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「日本株なんてどうせダメに決まってる」と決めつける人が見逃す真実

10/25 6:31 配信

東洋経済オンライン

 アメリカの主要な株価指数が、おおむね堅調だ。先週22日のニューヨーク(NY)ダウ工業株指数は3万5677ドルで引け、史上最高値を更新して終わった。

 S&P500種指数も22日は小反落したものの、21日に史上最高値を記録している。ナスダック総合指数は高値更新とはなっていないが、21日の高値は9月7日の終値ベースの最高値をわずか1%下回ったにすぎない。

■やっぱりアメリカ株の好調には確かな理由がある

 こうしたアメリカの株価についての好調さの主因は、オーソドックスなことではあるが、経済や企業収益が回復軌道をたどっていることにある。

 経済指標では、10月15日発表の9月の小売売上高が、事前予想では前月比で減少すると見込まれていたところ、実際には前月比で0.7%増加したことが、市場心理を明るくした。

 また労働市場においては、新型コロナウイルス感染症に対する懸念などから労働市場に復帰しない個人が多く、一方で景気が回復し企業の求人が増えているため、労働需給の逼迫から賃金が上昇してインフレにつながる、との懸念がささやかれていた。しかし21日の週次新規失業保険申請件数は、3週連続の減少となって、「労働者が仕事に復帰しつつある」との観測が広がり、賃金インフレへの不安が薄らいだ。

 さらに企業収益については、足元発表されている7~9月期の決算発表に対し、総じて内容が好調だとの評価が膨らんでいる。S&P500種指数採用銘柄のうち、23%ほどの企業がすでに収益を公表したが、その1株当たり利益の集計値は前年比で46.0%増益となっている。

 未発表の企業については、慎重に見ているアナリストが多いようだが、既発表分にアナリスト予想の平均値を加えて500社全部で集計すると、前年比32.5%増益となる。これは6月末時点でのアナリスト予想値であった23.6%増益よりも、かなり高い数値だ(以上の集計値はファクトセットによる)。

 もちろん、マクロ経済統計でも弱いものはあるし、企業の決算発表でも、IBMやインテルなど、市場の失望を呼んで株価が下落したものもある。
加えて、日々の市場の動きを見ても、「あたふた」とした局面が目についてきている。

 例を挙げると、18日にはOPECプラスの増産(減産幅の縮小)があまり進んでいないとの報道から、原油価格が1バレル=84ドル近くまで上振れ、そのためにアメリカの10年国債利回りも1.6%を超えたことから、同国の主要株価指数が下落した。

 しかし一方で、当日発表の9月の鉱工業生産の前月比減少(8月末のハリケーンの影響が大きいのだが)から、エネルギーに対する需要が減退したとの観測がその後広がり、原油価格が反落。10年国債利回りも1.6%を割れて、ザラ場安値から株価指数が持ち直す、というドタバタだった。

 また22日には、ジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長のオンライン講演での「インフレが根強い」という発言に反応して一時長期金利高・株安に振れたかと思えば、議長が「利上げは当分先だ」との主旨を述べたことに注目が移り、一転して金利が低下し株価指数が持ち直すといった、右往左往状態だった。

■2022年の「株価下振れ」予想は不変

 そもそも経済指標の動きを昨年から振り返ると、コロナ禍でほとんどのアメリカの経済指標が昨年4月にボトムをつけたあと、急速な改善を見せた。

 しかし足元では、回復一服に見えるものが混じってきている。依然としてアメリカの経済や企業収益が改善基調にあることは確かだと判断するが、改善の勢いが弱くなってきているとすれば、これから先のアメリカの株価は上昇こそするものの、上昇率は大幅ではないだろうし、上昇期間も長くはないだろう。

 NYダウ工業株指数は、12月末前後(「前後」は、かなりの幅を持って考えていただきたい)に、3万7000ドルあたりまでは上昇すると見込むが、その予想値は現在の値から1割も高くない。さらに、今年終わりごろまでに形成する高値が当面の高値ともなり、2022年は株価が大きく下振れする局面があるだろう(これについては、もう少し先で詳しく述べたい)。

 一方、足元の日本株については、どうもパッとしない。「ドル建て日経平均」を100倍したものを、NYダウ工業株指数で割った比率を見てみよう(100倍しているのは、桁を合わせるため)。

 今年2月には日経平均が上振れたため、この比率は同月16日の0.91倍でピークをつけたが、その後はほぼ一貫して低下基調をたどり、8月20日に日経平均が年初来安値を更新した際には0.70倍で底をつけた。そこからいったん9月に0.82倍までリバウンドしたものの長続きせず、22日は0.71倍とまた低迷している。

■ドル高円安論は「いきすぎ」

 最近はドル円相場に動意があったが、今は為替相場がどう動いても、日本株売りの口実に使われている感がある。ドル円は9月下旬を起点にドル高円安が進み、10月20日には一時1ドル=114円70銭円に迫った(相場データはロイターによる)。

 この円安局面では、「これは日本がダメだから円が売られているのだ」「円安とドル建てのエネルギー価格高が同時進行しているため、円建ての輸入エネルギー価格が高騰し、日本企業の収益が圧迫される」といった、「悪い円安」論が優勢となった。

 こうした急速な円安については、当方の有料メールマガジン「世界経済・市場花だより」(10月17日号)で、いくつかの分析を示して、「ドル円相場の天井はかなり低く、せいぜい115円を少し超えるかどうかにとどまる(120円などには進まない)」との予想を提示した。

 その詳細は同メールマガジンに譲るとして、実際の為替相場も先週末にかけて円高に振れ戻り、113円57銭でドル相場は週を終えている。ところが、そうして円高に戻った先週後半には、「円高になっているから輸出株が売られた」との解説も唱えられた。今度はあたかも「悪い円高」論が市場を支配したかのような様相だ。

 こうした「日本株はどうせだめだめ病」が蔓延するのは、別に足元に限ったことではなく、過去から頻繁に流行してきた感が強い。とくに国内機関投資家の間では、どうせだめだから買いもしないが売りもしないという不活発な状態になっており、このため短期海外筋が買えば上がり、売れば下がるという体たらくに陥っている。

 9月半ばにかけて日経平均が上振れし、その後は下振れするといった、大幅な「行って来い」相場になったが、こうした値動きにいちばん驚いているのは売り買いした短期筋自身ではないか、という識者の指摘があった。

 大いに同意する。つまり「ちょっと買い上げたら、日経平均がこんなに上昇して、驚いた」というわけで、海外短期筋は「やはり日本株市場は海外勢に振り回されるという点では新興国並みだ」との事実を、あらためて認識したのではないだろうか。

■目先の日米株価の乖離は「時差」によるもの

 そうした日本市場の体たらくは、今後もずっと続くだろうし、それをあれこれ言っても変わらないだろうから、なげいても仕方がない。ただ、足元の相場つきに限れば、先週アメリカ株が堅調でも日本株が軟調だったのは、そうした構造要因だけではないだろう。

 これは、日米企業の収益発表の「時差」によるところが大きいと解釈している。アメリカではすでに7~9月の決算発表社数が増加し、前述のように市場がそれを好感する動きが優勢となっている。一方、日本では、3月本決算企業の上期決算発表は今週以降が佳境となる。

 日本ではひと足早く2月本決算企業の上期業績が公開されたが、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、9月まで緊急事態宣言などが発令されていたため、2月本決算企業で多数を占める小売り・外食などの内需系企業の上期実績は当然冴えないものとなった。「今後に期待」というところだが、2月本決算企業でも輸出製造業の竹内製作所や安川電機などは、株価の反応はともかく、決算内容は良好だった。

 3月本決算企業では、輸出製造業企業が多くなる。自動車の減産が完成車メーカーや自動車部品メーカーの収益の重しとなっていると推察されるものの、設備機械などの輸出は好調に推移している。このため、アメリカに遅れる形で、日本も企業収益の堅調さを好感し、株価が再度上値を探る展開に入ると見込まれるのではないだろうか。

 日経平均も、年末前後に向けて3万円を超え、2月と9月の高値にほぼ並ぶという「当面最後の株価上昇」を遂げるものと、引き続き予想している。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

東洋経済オンライン

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最終更新:10/25(月) 6:31

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