IDでもっと便利に新規取得

ログイン

「食品を山ほど捨てる日本人」親子で知るべき実態

5/14 13:01 配信

東洋経済オンライン

この春4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられた。これによって、18歳になれば親の同意を得ずにローンを組んだり、賃貸物件を契約したりといったことも可能となっている。
こうした新たな時代に入った今、子の親である私たちは“大人の先輩”として彼らに何を教えるべきか。契約手続きなど実務の知識も大事なことだが、それ以前に、今の世の中を生きるために最低限知っておくべき“仕組みやルール”こそ、子どもに伝えるべきではないのか。この記事では、新刊『これから大人になる君たちへ 学校では教えてくれない未来を生き抜くヒント』を監修した池上彰氏に、「SDGs」に対する“そもそもの視点”をわかりやすく解説してもらった。

■茶碗1杯分の食料を毎日捨てている日本人

 世界では、食料生産量の3分の1にあたる13億トンもの食料が毎年捨てられています。日本においては、1年間に廃棄された食品の量が2018年は600万トン、2019年は570万トン。これは実に東京ドーム5杯分近くある計算で、国民1人あたりに換算すると、毎日茶碗1杯分の食料を捨てていることになります。

 こうした、まだ口にできる食べ物が捨てられてしまう「食品ロス」は、外食産業などの事業で出るものが約309万トン、家庭で出るものが約261万トンで(2019年)、事業における食品ロスの主な原因は、食べ残しや売れ残り、規格外品など。家庭では、料理の作りすぎによる食べ残しや、食材の買いすぎによる廃棄などです。

 食品ロスは単なる「もったいない」だけでなく、当然、地球の環境破壊にもつながります。食料を捨てることは、つまり「その食料を育てるための土地や水の無駄づかいをした」ということ。そして、水分を含む食品なら、車で運んだり焼却したりする際に、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を生み出すことにもなります。

 こうした状況から、例えば街の料理店などでは、盛りつけるご飯を少なめにしてお代わりを無料にしたり、皿の飾りつけを減らしたり、単品メニューの量を少なめにするといった手段をとるところもあるようです。作り置きをやめ、注文を受けてから調理する方法に変えることで食品ロスが大幅に減った店もあります。この日本でも、食品ロスを減らそうとする動きは確実に増えているのです。

 客である私たちは、「量が少ない」「見た目がさびしい」「出てくるのが遅い」などの不満を抱く前に、こうした事業側の努力を知り、残さず食べられる量だけを注文したいものですが、最近では、食べ残しを持ち帰ることができるよう「ドギーバッグ(犬のための容器。犬に食べさせるという建て前で持ち帰る)」を用意する店もあるようです。

 「買いすぎ・頼みすぎ・作りすぎ」を控えることは、食品ロスを減らすうえで必要不可欠な認識です。世界では9人に1人が栄養不足といわれ、子どもたちも学校でSDGsについて学んできている今、飽食の時代を少なからず生きてきた私たち大人の“意識改革”なくして、環境問題について子どもや家族と語ることなどできません。

■ゴミを減らす「3R」とは? 

 ここで、食品ロスに連なる「ゴミ問題」についても把握しておかなければなりません。世界人口の増加に伴い、ゴミが増え続けているのは周知の事実ですが、ゴミを廃棄する際には二酸化炭素が排出され、環境破壊につながります。そこで最近は、一人ひとりが出すゴミを減らせるよう「3R(リサイクル・リユース・リデュース)」が推進されています。

 例えば、ビンや缶、ペットボトルなどはきれいに洗ってリサイクルに出すことで、新たな製品に再利用されます。使い古した自転車も、自転車店などに引き取ってもらえば鉄の材料としてリサイクルされることになる。パソコンや携帯電話、電池なども、市区町村で回収されたあと建設材料などに生まれ変わります。

 繰り返し使えるような製品を買うこともゴミの削減につながります。詰め替えできるものや、洗って使えるビン製品を選んだり、あるいは長く着られる服を選んだりすることも地球環境を守るために有効でしょう。また、マイバッグや水筒を持ち歩けば、レジ袋やペットボトルを買わずにすむ。地味に見えることでも、コツコツ続けて無駄づかいを減らすことが、結局は地球を守ることにつながっていきます。

 ゴミの分別やポイ捨てについて子どもをたしなめる場面は、親なら、そして大人ならよくあることだと思いますし、かつてに比べてゴミ捨てに厳しい今の世の中を生きる人間として、「ゴミになるものを増やさない」という意識はこれまで以上に重要なことです。一人ひとりが出すゴミは少しでも、世界規模では膨大な量になる。この点を私たち大人はしっかりと認識し、子どもに伝えていくべきでしょう。

■実は、日本は世界的に見て貧困率が高い

 環境破壊がやがて導き出す問題には「貧困」もあります。日本の貧困率は約15%で、先進国の中でも高く(厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」2019年)、およそ6人に1人が貧困状態に陥っているといわれています。日本で暮らす人が生きるために必要なお金は1カ月に約15万円と見積もられ、1カ月10万円程度以下で暮らさざるをえない場合を「貧困」と定められています。

 貧困は、もはや他人事ではありません。子どもの貧困率も14%となっており、1クラスに4、5人はいる計算です。自分が貧困であることを誰にも言えず、孤独を深めている子どももいるのが現実なのです。

 世界に目を向けてみると、1日約200円以下で暮らさざるをえない極度の貧困層が、 約10人に1人、7億人以上もいるという結果が世界銀行から発表されました。SDGsでは、2030年までに極度の貧困に陥る人をなくそうとしていますが、目標を達成するのはそもそも難しいという意見もあります。

 コロナ禍による失業も問題化するなど、誰しもいつ貧困に陥るかわかりません。貧困は“遠い国の話”ではないと知り、身近に感じることで、日々の言動にも変化が現れるのではないでしょうか。クラスに貧困にあえぐ子どもがいる現実や、誰しもがそうなってしまう可能性があるというリアルを、これから大人になっていく子どもたちにはしっかり認識させておきたいものです。

 以上この記事では、これから大人になる子どもたちが「今の世の中を渡っていくために知っておくべきこと」のうち、「SDGs」に関連するトピックスをざっと解説しました。われわれ働く大人たちは、バブル景気の余波による「モノがあふれる時代」を、直接的に、あるいは間接的に体感したことのある年齢層も少なくないはずです。しかし、当時は当たり前だった「不要になったら捨てればいい」という甘すぎる認識は、もはや完全に「恥ずべき非常識」といえます。

 大人として、そして親としてあらためて把握しておくべき「SDGs」的視点。私たちより2年も早く大人になる子どもたちに、地球環境を考えることはもう“当たり前の義務”なのだということをしっかり伝えていく。それこそが、今時の親としての“ニューノーマル”なのではないでしょうか。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:5/14(土) 13:01

東洋経済オンライン

投資信託ランキング

Yahoo!ファイナンスから投資信託の取引が可能に

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング