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ディズニー動画配信、「ローカル作品」強化の真意

12/5 6:01 配信

東洋経済オンライン

いま動画配信関係者の間で、その一挙手一投足に注目が集まるのが、アメリカのウォルト・ディズニーだ。2019年11月に動画配信サービス「ディズニープラス」を開始。日本でも2020年6月にサービスを始めた。有料会員は今年3月にグローバルで1億人を超えている(日本での会員数は非公開)。
10月には新たなコンテンツブランド「スター」を追加した。スターでは、20世紀スタジオなどディズニー傘下のプロダクションの制作作品のほか、日本を含めたアジア太平洋地域(APAC)で独自に制作するローカルコンテンツも配信する予定だ。

日本ではアメリカのネットフリックスが2020年9月に国内会員数500万人を突破するなど、競争は激しさを増す。そうした中で、ディズニープラスはどう勝ち抜くのか。ウォルト・ディズニー・ジャパンのキャロル・チョイ社長に直撃した。

■日本のユーザーの「相棒」になりたい

 ――日本でディズニープラスがローンチして1年半経ちました。これまでの手応えや日本の視聴者の特徴などは見えてきましたか。

 ユーザーからは非常にいい反応をもらっている。私たちは日本市場を重視しており、その意味で(うまくいくかどうか)つねにプレッシャーを感じている。

 日本のユーザーはテレビに費やす時間が長いという特徴がある。そのため、(スマートテレビやゲーム機のような)コネクティッドデバイス経由での加入などが効果的だ。さらに特徴的なのは、「アナと雪の女王」など人気作品を何度も見る傾向があることだ。

 ――現在の会員数は非公開ですが、その数に満足しているのでしょうか。

 私たちのチームは不断の努力を続けているし、勇気をもらえるような成果が出ている。ただ、動画配信サービスはまだ始まったばかりだ。日本のマーケットとともに成長したいと思っている。

 私たちのコンテンツはいまや、いつでも、どこでも視聴してもらえる。iPadでもスマートフォンでもいい。最近ではカフェやレストランで食事をしながら動画を見ている人も多い。そういった形で、ディズニープラスは日本のユーザーにつねに持ち歩いてもらえる「相棒」になりたい。

 動画配信サービスは「まだ始まったばかり」と話したが、日本でのディズニーの始まりは映画「白雪姫」を持ち込んだ70年前。そして、いま私たちは「動画配信」という新しい技術でコンテンツを提供しているわけだが、ストーリーやコンテンツをユーザーへ届けることは変わらない。

 コンテンツを届けることこそが、私たちのビジネスの核心だと思っている。

 ――日本ではネットフリックスが2020年に国内会員数500万を突破するなど競争が過熱しています。本格参入に出遅れた、とは感じませんか。

 他社に関してはそもそも競合と思っていない。競争と言っても、配信するコンテンツなど、同じことをして競争しているわけではない。ともに成長していく感覚だ。その中でも今までディズニーが日本のユーザーと築いてきたポジションには自信を持っている。

 ――巣ごもり消費の一巡で、今後伸び率が鈍化する恐れは? 

 動画配信市場は成長する一途だろう。人によってはスポーツを多く見たい人もいるし、お子さんがいてファミリー向けコンテンツを好む人もいる。日本のユーザーもより多くの選択肢がほしい、という欲求がある。非常にワクワクする時期であることは確かだ。

 (グローバルでは2024年に会員数約2.5億人という目標を掲げているが)国内会員数の目標やグローバルとの比較は言えない。ただ、とにかくアグレッシブだということは伝えておきたい。腰を据えるために、私自身も1年半前から日本に移ってきた。

■「スター」ならゾンビドラマも提供できる

 ――10月にNTTドコモとの契約が見直されました。それによってグローバル規格と統一され、これまで非対応だったゲーム機からの視聴や、より高画質・高音質での視聴が可能になります。

 これまではディズニープラスの会員登録にはドコモのdアカウントが必須だった。しかし、今後はそうでなくなり(ドコモ経由で入会した会員向けの一部特典は継続)、加入の機会を多く提供できるようになった。

 ドコモとは10年来の付き合いで、大切なパートナーであることは変わりない。今後は(ドコモ1社だけではなく)パートナー関係を拡大させることもあるだろう。

 ――今までは「ディズニー」ブランドのイメージが強く、ディズニー好きを集められた一方、「ディズニー」以外に関心が高いそのほかの多くのユーザーを取りこぼしていたように見えます。

 まさしくその通りだ。ディズニープラスには「ディズニー作品」しかないと思っている人も多い。ディズニープラスにはピクサーもあれば、マーベル、スターウォーズ、ナショナルジオグラフィックもある。ただ、これらディズニーブランドの作品の多くはアメリカで制作され、グローバル向けに配信されているものだ。

 多くのユーザーは、韓国コンテンツやゾンビが登場するテレビドラマ「ウォーキング・デッド」のような(従来のディズニーとは)異なるジャンルも求めている。ここに新ブランド「スター」を追加することで、さまざまなコンテンツをユーザーに提供できるようになった。

 それこそ、昔は「ウォーキング・デッド」をディズニープラスで配信していいのか、という声もあったが、現実、ランキングの上位にいる。(ディズニー以外のコンテンツを拡大することで)アクティブ率や滞在時間も激増している。私たちの歩んでいる道は間違っていない。

 ――今後はローカルコンテンツの提供を積極的に行う方針ですね。

 2023年までに50作を超えるAPACのオリジナル作品を投入する予定だ。とくに日本ではこの部分にフォーカスすべきだと思っている。

 最近ではネットフリックスなどでもアジアコンテンツの人気が高まっており、世界的に韓国ドラマや日本アニメが人気だが、日本のベストなストーリーを、ディズニープラスを介して全世界に発信していきたい。

 私たちは「more than Disney (ディズニーだけじゃない)」という点を強調しているが、こうしたことが伝わるには時間がかかるだろう。さまざまなキャンペーンや施策でこのことを理解してもらいたい。

■ディズニーと日本の作り手をつなげる

 ――ネットフリックスをはじめ、各社は強力なコンテンツを独占配信すべく獲得競争を繰り広げています。人気作品では配信権の高騰も懸念されます。

 コンテンツの作り手たちは非常に多い。ようやくディズニーがこういった分野に入ってくれたのか、と待ち望んでいた人も多くいるだろう。

 ディズニーのプラットフォームに載せることで、全世界にコンテンツを配信できる。私たちとのコネクションを持てることは、クリエーターにとってのモチベーションになるだろう。いわば、ディズニーのクリエイティブの一員になれるのだ。

 今後はAPACの各地のクリエーターがディズニーのスタジオを訪れたり、現地のクリエーターと交流できたりするプログラムも立ち上げる。このプログラムがアメリカのスタジオと(日本のクリエーターを)橋渡しする一つのきっかけになると思う。

 私たちは最高のストーリーをディズニープラスに届けたい。そのためクリエーターには、各地域のクリエイティブなプロセスを尊重して、オープンで柔軟な対応をしていきたい。

 ――ローカルコンテンツの制作にどれぐらいの予算を準備していますか。

 コンテンツのジャンルや表現手法によっても違う。そのため予算がどれくらい、ということは言い難い。1エピソードでこの予算の範囲内にしたい、ということも決められない。

 ただ、魅力のある作品を作りたいと思っている人たちをサポートできる体制を作り上げる。お金は重要な要素だが、私たちが一緒にどのようにクリエイティブしていくのか、その化学反応こそが重要だ。

 例えば、私たちが持っている特殊効果の技術を提供することでストーリーをより良くすることもできる。私たちが持っているコンテンツを各地域のクリエーターが作る、といったこともあるだろう。独自コンテンツの内容や誰と組むかといった意思決定は、日本のチームで実施していく。

 コンテンツや視聴方法に対する好みはどんどん進化している。ユーザーが感じる速度に合わせて、私たちもきちんと満足いくコンテンツを出し、その規模を最大化させるか、という点が最大の宿題だと思っている。

東洋経済オンライン

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最終更新:12/5(日) 6:01

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