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「定期賃貸借契約」を結ぶには? 注意点を学ぶ《楽待新聞》

5/18 19:00 配信

不動産投資の楽待

今回の記事では、「定期賃貸借契約」を解説していきます。

実は、賃貸不動産経営管理士の試験で必須分野の1つとなっているのが、この「定期賃貸借」に関するものです。不動産投資家の方々でも、定期賃貸借契約を結んでいる物件をお持ちの方もいるかもしれません。あるいは、賃貸借契約の方法について、いろいろ思案している方もいるかもしれませんね。

少し複雑な印象を受ける定期賃貸借契約ですが、ポイントを押さえて、ご自身の賃貸経営にも生かせる知識を身につけていきましょう。

■「更新しない」と定めた建物賃貸借契約

定期建物賃貸借とは、借地借家法38条に規定する建物賃貸借で、入居者との間で取り決めた期間が経過すると、「更新することなく終了する契約」をいいます。

普通の建物賃貸借契約では、借地借家法にある更新や解約、契約期間等の規定に反する特約を定めても無効となります。定期建物賃貸借の要件を満たすことで、更新がない旨の特約も有効となる点がポイントです。

借地借家法によりほぼ自動更新するような普通建物賃貸借だと、実質的に賃料も上げられずに長期にわたって建物を貸すことになります。古くなった建物を建て直したり、リノベーションしたりすることもできず、住宅の質の低下を招いておりました。そのため、これらの課題を解消しようと、定期賃貸借契約が2000年に導入されました。

■更新しない建物賃貸借契約を締結するための方法

賃貸人は、あらかじめ書面を交付の上、賃貸借に更新がなく、期間の満了によって終了する旨を、賃借人に対して口頭で説明しなければなりません。この書面は、契約書とは別個独立の書面でなければなりません。たとえ賃借人がその契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により終了すると認識していたとしても、です。

この説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは無効となります。

なお、定期賃貸借契約を結ぶ際には、公正証書などの書面によってしなければなりません。必ずしも公正証書による必要はありません。

ちなみに、「重要事項説明」(宅地建物取引業法第35条)は 仲介業者としての宅地建物取引業者が行うものですが、これに対して、「定期建物賃貸借契約を結ぶ前に書面を交付して行う説明」(借地借家法38条)は賃貸人自らが行うものであり、それぞれ説明すべき主体が異なります。したがって、通常どおりに「重要事項説明」を行っただけでは、「定期建物賃貸借契約を結ぶ前に書面を交付して行う説明」をしたことにはなりません。

なお、仲介者が賃貸人の代理人として「定期建物賃貸借契約を結ぶ前に書面を交付して行う説明」をすることは否定されていません。

つまり、宅地建物取引士が重要事項説明する際に、同時に定期建物賃貸借の事前説明をすることもできます。ただし、オーナーから個別に事前説明の代理権を与えられている必要があります。媒介契約にその旨を記載するか、別に委任状を作る必要があります。

重要事項説明書面と事前説明書面を兼ねるためには、次の3つを同書面に記載する必要があります。

(1)本件賃貸借については、借地借家法第38条第1項の規定に基づく定期建物賃貸借であり、契約の更新がなく、期間の満了により終了すること。

(2)本重要事項説明書の交付をもって、借地借家法第38条第2項の規定に基づく事前説明に係る書面の交付を兼ねること。

(3)賃貸人から代理権を授与させた宅地建物取引士が行う重要事項説明は、借地借家法第38条第2項の規定に基づき、賃貸人が行う事前説明を兼ねること。

なお、後のトラブルを防止するためには、賃借人から、これらの説明を受けたことについて、記名押印を得ることが望ましいとされています。

■定期建物賃貸借の「通知」と「終了」

契約期間が1年以上の場合、期間満了の1年前から6カ月前までに、賃貸人は、期間満了によって契約が終了する旨を、賃借人へ通知しなければなりません。通知を不要とする特約は無効です。契約期間が1年未満の場合は通知は不要で、期間満了とともに契約が終了します。

なお、通知期間経過後に賃貸人が通知しても、通知の日から6カ月後に定期建物賃貸借は終了します。

■賃借人は定期建物賃貸借でも中途解約できる?

期間の定めのある賃貸借においては、当事者間の合意を以て中途解約権を特約として契約書に定めるなどをしない限り、期間満了前に一方的に契約を解約することはできません。

しかし、契約後の事情変更にもかかわらず賃借人が契約に拘束され賃料支払義務を負担し続けるのは酷です。そこで、借地借家法は、定期建物賃貸借に関して、一定の要件を備えることで、賃借人側から一方的に解約できる権利(中途解約権)を認めています。

具体的には、床面積が200平米未満の居住用建物であれば、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情によって、その建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となった場合、賃借人は、解約の申入れをすることができます。そして、申入日から1カ月後に契約が終了します(借地借家法38条6項)。

■賃貸人も定期建物賃貸借を中途解約できる?

では、賃貸人、つまりオーナー側も定期賃貸借契約を中途解約することはできるのでしょうか。

賃貸不動産経営管理士試験の公式の回答では「できない」というのが答えです。しかし、実はこの質問には正解はありません。

後記する2021年度の過去問は、おそらく、「定期建物賃貸借契約において、賃貸人に中途解約権の留保を認める旨の特約を付してもその特約は無効」とする裁判例(東京地裁判決平成25年8月20日)を元ネタに作ったものと思われます。

ただ、この点に関しては、1)定期建物賃貸借であっても貸主側からの中途解約権を留保する特約は有効であるが、普通の建物賃貸借と同様に正当事由が必要となるとする見解や、2)正当事由は必要なく、民法618条により、3カ月前の申入れで中途解約が可能であるとする見解などがあり、学説上の対立があります。

私個人としては、前記の地裁判決が妥当だと思っています。というのは、建物賃借人の保護を主軸に置く、「正当事由制度」や「強行法規性」が借地借家法の原則であり、後に追記された定期建物賃貸借は例外である以上、その例外の要件は厳格に解釈すべきと考えるからです。借地借家法38条6項に、あえて「賃借人側からの中途解約」についての規定だけを置いている以上、賃貸人側からの中途解約特約は否定されていると解すべきでしょう。

■過去問題に挑戦

賃貸不動産経営管理士の過去問題に挑戦し、ここまで学んできた「定期建物賃貸借契約」の知識をさらに深めてみましょう!

【問題】定期建物賃貸借契約に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(2021年度問26)

1.中途解約特約のある定期建物賃貸借契約において、貸主は契約期間中であっても、正当事由を具備することなく契約を解約することができる。

2.定期建物賃貸借契約書は、同契約を締結する際に義務付けられる事前説明の書面を兼ねることができる。

3.賃貸借の媒介業者が宅地建物取引業法第35条に定める重要事項説明を行う場合、定期建物賃貸借契約であることの事前説明の書面は不要である。

4.定期建物賃貸借契約において、賃料減額請求権を行使しない旨の特約は有効である。

いかがでしょうか。

正しいものを選んでくださいね。

答えは…

正解:4

それぞれ解説します。

1:×

定期建物賃貸借契約において、賃貸人に中途解約権の留保を認める旨の特約を付してもその特約は無効です(東京地判平成25年8月20日)。

2:×

事前説明書面は定期賃貸借契約書とは別個の独立した書面であることが必要とされています(最判平成24年9月13日)。

3:×

媒介業者が重要事項説明を行ってもそれだけでは事前説明を行ったことにはなりません。

4:〇

問題文のとおりです。



定期賃貸借契約は、使い方を考えて、効率的に利用すれば、賃貸経営に非常に有効な制度です。その分注意しておきたいこともあるので、今一度おさらいするようにしておきましょう。

不動産投資の楽待

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最終更新:5/18(水) 19:00

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