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<新興国eye>カンボジア中銀、為替市場で連続してドル売り介入

10/22 12:25 配信

モーニングスター

 21年9月以降、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、為替市場に介入する目的で、金融機関を対象とした入札でドル売り・リエル買いを行っています。NBCでは、21年の為替レートのリエル安ドル高の動きに懸念を示し、リエルの購買力を維持して、物価安定・マクロ経済安定につなげたいとしています。

 9月の介入は合計7回、総額1億7000万ドルでした。入札結果による為替レートは、1ドル=4114-4123リエル。9月30日に、10月には総額2億ドル規模の入札を行うと発表しています。

 NBCが為替市場に介入するのは、20年に引き続き2年連続です。ただ、19年以前となると、9年ほどは実績がなく、09年、10年にリエルの対ドルレートが1ドル=4200リエルを超えるリエル安となったところで介入していました。介入規模は、09年29回で合計5400万ドル、10年48回で合計4800万ドルとなっています。

 20年から21年は1ドル=4100リエルを超えたところで介入を決定しており、若干早く感じますが、NBCでは、新型コロナの影響やドル金利の上昇もあって、新興国や周辺諸国の為替が不安定になる可能性が高まっていることに懸念を有しているものと見られます。

 日本が為替市場に介入したのは、カンボジアとは逆で円高を防ぐためでした。ドル買い介入は東日本大震災があった11年が最後ですが、この年は合計で14兆2971億円をつぎ込んでいます。しかし、市場の力には抗し難く、11年9月には1ドル=74円台まで円高が進みました。

 カンボジアの場合、高度にドル化されており、リエルの発行額も限定されているため、これまでは少額の介入で為替レートを適正化できています。しかし21年は、繰り返し介入しているにも関わらず、市場レートは1ドル=4100リエル前後で大きく動いていません。なお、21年の介入金額(3億7000万ドル)は、これまでで最大規模と見られますが、カンボジアは潤沢な外貨準備を保有(207億ドル)しており、介入のためのドルが不足するといった可能性は相当に低いものと見られます。

 NBCは、中央銀行デジタル通貨(CBDC)バコンを導入するなどして、高度にドル化したカンボジアで自国通貨リエルの使用を促進しています。ドル建て取引が8割以上というドル化の中で、リエルの使用を促進するためにはリエル・ドルの為替レートの安定は欠くことのできないものであり、NBCの今後の動きを注視する必要があるものと見られます。

【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

◎当該記事は外部執筆者により作成されたものです。記事は執筆者が信頼できると判断したデータなどにより作成いたしましたが、その正確性などについて保証するものではありません。

提供:モーニングスター社

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最終更新:10/22(金) 12:25

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