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監督兼GM「ゴルフ」トップ選手の知られざる世界

11/28 12:01 配信

東洋経済オンライン

PGAツアーは、一流選手がしのぎを削る弱肉強食の世界。優勝すれば億単位の賞金を手にすることができる一方で、予選落ちをすれば宿泊費やキャディーフィーなどの経費を自己負担しなければいけない厳しい世界。仕事をしても経費が出ないどころか、赤字になることもある「最も過酷なフリーランス」とも言われるそうです。
そのような激しい競争社会で生きる選手やコーチたちの取り組みを間近で目にした、ゴルフスイングコンサルタントの吉田洋一郎氏。その吉田氏がPGAツアー選手たちの考え方や取り組みをまとめた『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』より一部抜粋し再構成のうえ、“チームスポーツとしてのゴルフ”の可能性について見ていきます。

■ゴルファーは一匹狼? 

 ゴルフは個人競技のため、プロゴルファーというとどこか一匹狼的に見られているところがありますが、実はコミュニティやチームをとても大事にしています。とりわけPGAツアーの一流クラスの選手たちはその傾向が顕著です。

 ゴルフに限らずプロスポーツは年々、レベルが上がってきています。昔なら1人で黙々と球を打てば十分でしたが、科学的な理論やツールを使いはじめたことで技術向上のスピードが急速化しています。スポーツを取り巻く環境が激変しているため、技術を細分化して高めなければ、そのスピードに追いついていけません。

 これは医療の現場と同じことです。かつては内科なら内科医が病状を診て、その医師が治療を施すのが当たり前でした。いまは医療の進歩により、チーム医療が一般化しています。難しい病気であればあるほど、多種多様な医療専門職が1人の患者にかかわり、適切な医療を実現しています。

 ゴルフも同様に、技術分野1つに対し1人の専門家に委ねることで、より高度な技術向上が図られるわけです。裏を返せば、1人のコーチですべてに対応することが不可能なくらい、1つ1つの技術分野が高度になっていることの表れです。

 心臓手術が必要な重篤な患者ならエキスパートの専門チームが組織され、術後は経過観察を専門とするスタッフがかかわり、その後完治に至るプロセスでは徐々にスタッフが少なくなっていく。そんなイメージがPGAツアーのチームです。

 専門性がより重視されるゴルフのコーチですが、近年ではスイング、ショートゲーム、パッティング、メンタルなどに細分化されています。それ以前は技術系のコーチが1人でスイング、ショートゲーム、パッティングなどを指導していましたが、21世紀に入ってから専門化していきました。

 ゴルフがスポーツとして進化した表れとも言えるでしょう。プロ・アマ含めて、プレーヤーのレベルに合わせて指導の仕方も大きく変わってきています。

 学校教育において、小学校、中学校、高校、大学ではそれぞれレベルによって教育内容が違うのと同じです。ゴルフ初心者には小学校の先生のように基本的なことを教えることが可能ですが、中学生以上になれば教科ごとの先生が必要です。

 さらに高度な教育になれば、それに見合ったレベルの先生でなければなりません。プロであれば、大学教授レベルの高度な専門性を持ったコーチが必要になります。

■「パッティング・ショット」まったく異なる分野

 スコアが100を切るかどうかの人がパッティングコーチを付けてもあまり意味はありません。初心者に最適な指導者は、小学校の先生のように基本をすべて教えてくれるコーチでしょう。「1+1」を教わるのに、高校の数学の先生は必要ないのです。

 ですが、トッププロともなると、難解な数式を解かなければなりません。必然的に専門性のあるコーチが必要となるわけです。

 パッティングとショットという分野を見ても、教え方には物理と数学のような違いがあります。パッティングの場合、振り幅は小さく、運動というよりは物理現象に近い動作です。パターをどのようにボールに当てるかがパッティングにおけるティーチングでは重要視されます。

 一方、ショットはフィジカルの要素がかなり強いので、パッティングとは行う動作が異なり、必要とされる技術が違うのです。 では、一流プレーヤーのチーム構成と運営の現状はどのようになっているのでしょうか。

 トッププロのチーム構成は、スイングコーチ、パッティングコーチ、フィジカルトレーナー、キャディー、マネージャーが基本です。加えてマネジメント会社が必ず参画しています。マネジメント会社はツアーの移動手段や宿泊施設の手配、取材対応などの広報活動、選手の肖像権管理やスポンサー契約などプレー以外の周辺の仕事を担当します。

 一流スタッフを揃えようと思えば、当然ギャランティーは高額になります。契約内容によりますが、選手が賞金を得れば、そこから報酬も支払う必要があります。

 PGAツアー選手の場合、100位以内だと年間の賞金は2億円をくだりません。これに加え、スポンサーからの収入もあります。PGAツアーのシード120位以内の選手にはほとんどスポンサーが付きます。だから、コーチへの“経費”をまかなうことが可能となります。

■チームをマネジメントするのは選手の役割

 トップで戦う選手は自分自身でチームをマネジメントしていかなければなりません。いうなれば選手は監督兼ゼネラルマネジャー(GM)のような役割です。GMは適材を集めて組織づくりを担います。野球で言うならば、監督とGMを選手が自分で担い、コーチやフィジカルトレーナーを招聘して結果を出させるイメージです。

 ただし、最終的に目指すゴールとゴルフスタイルのコンセプトは、選手が明確に示す必要があります。

 このように、海外ではプロのコーチやスタッフとチームを組むことが一流プレーヤーとして戦い続けるための条件になります。適材適所の人材を組織するのは、選手の役割なので自ら適材を探し求めています。

 成長にとって必要なのは、自分を変えてくれる人に教えを受けることです。そして、その教えを受ける姿勢や取り組み方が大事になります。
学校で先生の授業を受け身で聞き、右の耳から左の耳に抜けてしまうようでは意味がありません。ここでは、先生を自ら見つけて教わるというマインドが成果に大きな違いを生みます。大学でも自ら選択し興味を持った先生の授業なら熱心に受講するものです。

 これと同じで、ゴルフを上達したいなら、自分でメンターや師となる人を見つけて、教えを請うことです。自分で師を探すことが上達の出発点ですが、ここが欧米と日本では温度差があります。

 指導を受ける側の選手は、ただ知識を得るだけではなく、また対症療法的に技術を改善するのではなく、自分のゴルフのビジョンをはっきりと描き、それに向けてのプランを立て、どのようなプロセスでその計画を実行していくのか。上達するためにはゴルフ人生のビッグピクチャーを描き、長期プランを持たなければいけないと思います。

 ゴルフ人生をいかに自らマネジメントしていくか、ゴルフ人生のプロジェクトマネジメントをどう進めていくかということが大切になるのです。

東洋経済オンライン

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最終更新:11/28(日) 12:01

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