じる値下がり銘柄を保有し続けるか、手放すか。株式相場の下方スパイラルが続く中でタイガー・カブが向き合わざるを得なかった問題だ。1-3月期にタイガー・グローバルとマーベリックはいずれも、オンライン中古車ディーラーのカーバナの保有拡大を選択したが、同社の株価は4-6月(第2四半期)にこれまで65%下落している。
タイガー・カブの少なくとも半数が保有する銘柄のパフォーマンス下位13銘柄のうち、タイガー・グローバルとマーベリック、コーチューは5銘柄を保有ないし買い増した。
タイガー・カブと呼ばれるこれらのファンドは長年、同じ銘柄もしくは同種の銘柄を買い増したり、売却したりすることで知られたが、最近のデータでは各ファンドの違いも示されている。
例えばマイクロソフト株を半数のファンドが購入した一方で、残るファンドは売却した。ショッピファイかメタ・プラットフォームズを売却したファンドは3社で、残りのファンドは買い増しもしくは保有を維持した。
そして、これらのファンドが新たな賭けで4-6月(第2四半期)に命運が変わると期待していたとしても、今のところそれは実現していない。各ファンドが1-3月期に新たに取得した2大ポジションは3月31日以来、いずれも値下がりしている。
原題:
Hedge Fund Hell: How the Tech Crash Is Clobbering the Tiger Cubs(抜粋)
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最終更新:5/19(木) 14:25
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