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5億円で売買も、仮想空間「メタバース」の不動産が高額取引のワケ《楽待新聞》

1/14 19:00 配信

不動産投資の楽待

昨年来、デジタル不動産市場が活況を呈している。舞台となっているのは、インターネット上の仮想空間である「メタバース」だ。仮想空間の土地が、日本円にして約5億円で取引されるといったことが起きている。

いったいなぜ、現実世界に存在しない不動産が高額で売買されているのか。また仮想空間上の不動産売買にはどのようなメリット、デメリットが考えられるのか。

■そもそもメタバースとは?

メタバースとは、インターネット上の仮想空間のこと。「超越した」という意味のmetaと、「宇宙」を意味するuniverseを組み合わせた造語だ。ユーザーはメタバースで、アバターを使って仮想空間上で交流をしたりイベントを開催したりするなど、さまざまな活動が行える。

仮想空間と聞くと、今から約20年前に流行した「セカンドライフ」を思い出す人もいるだろう。セカンドライフもメタバースの1つではあるが、現在はVR(仮想現実)やAR(拡張現実)が普及したこと、またフェイスブックが昨年、社名を「メタ(Meta)」に変更し、メタバースに年間1兆円を投資すると表明したことなどから、再びのブームとなっている。
では、メタバースで不動産が売買されるというのは、一体どういうことなのか。

仮想空間であるメタバースでは、街や建物などを思い通りに形成できる。しかし土地も建物もデジタルデータであることに変わりはなく、容易にコピーが作成できてしまう。そこでカギとなるのが、「NFT(Non-Fungible Token・非代替性トークン)」と呼ばれる技術だ。

ざっくり説明すると、NFTはデジタル空間上で固有性を証明するデジタルデータのこと。NFTを使えば、メタバースに存在する土地や建物に証明書が付与され、その固有性が保証される。固有性が保証されればそのデータにも稀少性が生まれるため、破格の値段で仮想空間上の土地を購入するケースが出てくることになる、というわけだ。

■メタバースの土地を430万ドルで購入

続いて、具体的な売買の事例も紹介したい。

昨年12月上旬、メタバースに特化したニューヨークの不動産投資ファンド「リパブリック・レルム」が、米国企業によって開発された仮想ゲームワールド「サンドボックス」の土地を430万ドル(約5億円)で購入し話題となった。また11月下旬にも、カナダの投資会社「トークンズ・ドット・コム」が、VR(仮想現実)空間で土地を購入したり、ミニゲームで遊んだりできるメタバース「ディセントラランド」で、240万ドル(約2億8000万円)でデジタル商店街を購入している。

中国市場も負けていない。昨年11月にリリースされた中国初のメタバースゲーム「ホンバース」では12月中旬、不動産価格が100倍に急騰し、区画当たりの価格が、約2万元(3143ドル)の最高値を記録した。

暗号資産に関するデータサイトのDappによると、12月初旬に先述の「ディセントラランド」など、4つのメタバースサイトで、1億ドル以上のデジタル不動産が販売されたとされる。メディアに取り上げられた高値取引は、氷山の一角であるとみられる。

■背景にテック大手のメタバース参入

現実世界に実在しない土地が、高額で売買されている現在。何がデジタル不動産の価値を高めているのか。

第一に挙げられるのが、テック大手のメタバース領域への参入だ。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は2021年7月、アナリスト向け四半期決算発表で、50億ドル(約5500億円)を投じ、自社をメタバース企業に作り変える経営戦略を発表した。その方針を汲むかたちで、同社は10月28日に社名をメタに変更している。

それから5日後の11月2日、マイクロソフトが同社のオンラインコラボツール「Microsoft Teams」をメタバース仕様に進化させる計画を明らかにした。実質的なメタバース領域の参入であり、フェイスブックの社名変更とあわせて、投資の市場に大きな影響を与えた。

このように、時流の後押しも要因として大きいが、デジタル不動産自体の価値が見逃されているわけではない。ユーザーが購入した土地を使い、自由に建物や商店、街を形成できるという自由度の高さも、実需の背景にある。

例えば、先述したディセントラランドやサンドボックスは、ユーザーが仮想の土地で自由自在に個性的な建物を作ることができる。ユーザーは投資対象として仮想の建物を保有できるほか、建築物を売買したり、賃貸することが可能だ。

建物を舞台に仮想アートの展示会を開いたり、NFTなどその他のデジタルコレクションを販売したりすることもできる。海外の有識者によれば、このように「事業拠点として運用可能である」という点が、デジタル不動産の高い需要につながっているという。

実際の不動産と異なり、デジタル不動産は、取引が迅速な点も魅力の1つだ。メタバースは、ブロックチェーン上で契約の自動履行を可能にする仕組み「スマートコントラクト機能」を実装している。そのため、ボラティリティが大きいデジタル市場に沿った取引を支えている。

■高い法的リスク

リリースから一月程度で不動産価格が100倍に上昇したホンバースに例を見るように、投資対象として魅力の高いデジタル不動産だが、リスクがないわけではない。メタバースは、ブロックチェーンと呼ばれる技術を使って構築されており信用性はあるものの、デジタル不動産の担保価値には不確かさが残るからだ。

例えば仮想世界が廃れ、ユーザーの流入が少なくなれば、デジタル不動産の価格は一気に暴落する可能性がある。これは、市場が低迷しても一定程度の価値を保つ実際の不動産と異なる点で、ビットコインなどの暗号資産と似通う。実際にデジタル不動産は購入時にイーサリアムなどの暗号資産を購入通貨としており、暗号資産の価格暴落に伴って担保価値が減少することは大いにありえる。

法的リスクも課題の1つだ。実際の不動産と同様、買い手と売り手間のセキュリティと信頼性を担保するために、一定程度の法的デューデリエンスが求められる。

自由な取引市場は、安全な仕組みと法制度があってこそ成立する。メタバースの運営企業は、当局の協力のもと、資産価値を担保する制度設計に注力してほしい。

不動産投資の楽待

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最終更新:1/14(金) 19:00

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