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ボルボの「EV大転換」日本でも始まった攻勢の起点

11/30 13:01 配信

東洋経済オンライン

 ボルボ・カージャパンは、同社が初めて日本に導入する電気自動車(EV)「C40 Recharge」(リチャージ)を11月18日に発表した。

 これまでハイブリッド車(HV)、プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)のラインナップ拡大に努めてきたボルボにとって、初めてのピュアEVの日本導入となる。

 C40というネーミングはボルボの通例からすると、カジュアルなコンパクト~ミッドサイズのクーペを想像させる。実際、基本構造は「XC40」(399万円~)と同じCMAプラットフォームを利用していて、全長は4440mmにすぎない。

 しかしながら、前後に1つずつ大出力のモーターを搭載する4WDで、それらは合計で408ps/660Nmと、スーパースポーツカー並みと言ってもいいパワーを発生する。これを受け止める20インチ・タイヤもフロントが235/45、リヤが255/40と極太。後ろが太いのはフル加速のとき荷重が偏ることに対処するためで、2160kgの車体をわずか4.7秒で100km/hに導く加速性能を示す。バッテリー容量も78kWhにおよび、最大航続距離は485km。車両本体価格も性能相応で、719万円と発表されている。

 ボルボ日本法人は、このニューモデルを特別な方法で売ろうとしている。2020年10月に着任し、プロジェクトを指揮したマーティン・パーソン代表取締役社長に話を聞いた。

■全世界オンラインのみで販売

 C40 Rechargeを含むボルボのEVは今後、全世界においてオンラインのみで販売されることがすでに公表されている。日本市場もこれに従って、同車のウェブサイトが2022年1月に開設される予定だが、これに先駆けて2021年11月18日から30日まで、100台を“サブスクリプション”形式で提供するキャンペーンが展開される。

 ここ数年で急に耳にするようになった“サブスク”の費用は、月額11万円(消費税込み)。契約期間は最大3年で、車両の貸与費用に加えて税金、保険、登録費など、諸費用全般が含まれている。

 クルマの諸費用を自分で賄っている人ならすぐに気づくだろう。通常、維持費で大きなウェイトを占める任意保険は、たとえば21歳未満の若年層が運転するケースや、保険契約歴が短いケースでは高額になることが多い。新車価格が700万円を超えるクルマとなれば、月々5万円を超える場合もあるだろうが、これを含めてワンプライス、と定めたのだ。

 3カ月という短期間の事前通告で、ペナルティーなしに解約可能な点が、他社が展開するカーリース的なサブスクリプションとは異なる、とパーソン社長は強調する。

 「マーケット拡大のためにあえて多少のリスクを取りました。われわれはこのC40を若いカスタマーにアピールしたいのです。ワンプライス化の方針はほかの国でも変わりません。私には前任地のロシアで、2019年からサブスクリプション・モデルの導入を主導し、成功させた経験があります。当時の対象モデルはS90で、80%以上が新規顧客だったのです」

■70%以上がサブスクリプション

 「さらに重要なことは、70%以上の方々が、『サブスクリプションでなければクルマを入手しなかった』と述べていたことです。クルマを所有しようかどうか考えている人ではなく、モビリティの手段として選択しようとするドライバーを引きつけたわけです」

 自らをプレミアムカー・ブランドと明確に定義し、ボルボは着実にマーケットを拡大している。ほかのブランドに打ち勝ってこそ未来が見える。現在では電動化への挑戦はどのメーカーにも課せられた課題であるが、ボルボの電動化シフト表明は他社より一歩先を行っていたように見える。それは、なぜ可能になったのだろうか? 

 「ボルボは中規模メーカーであり、年間の世界生産台数は70万台に限られています。そしてスカンジナビア生まれのボルボには、他社に先駆けてなにかをするというダイナミックで革新的な伝統があります。格式張った会社ではなく、電動化に限らず決断がクイックなのです。乗用車のエンジンをすべて4気筒に統一したこともそうでしたし、ディーゼルエンジンも早々に廃止してしまいました。多くの人が『大変な決断をしたね』と言ったものですが、いまではなんの障害でもありません」

 パーソン社長は、1999年にボルボに入社して以来20年以上にわたりその歴史を支え続けてきた。その中で、大きな転機になったと感じているのが、2010年にボルボ・カーのオーナーシップがフォードのPAGグループから、中国の浙江吉利控股集団(ジーリー・ホールディング)に変わったことだという。このタイミングで、次の世代のモデルの開発に向けた大規模な投資が実行された。

 「その結果生まれたのが2015年のXC90です。それまでの世代に比べてプレミアムさやデザインにおいて、違いが鮮明になりました。これがボルボにとって偉大なる変革であり、現実に市場シェアの拡大に成功しています」

■プレミアム市場での電動化進展を確信

 中国の資本のもとで、スカンジナビアに根ざした企業文化を守り続けて巧みに成長しているのが現在のボルボというわけである。中国ではEVの普及が急速に進んでおり、その今年の販売台数は昨年の倍近い、200万台以上に達するとみられている。当然、ボルボもそうした環境で影響を受けているだろう。

 「中国のダイナミックな市場から、ボルボはいい意味で大きなプレッシャーを受けています。われわれは業界で最も活発に改革しているブランドであり、電動化もリードしています。プレミアム市場において、電動化が平均的な乗用車よりずっと早いペースで進むのは間違いありません。2030年の100%EV化を確信しているとまで言いませんが、先陣をわれわれボルボが切ることは確実です」

 EVの顧客は、ボルボのハイブリッドやPHEVのユーザーなのか、それともほかのブランドを含む内燃機関車のユーザーだろうか? 

 「私はそれらのミックスだと考えます。私は毎日、ボルボのPHEVをドライブしており、いつもEVモードで走らせています。遠くまで行くときはエンジンの力も借りますが、EVの快適性、スムーズさ、トルクに慣れてしまうと、もうエンジン車には戻れないなと思いますね。

 われわれが現在PHEVの販売に力を入れているのは、将来のピュアEVの顧客を育てるためです。もちろん、EVがボルボ以外の他ブランドから顧客を獲得する割合はとても高いことを予想しています。すでに受注を開始している欧州でも、これを裏打ちする結果が出ています」

 電動化と並行して、その周辺にあるサステイナビリティへの貢献と、ボルボの伝統である安全性の確保、顧客がパーソナライズできるデジタル・システムが、今後のプレミアムカー販売促進の鍵である、とパーソン社長は続ける。

■「2030年までに全車をピュアEVに」

 「もちろん、われわれの伝統は安全性に根ざしています。電動化にあたっても、衝突時の高圧電流の遮断をはじめ、確固たる基準と多くのノウハウを注ぎ込んでいます。これまでの内燃機関車同様、ボルボが安全性に妥協することはありえません。すべてのお客様に安心して乗っていただくことができます。

 そしてサステイナビリティはボルボのコアバリューであり続けてきました。これまでと違うことといえば、地球温暖化に対する緊急性がより高まったということでしょう。このため、2030年までに全車をピュアEVにするという声明を出したのです」

 「パーソナライゼーションの鍵は、われわれがグーグルと共同開発したデジタル・サービスです。ユーザーそれぞれにカスタマイズされたかたちで、Googleマップを使ったスムーズなナビゲーションや、Googleアシスタントを使った音声によるエアコンやインフォテインメント機能のコントロールを楽しんでいただくことが可能です」

 クールで素朴なイメージのボルボの中に、攻めの姿勢が貫かれている。サブスクリプションの100台のユーザーは、キャンペーン・サイトを通じて期間内に応募した人の中から抽選で選ばれる予定だ。

東洋経済オンライン

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最終更新:11/30(火) 13:01

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