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「シメにラーメン食べる人」ほど体調不良に陥る訳、翌朝ダルくて起きれなくなるのも理由があった

10/23 15:31 配信

東洋経済オンライン

飲んだあと、シメにラーメンを食べるという人は多いのでは。たしかにシメのラーメンは格別の味。しかし、体に悪いというのも事実。シメのラーメンが翌朝、体調不良を招く理由を、医師の溝口徹氏による新書『お酒の「困った」を解消する最強の飲み方』より一部抜粋・再構成してお届けする。

 飲んだ翌朝、起きようと思っても体が重だるくて起き上がれない。這うようにしてなんとか仕事に行っても、体がだるい。こんな経験をしたことのある酒飲みも多いのではないだろうか。「二日酔い」という言葉で片付けるのは簡単だが、激しい運動をしたわけでもないのに、お酒を飲むとなぜ、翌朝は疲れが残ったような状態になってしまうのだろう。

 その理由もまた、アルコールが代謝される過程にある。少々難しい話になるが、説明しよう。

■理由1:乳酸が増える

 1つ目のキーワードは「乳酸」だ。乳酸は激しい運動をすると血液や筋肉で急激に増えることから、疲労の原因物質と考えられていた。

 ところがマラソンを走り終えた直後に調べてみると、血液中の乳酸の濃度は高くない。実際には、乳酸は代謝されエネルギー源として利用されるのだが、乳酸をエネルギー源として利用できないときには、乳酸は蓄積し疲労を感じる状態になっている。

 つまり乳酸は疲労の原因物質ではなく、蓄積した乳酸を利用できないことが、ある種の疲労状態を招くと言い換えることができる。

 そして、アルコール代謝時にも、激しい運動をしたときと同じように乳酸が大量につくられるようになるのだ。

 お酒を飲むと、アルコールが代謝され、アセトアルデヒドに分解される。その過程で、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)が大量に消費される。

 実はこのNADは、形を変えてNADHという物質になる。さらに、アセトアルデヒドが酢酸に分解される過程でも、同じようにNADが消費され、NADHになる。

 簡単に言えば、お酒を飲むと、その代謝の過程でNADが大量に使われてなくなり、NADHが大量につくられるということになる。NADはNADHをリサイクルすることによってつくられるため、飲酒をするとこのリサイクル反応が進むことになる。このリサイクルは、代謝のさまざまな場面でおこなわれている。

 その1つに、ピルビン酸から乳酸がつくられる反応がある。これは理由2で述べる、エネルギー産生と関係した反応だ。

 飲酒によってアルコール代謝が優先されると、糖質からつくられるエネルギー源であるピルビン酸が、乳酸に変換されてしまう。これは糖質を摂ってもエネルギー源であるピルビン酸→アセチルCoA合成の流れに行かず、乳酸が増えてしまうということである。

 ということは、お酒を飲んで乳酸が増え、疲れた状態で目覚めたときに、元気を出そうと思って砂糖がいっぱいの甘い飲み物を摂るのは逆効果ということになる。またお酒を飲んだあとの糖質たっぷりのシメのラーメンを食べるのは、太りやすいだけでなく、乳酸を発生させ、翌日のだるさの原因になる点からもおすすめしない。

■理由2:エネルギーがつくれない

 私たちの細胞のなかには、ミトコンドリアという細胞内でエネルギーをつくる発電所のようなものがある。ここでおこなわれているのが、TCAサイクルによるエネルギー産生なのだ。

 食事を通して得られた糖質、たんぱく質、脂質を代謝することで、アセチルCoAというエネルギーの原材料となる物質がつくられる。この三大栄養素からつくられたアセチルCoAはミトコンドリアへ運ばれ、エネルギーを生み出すATP(アデノシン三リン酸)に変換される。実際のエネルギーはATPが分解されるときにつくられるため、ATPは「生体のエネルギー通貨」などとも呼ばれる。

 このエネルギー合成のしくみは、TCAサイクルといわれる通り、多くの中間代謝産物によってサークル状の回路を形成し、ビタミンB群の助けを借りて回路がグルグルまわり、その過程でATPがつくられるようになっている。

 どのような反応であってもきっかけが必要となるが、TCAサイクルは、三大栄養素からつくられるアセチルCoAと、アミノ酸代謝の過程でつくられるオキザロ酢酸という2つの物質の存在が出発点になる。つまりエネルギー通貨といわれるATPは、アセチルCoAとオキザロ酢酸がなければ生み出されないのだ。

 お酒を飲む人はアルコール代謝が優先されるため、つねにNADの需要が増え、NADHからNADがリサイクルされる反応が促進されることは前項で述べた通り。

 このリサイクル反応のなかには、オキザロ酢酸からリンゴ酸をつくる反応も含まれる。つまりアルコール代謝が優先しておこなわれているときには、TCAサイクルをまわす出発点に必要なオキザロ酢酸が消費されてしまい、TCAサイクルがまわらなくなりATPがつくられないようになってしまう。いわばエネルギー不足状態となるわけだ。

■理由3:低血糖になる

 もう1つ、飲んだ翌日のだるさの原因に、アルコール代謝の過程で低血糖を起こしやすくなることが挙げられる。普段からお酒をよく飲んでいる人や糖尿病の人がたくさんお酒を飲んだ場合は特に注意してほしい。

 なぜ、アルコール代謝が優先されると低血糖になってしまうのか。そのメカニズムについて説明しよう。

 食事を通して得られる血糖(血液中のブドウ糖)は、私たちの体のエネルギー源になる大切なものだ。

 通常の場合、食事を摂ると血糖値はゆるやかに上がり、その後インスリンというホルモンの働きによりゆるやかに下がる。

 しかし、食事によって大量の血糖が入ってきたり、インスリンの調節がうまくいかないと、血糖値が上がりすぎたり下がりすぎたりする「血糖調節異常」が起こる。これが低血糖症だ。

 血糖値が下がりすぎると、体のエネルギー源が得られなくなってしまうため、私たちの体は「糖新生」というシステムで血糖値が下がりすぎるのを防いでいる。

 例えば山で遭難したときに、水だけを飲んで何とか数日間しのぎ発見されることがある。そのようなときでも意識はしっかりしている。これは、食べ物を食べなくても体の脂肪を分解しエネルギーをつくり、糖新生によって血糖値を維持しているからである。

 糖新生による血糖値の維持では、まず肝臓に蓄えられたグリコーゲンを分解し、ブドウ糖を血液中に供給する反応が起こる。ところが正常な人であっても肝臓のグリコーゲンの貯蔵量は少なくて、数時間で枯渇してしまう。

 飲酒習慣がある場合には、肝臓でのグリコーゲン貯蔵量は著しく減少しているため、ほとんどあてにならない。

 肝臓のグリコーゲンからの糖新生がなくなると、体は別の方法で血糖値を維持しようとする。筋肉などに蓄えられたアミノ酸のうちブドウ糖へ変換することができる糖原性アミノ酸を材料に、おもに肝臓でブドウ糖をつくり血液中に供給して低血糖を防ぐのだ。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/23(土) 15:31

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