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政府専門家会議メンバーが語るオミクロン対処法

12/5 6:21 配信

東洋経済オンライン

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」。南アフリカからWHO(世界保健機関)に初めて報告されたのが11月24日。その2日後にはWHOがVOC(懸念すべき変異株)に指定し、世界各国で急速に警戒が高まるなかで、日本政府は11月30日から全世界を対象に外国人の入国を禁止している。それでもすでに国内では2例の感染が確認された。
感染力がこれまでより強いとも、既存のワクチンが効かないとも情報が飛び交うが、はたしてオミクロン株はどこまで恐ろしいものなのか。

菅前政権から感染症対策担当の内閣官房参与を務め、岸田内閣が発足してもそのままの任にある岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長に話を聞いた。岡部氏は政府の分科会メンバーであり、厚生労働省の新型コロナウイルス対策アドバイザリー・ボード(専門家会議)のメンバーでもある。

■ウイルスの変異は当たり前にある

 ――オミクロン株とはどういうものと解釈すればいいのでしょうか。

 ウイルスの変異は当たり前にある。そこではどこの部位でどういう変化があるのかが問題になる。今回の場合は感染や病態に関連のあるウイルス表面のスパイクタンパク質の構造を決定する遺伝子(設計図)に多数の変異が見られているということで注意を引いている。

 少し前までは、病気の症状が先行して、急に広がったとか、重症化しやすいとか、感染しやすいということで調べてみると、ウイルス遺伝子が変異していることがわかった。

 それが今は先読みができる。見つかったウイルスを丁寧に調べてみると、感染などに関連する部分の遺伝子に変異があることがわかってきた。しかし、それはウイルスが変異しているのであって、それと人の病気との関連性は必ずしも一致していない。関連がある場合も、関連がない場合も、あるいは薄い場合もある。

 以前は病気をみて、ウイルスをみたから、病気の変化がウイルスの変化によるものといえた。ところが、ウイルスの変化が病気の変化にあらわれるともいえない。ウイルスをみて人への影響はどうか、入り口は見えても先がまだ見えてこない。可能性はいろいろ考えられるが、実態がどうかは今の時点ではわかっていない。

 実態を見るためには、動物実験や、患者・感染者の状況を知る疫学調査が必須だ。ウイルスの変化の結果としてどういうことが表れるのか、調べなければいけない。これには長い時間は必要としないが、一定の時間は必要で、おそらく2~4週はかかるだろう。

 とはいえ、手をこまねいてみているわけにはいかない。ある程度可能性があれば対策をとらないといけない。それは行政や医療関係者のプロの側のやることだ。

 ――では、一般の人たちはどうするべきか。

 今、慌てて何か新しいものを求める必要はない。しかし感染対策の基本を今一度思い出して、緩みすぎず、適度な注意は続けるべきだ。これは仮にデルタ株の再現であっても必要なことだ。従来のデルタ株も国内のどこかで火種は尽きていない状態で、時々クラスターなどが発生している。再び感染が広まっても困ることになる。

 ハラハラドキドキして家に籠もっている状態ではないが、だからといって大手をふってどこへ行っても、なにをやってもいいわけというではない。感染症に対する注意を思い出して、基本的な対策をとることに尽きる。

 ――感染力が強いともいわれているが。

 仮に感染力が強いと、患者が増える可能性もあって、そうであれば重症化率が低くても重症者数は増えることになる。

 早期診断を行い、きちんと診察して一定以上の症状の人に対して入院治療を引き受ける準備をしておく必要がある。患者の増加はデルタ株でも同じことだから医療体制のレベルを上げておく必要はある。

■ワクチンは接種をおすすめする

 ――ワクチンは効果があるのか。

 ワクチンが効くか効かないか、話題になっている。オミクロン株に今のワクチンの効果が減じる可能性はあるが、どの程度であるかは未知数で、やはり実験的追及、疫学的調査を見る必要がある。

 まったく効かないわけではないと思うが、新しいワクチンができるまで待つというわけにもいかない。デルタ株に対する効果も含めて3回接種は行ったほうがよさそうだ。少なくともまだ接種を受けてない人は、2回接種をきっちり受けておくことをおすすめする。

 ――いつまで静観する必要があるのか。

 半年も1年も待ってくれというものではない。1カ月もあれば状況がわかってくるはずだ。

 新しいワクチンにしても、モデルナ社製でもファイザー社製でも、メッセンジャーRNAワクチンやウイルスベクターワクチンなどの遺伝子型ワクチンは変異株に対応して変異した部分だけ取り換えればいい。作り直しではなくいわば部品の変更で技術的には可能となっている。

 その場合、治験をやり直さなくても承認できる仕組みはできている。技術的に可能だということは一歩進んだ安心感になる。

 ――内閣官房参与として今回の外国人の入国禁止をアドバイスしたのか。

 まったくかかわっていない。だが、善し悪しはあるが、病気を止める意味ではしょうがないのではないか。公衆衛生学的には本当は全部止めたほうがいいが、そうはいかないのが世の中だ。

 今回は止めるというよりも時間を稼ぐという意味合いが強い。それが正解かどうか、あとになってみないとわからないが、そのときどうするのかの問題だ。

 水際対策の強化はいろいろな人が言ってきている。だが、水際対策はパーフェクトな方法ではない。ウイルス1匹も漏らさないということではない。本当に入れないのなら鎖国すべきだが、そういうわけにもいかない。

 また、水際対策さえやればいいのではなく、入ってきたときに備えて国内での態勢をとる必要がある。いったん国内で感染が広がってきた場合には、水際対策にエネルギーを注ぐのは無駄になっているとの発想の転換も必要だ。

■日本に入ってきている可能性も否定はできない

 ――すでにオミクロン株は日本に入ってきているのか。

 幸いまだ2例だが(12月4日時点)、可能性があるかと問われれば、ないとはいえない。最初に見つかったのが南アフリカということだけで、それが世界で1例目の発生かどうかはわからない。

 南アフリカだから見つかったのであって、アフリカ全体では検査が行き届いていないところも多く、そこで発生、拡大したものがたまたま南アフリカで見つかったことだって考えられる。そうであれば、アフリカに近いヨーロッパではすでに飛び火して拡大が始まっていて、そのあおりを日本を含むアジアがすでに受けていたことは当然考えられる。

 ただし国内では目下、感染者数そのものは少ないことはありがたく、オミクロン株が今ひそかに国内でまん延しているというわけではないと思う。

 ――重症化しやすいものなのか。

 今、陽性で見つかっている人に重症者はいない。それももっと広がってみないとわからない。たまたま今は軽症者、無症状者だけから見つかっているのかもしれず、感染者が多数になれば、どんなに割合は低くても重症者は発生する。それがやはり感染者数はできるだけ抑えなくてはいけないところだ。

 ワクチンの効果も考えられる。たまたまこれまで見つかった人はワクチンを受けていて重症度を抑えているだけかも知れない。期待したいが今の段階で結論づけられない。

 ――感染が広まったこの2年で考え方も検査も変わってきた結果といえるのか。

 ウイルスを見ることができることは大きな進歩。先が見えることにつながる。だが科学の進歩は必ずしも安心感につながらない。先が見えることは不安感が先行することもある。

 今持っているデータをきちんと分析し、不十分なまま結論とするべきではなく、わかっていることとわからないことをきちんと明らかにし、また理解すべきと思う。

東洋経済オンライン

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最終更新:12/5(日) 6:21

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