IDでもっと便利に新規取得

ログイン

史上最高値更新の米国株式市場は今後も投資の主役なのか? ファンドを使った分散投資のススメ

10/23 11:18 配信

モーニングスター

 米国株式市場が再び史上最高値を更新した。10月20日には、NYダウが2カ月ぶりに史上最高値を更新し、翌21日にはS&P500が1カ月半ぶりに史上最高値を更新した。21日にはテスラが約10カ月ぶりに上場来高値を更新している。米国株の勢いは、まるで2020年半ばのDX(デジタルトランスフォーメーション)を手掛かりにした米国大型ハイテク株相場の再来を感じさせる。過去10年以上にわたって世界の市場をリードしてきたアメリカ株式の先行きをどのように考えればよいのだろうか?
 

◆GAFAMがけん引し、他の市場を圧倒した10年
 

 過去10年にとどまらず、過去30年以上前に遡っても「米国株式」は「米国を除く世界株式」をアウトパフォームし続けている。アライアンス・バーンスタインが9月に発表した「米国経済・株式市場の見通し」というレポートでは、1987年12月を起点とすると2021年8月末までに米国株式(MSCI米国)は39.9倍になり、米国を除く世界株式(MSCIオール・カントリー・ワールド・除く米国)は約8.2倍になることが示されている。87年12月から、米国株式は一貫して世界株式(除く米国)を上回るパフォーマンスになっている。ただ、世界株式に対して5倍の差をつけるほどに大きな格差が生じたのは、この10年くらいのことだ。
 

 米国株式が他の国々の株式市場と比較して際立って上昇したこの10年余りは、「リーマン・ショック」のボトムである2009年2月を起点に考えると分かりやすい。09年2月末を100とすると、米国株式は21年9月末に約825と8.25倍になっていることと比較して、中国株式(MSCI中国)、欧州株式(MSCI欧州)、日本株式(MSCI日本)、新興国株式(MSCIエマージング・マーケット・インデックス)は、いずれも400に届かない。他の地域のもたつきをものともせずに、米国株式だけが軽快に最高値を更新し続けている。
 

 10月20日以降の株価の史上最高値更新は、米国企業の21年7-9月期の業績発表で、事前予想を上回る好決算が続いていることが材料になっている。たとえば、10月20日時点で米調査会社の集計によるとS&P500採用企業の決算発表は全体の約14%で、うち85%は事前予想の利益を上回る業績になったという。21日にテスラの株価が上場来高値を更新したのも、7-9月期決算が史上最高益を更新したことが材料になっている。この企業業績によって、コロナ・ショック後に広がった「DXの恩恵を最も受ける企業群が米国の大手テクノロジー企業である」という市場の見立てが間違いなかったことが確認できる。
 

 GAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)に代表される米国の大手テクノロジー企業は、米国内だけでなく、世界のIT需要を取り込むことによって、かつてない成長を遂げている。中国やインドなどの新興国においても、携帯端末への需要は強く、携帯端末の普及に伴って、米国の大手テクノロジー企業の製品やサービスが世界的な規模で消費されるようになっている。コロナ・ショック後の株価の動きは、世界のIT需要を米国企業が集中的に吸い上げていると考えてみると納得しやすい。米国企業の好調な決算は、大方のアナリストの予想では2022年まで継続する見通しだ。
 

◆「コロナ特需」がはげ落ちた後の市場を展望する
 

 一方、これから後も、いわゆる「コロナ特需」のような爆発的な需要が続くかというと、その見通しは厳しいといえる。世界市場を開拓している間は、平時を超える需要を取り込むことができるが、世界市場に製品・サービスが一通り行き渡ってしまうと、そこから後は、市場平均並みの需要に落ち着くものだ。もちろん、他社の需要を奪って成長できる革新的な製品・サービスを開発できれば、その限りではないが、米国株式という大きな集団で考えた場合は、急速な成長が鈍化していくと考えた方が良いだろう。また、「米国ファースト」を唱えたトランプ大統領が退任し、その後を受けたバイデン大統領が米国民にすこぶる評判が悪いことは、米国株式にとって決して良いことではない。
 

 現在、米国はコロナ・ショックで落ち込んだ需要喚起策として実施した大幅な金融緩和を巻き戻すテーパリング(量的金融緩和の縮小)の開始タイミングをはかっているところだ。12月にもテーパリングが開始されるとみられている。中央銀行から市場にジャブジャブと供給され続けていたマネーの供給量が徐々に少なくなっていくことになる。ただ、このテーパリングによって、米国株式市場が下落するということではない。実際に2008年の「リーマン・ショック」時に景気刺激策として取られた量的緩和後のテーパリングでは、実際にテーパリングが始まった2013年12月以降、テーパリングを完了した2014年10月まで米国株価はNYダウで16000ドルから17000ドルに緩やかに上昇した。テーパリングは、金融緩和で支える必要がないほどに、実体経済がしっかりしてきたことの証でもあるためだ。
 

 このように米国株式の位置や、金融政策の変化を考えると、「米国株式さえ持っていれば、投資は成功する」といわれてきたことには見直しが必要だろう。米国株式市場が金融緩和を手掛かりにした「金融相場」から、実体経済を踏まえて動く「業績相場」に軸足を動かすのであれば、企業業績の割には株価が割安な、欧州や日本の株式に物色の矛先が向いてもおかしくない。米国の株式市場でも、これまで市場をリードしてきた「IT(情報技術)」は引き続き好調だが、「金融」や「エネルギー」などの業種の株価の上昇も目立ってきた。「グロース(成長株)からバリュー(割安株)への転換」という言われ方もする。この「バリュー」の視点で世界株式をみれば、欧州株式や日本株式にも十分魅力的な株式がある。
 

 これからの投資先を考える場合は、「米国ファースト」に捉われることなく、「日本株式」「欧州株式」「新興国株式」など、幅広い視点で市場を考える態度が重要だ。幸いにも、国内の投信市場には、「オール・カントリー・ワールド・インデックス」という新興国も含む全世界の株式を対象としたインデックスファンドも存在する。また、新興国を含む全世界の株式を対象としたアクティブファンドもある。「ポスト・コロナ」といわれる経済を展望して、改めて、投資機会がどこにあるのかについて考えてみたい。米国のテーパリングの議論は、私たちに「経済のリ・スタート」を知らしめてくれるきっかけといえるだろう。(グラフは、MSCI地域別指数の推移)
 

モーニングスター

関連ニュース

最終更新:10/23(土) 11:18

モーニングスター

投資信託ランキング

Yahoo!ファイナンスから投資信託の取引が可能に

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング