IDでもっと便利に新規取得

ログイン

真・女神転生Ⅴ「傑作」が残した只1つの惜しい点、もっと「東京が舞台」という設定を活かせたはず

11/28 9:01 配信

東洋経済オンライン

物心ついたときからゲームと付き合い続けてきた筆者が、その長いゲーム歴から最新作から過去の名作までを掘り起こして語り尽くす本連載。今回取り上げるのは、30年以上愛され続ける人気シリーズの最新作『真・女神転生V』(対応ハードはNintendo Switch)。なかなか飽きがこないゲームシステムの魅力から、惜しい点までを余すことなく紹介していく。
 主人公は品川駅近くの学校に通う普通の高校生。最近は何かと物騒で、近くで通り魔事件が発生し、学校でも「黒い影に襲われた」などの奇妙な噂が流れていた。

 主人公は寮に帰ろうとするが、品川駅の連絡通路は何らかの事件が起きて通行止めになっており、寮のある駅の逆側に渡れない。別行動を取った友人を探すため、駅から離れたガード下に向かうのだが、そこで運悪くガードの崩壊に巻き込まれてしまう。

 ふと気づくと、崩落に巻き込まれたはずが、砂だらけ土地にビルの廃墟が並ぶ場所にいた。崩落したはずのガードは残っているのに、外の景色に見知った品川の面影は全くない。すると今度は悪魔のように奇妙な生き物が主人公に迫ってくる……。

 主人公は特殊な力を使い、天使や悪魔を「仲魔」として率いながら、元いた世界に戻るために「魔界」を旅をすることになる。果たして元の世界に戻れるのか。そしてその先で知ることになる、この世界の真実とは……というのが本作のストーリーの入り口である。

■ペルソナと比べて陰鬱とした「女神転生」シリーズ

 最近はすっかり別ラインでペルソナシリーズのほうがアニメ化などで有名になってしまった感のある真・女神転生シリーズ。もし前者のファンが「同じ女神転生シリーズだから」と思って、Vをプレイすると、かなり面食らうのではないだろうか。

 ペルソナシリーズは異世界を戦いの場としながらも、日常の生活空間は基本的には平穏なので、部活動や学校生活といった、主人公や仲魔やサブキャラたちの日常もしっかりと描かれる。

 これに対して真・女神転生シリーズは、主人公たちの生活環境がまるごと異世界に巻き込まれてしまうために、彼ら彼女らの日常は消え失せ、戦いの中で生きるしかなくなってしまう。

 結果として、ペルソナシリーズが青春群像劇的な、問題を抱えながらもカラッとした明るい空気になる一方で、真・女神転生シリーズは天使と悪魔が対立し、人間たちはそこに否応なしに巻き込まれていくという、陰鬱とした空気がゲーム中漂い続けることになる。

 さて、真・女神転生Ⅴの特徴を簡潔に表すなら「面倒くささが楽しい古き良き日本のRPG」と言ったところだろうか。

 まず、皆さんに注意してもらいたいのは「オートセーブがない」点だ。最近はオートセーブのゲームが主流で、たとえゲームオーバーになっても、その直前からやり直しできるようなゲームも多くなった。なのでゲームに慣れている人は、ついセーブを怠ってしまいがちだ。

 特にゲームシステムを十分に理解できていない序盤。まだ敵が弱いので全滅の危機も少なく、トントン拍子に進めてしまう。そして、しばらく遊んだ後に突然現れた強敵にやられてゲームオーバーになってしまう。

 ムービーが流れて、タイトル画面に戻された後でふと気づくのだ。

 「あれ、セーブしたのいつだっけ!?」

 僕はこれで魔界の冒頭からやり直しになって、1時間ほど時間を無駄にしてしまった。皆さんには同じ轍を踏まないでもらいたい。

 また、レベル上げが面倒なのも日本のRPG感がある。最近のゲームではストーリーやサブクエストを遊んでいれば、各地のボスキャラはそのままの流れで倒せるというレベル調整がされていることが多い。

 しかし真・女神転生Ⅴの場合は所々で、段違いに強いボスが出てくるので、ちょくちょくレベル上げしなければいけない。しかも戦闘システムの都合上、何度か敗北覚悟で敵の攻撃パターンを見極めないと、なかなか勝つことができないのである。

■「殺意にあふれた」戦闘システム

 戦闘システムは極めて「殺意にあふれた」システムとなっている。一言で言えば「プレイヤーのターン中は、ずっと味方の行動が続く」というものだ。

 よくRPGのターンバトルでは、敵味方が素早さの早い順に攻撃していくというものが多いの対して、真・女神転生Ⅴではプレイヤーのターンと敵のターンは明確に区分されている。

 さらに、相手の弱点属性を攻撃したり、クリティカルが発生すれば味方の攻撃回数が増える。最大8回まで味方が続けて行動することができる。

 これだけ聞くと「一方的に攻撃できるなら、プレイヤー有利で楽だな」と思ってしまうかもしれないが、システムは敵側にも適用される。これが同作の戦闘を殺意にあふれたものにしている。

 もし敵が味方の弱点をついたら、ただただ一方的にタコ殴りされて、気づいたらゲームオーバーなんてことも珍しくない。ザコ戦でも気がぬけない。これが同作の戦闘であり、飽きがこない理由の1つである。

■もう1つの醍醐味は「悪魔合体」

 もう1つの飽きがこない理由は、同シリーズの根幹とも言える「悪魔合体システム」だろう。プレイヤーは行く先々で出会う悪魔たちとの会話を通じて、彼らを仲魔にできる。さらに、悪魔同士を合体させることで、より強力な仲魔が手に入る。

 さらに仲魔が持つ特徴的なスキルを好みに合わせて継承させれば、自分だけの個性的で頼りがいのある仲魔が生まれる。たとえば水と火と雷の魔法が使える仲魔を作ったり、あるいは打撃技に特化した仲魔を作ったりできる。仲魔の育て方ひとつで、難易度も大きく変わる。

 というわけで、真・女神転生Ⅴのシステムは飽きや中だるみを感じさせない、非常に洗練されたゲームシステムだと感じた。

 ただ、残念な点もある。それはゲームエリアに東京の地名を使いながら、そこに実際の建物はあまりにも少ない。あっても、ビルや高速道路にコンテナ程度。その土地のランドマークがほとんど描写されていないのである。同じ文明崩壊後の都市描写という点では、核戦争後の近代文明が崩壊したボストンを舞台とした「Fallout4」が優れている。

 同作のゲームエリアには、レッドソックスの本拠地であるフェンウェイ・パークを始めとして、所々にボストンのランドマークが設置されている。適度にランドマークを見せることで、核戦争後のボストンの街を実際に歩いているような没入感を与えることに成功している。

 僕はボストンに行ったことはないけれども、たまにネットなどで写真を見かけると「ああ、ここ見たことある!」とつい思ってしまう。せっかく東京を舞台にしているなら、真・女神転生Ⅴにもそんなゲーム体験があってもいいのでは。

 やはりユウラクチョウがあるなら、有楽町マリオンや交通会館の存在感は欠かせないし、アキハバラなら広い中央通りに総武線の高架がかかる景色が欲しい。東京タワーや国会議事堂はゲーム内でも表現されているので、他のエリアではもう少し、その土地らしさを再現しても良かったのではないだろうか。

■ぬるいゲームに飽きた人ほどオススメ

 最後に。真・女神転生Ⅴはストーリーも良いのだが、やはり戦闘と悪魔合体という独自のシステムが面白い。ザコ戦でもゲームオーバーの可能性のあるバトルが緊張感を持続させる。主人公だけではどうにもならない相手に、自分で育てた世界に一つだけの仲魔たちと共に挑む。

 最近の親切すぎて歯ごたえを感じないゲームに食傷気味なRPG好きにこそ、ぜひプレイしてもらいたいゲームである。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:11/28(日) 9:01

東洋経済オンライン

投資信託ランキング

Yahoo!ファイナンスから投資信託の取引が可能に

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング