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三菱「アウトランダーPHEV」電動SUVの進化に歓喜

10/28 15:01 配信

東洋経済オンライン

 三菱自動車工業のフラッグシップであるSUV(スポーツ多目的車)の「アウトランダーPHEV」が、2021年10月28日にフルモデルチェンジを発表した。アウトランダーは、まずガソリンエンジン車として、初代が2005年に登場している。初代は、フランスのPSAへも供給される(プジョー4007/シトロエン・Cクロッサー)など、SUVとしての商品性が欧州でも評価された。

 2012年に2代目となり、その年末にプラグインハイブリッド車(PHEV)が追加発売された。特徴は、2009年に発売された軽自動車の電気自動車(EV)「i-MiEV」のモーターやバッテリーを応用していることだった。また、ガソリンエンジンは搭載するが、それは主に発電用であり、4輪での駆動はモーターのみで行うシリーズ式ハイブリッドシステムを採用している。

 1997年に世界初の量産ハイブリッド車(HV)として発売されたトヨタ「プリウス」は、シリーズ・パラレル式と呼ばれるハイブリッドシステムを使い、トヨタは今日も同機構を改良させながらHVやPHEV(トヨタはPHVと表現する)に適用している。このシステムは、ガソリンエンジン車の燃費を2倍に向上させることを目的に1990年代に開発され、走行のための駆動は、エンジンとモーターの両方を走行状況に応じて使い分けたり併用したりする。

■シリーズ式を採用したアウトランダーPHEVの価値

 アウトランダーPHEVが採用したシリーズ式ハイブリッドは、かつて研究用であったり、商用車での実用例はあったりするが、プリウスの誕生によってHVが日常化した現代においては、乗用車への本格的実用化は近年になってからのことだ。トヨタ方式がガソリンエンジン車の燃費を2倍にすることを目的としたのに対し、三菱自の方式はEVを応用したハイブリッドシステムといえる。その後、日産が同じくEVの「リーフ」の技術を応用したe-POWERを発売し、HVの販売を本格化した。

 アウトランダーPHEVは、気候変動抑制のため欧州で急速に進んだ電動化において、EV商品が欧米自動車メーカーでまだ十分に整わない間に、PHEVの最量販車となった。とくに北欧での販売が好調だった。ガソリンエンジン車とはいえ初代アウトランダーが欧州で認められ、また環境性能だけでなく、本格的4輪駆動(4WD)車パジェロでのパリ~ダカール・ラリーでの活躍などによる4WDの独創技術など、モーターによる4WDとなるアウトランダーPHEVの性能は、厳しい冬を過ごす北欧で歓迎されたといえるだろう。

 アウトランダーPHEVは、今年刷新され、新型として誕生した。前型の後期から三菱自動車工業であることを特徴づけるフロントグリルの造形ダイナミックシールドが2015年からすでに採用されてきたが、新型はさらにそれを強調した外観が目を釘付けにする。先に「デリカD:5」のマイナーチェンジで用いられた縦長のヘッドライト部分の造形が、SUVではよけいに目立ち、独創性を訴えかけてくるのだ。車体も大柄になり、まさに威風堂々といった外観だ。

 技術面では、電気駆動系がより高性能化された。車載のリチウムイオンバッテリー容量が従来の13.8kWh(キロ・ワット・アワー)から20kWhへ、45%近く増量された。前輪モーターは60kWから85kWへ、後輪モーターは70kWから100kWへ性能を向上させている。前後モーターの駆動力の配分と、前輪左右のトルク配分は前型より採用されているが、新型では後輪の左右トルク配分が追加された。

 また、ドライブモードが前型は5つであったのが、新型では7つに増えた。パワーモードとマッドモードが新しく、エコ、ノーマル、ターマック、グラベル、スノーは継承されるが、ターマック(旧スポーツ)とグラベル(旧ロック)は名称が変更された。そのほか、運転支援技術やSOSコールの追加など、機能が刷新または新設されている。

■試乗で感じた高級セダンのような乗り味

 今回の試乗は、発表前に敷地内のサーキットコースで行われた。そのため、試乗での印象は限定的となる。それでも新型の進化には驚かされるばかりであった。サーキットコースでは、周辺の建物や歩行者などほかの交通がないので、速度感覚がわかりにくい。よほど速度計を注意して見ていないと高速走行になりすぎる傾向になる。だが、あえて公道を意識した運転をしたつもりだ。

 何より印象深いのは、アウトランダーPHEVがSUVというより、上級車あるいはそれ以上の高級車のような乗り味になっていたことだ。静粛性はもちろん、力強く滑らかな加速、そして乗り心地の快さが抜群だ。運転席からの視線は高いが、高級セダンにでも乗っているかのような気分にさせられた。

 背が高く、横幅も広い大柄なクルマだが、ハンドル操作をしたときの動きが軽やかで、快活な運転感覚が運転する喜びを湧き起こさせる。

 じつは「エクリプスPHEV」が発売された折、比較対象として前型アウトランダーPHEVをやはり敷地内のサーキットコースで運転したことがある。もちろんエクリプスクロスPHEVは前型アウトランダーPHEVより小型なので、より敏捷な走りを体感させ、小型ハッチバック車でも操るかのような気にさせた。それに対して前型アウトランダーPHEVは、動きが鈍いというわけではないが、より重量級の大柄なSUVの持ち味で、山間を縫うような道を楽しむより、長距離を快適に移動するのに適したSUVという印象だった。

 ところが、新型アウトランダーPHEVは、ハンドルを左右へ操作をしたときの身軽さが、屈曲路などの運転も楽しませるのではないかと思わせた。もちろん、エクリプスクロスPHEVとは持ち味が異なり、小型ハッチバック車とスポーティセダンというような違いはある。それでも前型に比べ車体は大柄になり、バッテリーが増量され、車両重量が重くなっているはずなのに、そうしたネガティブ要素を感じさせない爽快さがあったのである。

 試乗を終えてクルマを降りると、パリ~ダカール・ラリーで総合優勝をした増岡浩氏が「いいクルマでしょう?」とほほ笑んだ。極限の走りを制覇したプロフェッショナルをも微笑ませる仕上がりである。

■PHEV技術のセダンへの展開に期待膨らむ

 試乗を終えて改めて思うのは、今人気のSUVのフラッグシップとして新型アウトランダーPHEVの価値が高まったのはもちろんだが、その出来があまりによいので、個人的にはこのプラグインハイブリッド手法を活用した上級セダンがあれば、さらにフラッグシップとしての価値を明らかにし、三菱自動車工業のブランドをいっそう前進させるのではないかと感じるのである。

 一方で、現在の三菱自動車工業は、経営の柱を電動化とSUVの2本に絞り込んでいる。それが、三菱自動車工業の持ち味を存分に活かした商品体系を作り出しているのは間違いない。それでも、前型アウトランダーPHEVが、北欧を中心に存在価値を示した欧州市場では、ブランドを牽引するのは今なおセダンである。年間販売台数が60万台超のボルボでも、主力はSUVだが、セダンを車種構成に加えている。

 今すぐにというわけにはいかないかもしれない。だが、新型アウトランダーの実力を体験すると、上記のような構想がおのずと湧き起こるのである。

 またセダンへのPHEV活用の場が、提携関係にある日産自動車へ広がっても興味深い。日産には、スカイラインやフーガといった上級セダンがある。それらが新型アウトランダーPHEVを応用した次世代型として新登場すれば、相当に高性能かつ上質なセダンを形作ることができるのではないか。そんな妄想を思わせるほど、新型アウトランダーPHEVの試乗は衝撃をもたらしたのであった。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/28(木) 15:01

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