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光浦靖子「エッセイスト」としても超一流な理由

10/24 15:31 配信

東洋経済オンライン

女性芸人として30年近く活躍し続ける光浦靖子さん。彼女が「エッセイスト」としても才能があることをご存知でしょうか?  彼女の文書とその魅力について、医師でベストセラー作家の鎌田實さんの新書『ミッドライフ・クライシス』より一部抜粋・再構成してお届けします。

 お笑い芸人で、インテリ・ナンバーワン女性芸人とも言われている光浦靖子さんが雑誌に寄稿した文章によると、彼女は、2020年に入って「つまずいた」。

 そんな中、新型コロナウイルスが世界で感染拡大。パンデミックで留学どころではなくなった。

■彼女の文章は抜群に面白い

 留学は、ミッドライフの中で彼女なりの選択だったのだと思う。40代に入った頃から仕事がゆるりと減り始めたというのだ。自分では一度も仕事に手を抜いたことはないという。それなのに減ってきた。これはミッドライフ・クライシスの始まりなのかもしれない。

 「私は独身です。旦那も、子供も、彼氏もいません。わかりやすく私を必要としてくれる人が側にいません。年齢に比例して増えてゆく休み、そりゃ不安になります よ。長い夜、思っちゃいますよ。『私は誰にも必要とされていない』と」

 彼女の文章は抜群に面白い。これで生きていけそうな気がする。“女芸人エッセイスト”として今後さらに注目されるだろう。

 「大学生の頃、バイトをクビになってばかりでした。ミスしてクビになったのは仕方ないが、ミスしなくてもクビになる。なんでみんな続けられるんだろう。結婚もそう、出産もそう、ほとんどの同級生ができたのに、なんで私にはできないんだろう」

 これを書けるって才能だと思う。

 「いつも人の目を気にしています。みんなができることができなくて、できないことがバレるのが恥ずかしいから、『元々、人と同じは嫌いなの』風を装っていました。自由奔放に生きるなんて私から最も遠いことです。もうすぐ50歳、もう考え方を変えられるほど柔軟じゃない。だったら、ひん曲がったなりにナチュラルに生きてみよう」

 もうのけぞってしまう。50代を“切ない”女芸人としてジタバタしながらそれをエッセイに書いていけば、めちゃくちゃ面白いんじゃないかと思う。

 さらに光浦さんはこんな風に続ける。

 「マジでやばい!  リアル緊急事態なはずなのに、不思議と心は穏やかです。コロナで留学もできず今は生殺し状態なのに、行動を起こさなくても、決心するだけで心境は変化するようです。相変わらず、金のかからない女です」(以上「文藝春秋」2020年 月号「巻頭随筆」より)

 パートナーがいない。子どももいない。誰にも必要とされていない。一見辛そうに見えるが、じつは身軽であるということはとても魅力だ。好きなところにいつでも行っていい。好きなことをやっていい。こんな幸せなことはないはず。

 彼女には、客観的に自分自身を見る力がある。これは生きるうえで大きな武器だ。自分をおちょくれるってすごい才能だ。他人をイジるのが上手くても自分がイジられると逆上する人が多い。

■「自分イジり」の天才

 光浦さんは自分で自分をイジっている。しかもそのイジり方が見事だ。光浦さんの文を読んでいて、ここは私も似ていると思うところがある人も多いのではないだろうか。

 誰にも必要とされないと自ら言える光浦さんが、どんな風にこれからの50代を生き抜いていくかとても楽しみで目が離せない。そんな人が徐々に多くなっていくのではないだろうか。

 そんな光浦さんにこそ、二十数年いまだかつてないブレイクがやってくる可能性もあるように思う。もちろん、何でもアリ。誰よりも身軽なんだから、好きなようにすればいいのだ。

 たこ糸の切れた凧が中年の輝く星になることだってあるってことを、彼女は目に物を見せることができるような気がする。ものすごく楽しみだ。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/24(日) 15:31

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