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飼い猫の1日の行動を首輪で追跡「Catlog」の凄み~犬に比べると「猫は健康管理が難しい動物」

10/22 13:01 配信

東洋経済オンライン

 “猫ビジネス”と言うと、猫をだしにお金儲けをするようで聞こえが悪い。しかし近年、猫のビジネス貢献度はうなぎ登りに上昇中だ。

 ペットフード協会の調べによると、日本における2020年の猫の新規飼育者の飼育頭数は48万3000頭。前年に比べ116%の増加となっており、増加率はその前年の107%よりさらに高まっている。これはコロナによる巣ごもり需要の一種と捉えられる。すなわち、家にいることが増えた分、自宅で過ごす時間をもっと豊かに、大切にと考える人が増えたということだ。

 当然ながら、猫にまつわる消費や市場も拡大している。

 猫を飼う人が増加しているだけでなく、個々の消費金額も上昇傾向に。近年の傾向としては、猫が暮らしやすい環境を整えたり、健康面でのケア商品の市場が広がっていることが挙げられる。猫の健康をケアする猫フーズやサプリメントは当たり前で、さらに最近では、キャットウォークを取り付けた猫専用住宅なども話題となっている。

■猫の健康を含め一生を見守るための商品

 今回登場するRABOも、こうした市場で飛躍的な成長を見せる企業だ。

同社の強みは、猫の追跡技術と、それにより蓄えられた24億件に及ぶデータだ。これを活用し、猫の健康を含め一生を見守るための商品を開発・販売している。

 核となる技術を開発したのは代表取締役社長の伊豫愉芸子(いよゆきこ)氏。

 小さな頃から動物が好きで、実家で猫を飼っていたため、20数年、猫のいる生活が当たり前だったという。

 東京海洋大学大学院時代に「バイオロギング」という、海洋生物などにセンサーをとりつけ、行動を追跡する研究に従事。さらに社会に出るとリクルートに入社、インターネットサービスやプロダクトの企画・開発を10年間担当した。この2つの経験をもとに2018年2月22日(猫の日)に同社を立ち上げたという。

 「今、猫様の健康管理は大きな課題となっています。獣医さんに話を聞くと、もっとも困っているのが“病院に来てくれない”ことだそうです。当社の技術を利用して体調の変化を早期に察知できれば、受診のきっかけになりますよね。結果として猫様の寿命を延ばすことにつながりますし、獣医療の発展や、“かかりつけ医”という考え方の普及にも意義があると考えています」(伊豫氏)

 同氏によると、猫は犬に比べても健康管理が難しい動物だという。もともと1匹で行動する動物であり、本能的に体調が悪いことを隠す性質がある。また、仕事などで出かけている飼い主は猫の姿を見ない時間が長くなり、猫の異変を見落としやすい。

 さらに、病院に連れていこうとするといやがるので、受診させる心理的ハードルも高い。

 しかし同社では独自技術により猫の行動を追跡し、これまで明らかになっていなかった猫の生態を研究。膨大なデータをもとに、猫の健康を守る商品を開発してきた。またこれらの研究結果は11月はじめに発表の予定だという。

■スマホで猫の行動を確認できる

 具体的にどのような商品があるのだろうか。

 「Catlog」(本体税込み1万780円+月額利用料580円)は基幹となる商品。首輪につけた小型センサーで猫の1日の行動を追跡する。飼い主が遠く離れていても、スマホからその行動を確認できる。元気がないなど、ふだんとの違いに気づきやすくなり、病気等の早期発見につなげられる。

 「Catlog Board」(本体税込み1万6280円/台+アプリ月額利用料580円)は猫トイレの下に設置するボード状の計器で、尿・糞などの排泄回数・量、体重などを記録して健康管理に役立てる。使用しているトイレに組み合わせて使えるところや、多頭飼いにも対応するところが画期的だ。また単体でも利用できるが、Catlogとの組み合わせで1日の行動を含めた総合的なケアが可能となる。

 「Catlogフードケア」は、Catlogと組み合わせて使うアプリの機能だ。Catlogで取得した運動量と飼い主が入力したフードの種類・量から消費と接種のカロリーバランスを計算、食事管理に役立てる。

 注目したいのは、独自の計算ロジックを所有しているところ。

 伊豫氏によると、ペットフードの袋の裏に記載されている目安の給餌量は、庭がある、室内が広いなどの環境で暮らす海外の猫の行動や体型をベースにつくられており、ほぼ家の中で暮らす日本の飼い猫にはそぐわないのだという。また、飼い猫にとっての適量を判断しかねている飼い主は多い。

 同社の商品やサービスはトータルで猫の排泄、運動、栄養面を見守ることができ、病気などを早期発見しやすくなる。

 同社では商品開発や商品訴求において約60件の動物病院の協力を得ているというが、そうした獣医師からも「こういう商品を待っていた」という声が寄せられているそうだ。

 さらに特徴的なのが、実際に猫の行動を読み取り、それをもとに猫の気持ちになって開発されている点だ。

 猫は人間の思惑とは異なる行動ばかりをとるように見える。喜ぶ猫の姿を想像しつつ大枚はたいて準備しても、猫は見向きもしない……などは本当によくあることだ。

 しかし同社の商品はその点で異なっている。 “猫はお客様でありユーザー”という基本姿勢のもと、猫を中心に商品を開発しているためだ。猫を話題にするときは“猫様”と表現するゆえんだ。

■軽量で安全な首輪型センサー

 Catlogで言えば、まずデバイス、つまり首輪型センサーの開発において、その姿勢が試された。猫からすれば重くて行動の妨げとなる首輪は苦痛でしかない。いやがらずつけてもらうために、その形状には苦心を重ねた。

 伊豫氏手ずから粘土をこねて模型を作り、飼い猫でありCCO(Chief Cat Officer)のブリ丸に使用感を確認してもらうという過程を繰り返した。

 結果としてできあがったのが、10円玉2枚にも満たない(もっとも重いものでも約9g)軽量、かつ、ヒゲにあたらないよう工夫された形状の首輪だ。音に敏感な猫のための静音設計で、一定の加重がかかるとベルトが外れる仕組みになっている。どこかにひっかかって口にはまる、首が絞まるなどの事故を防ぐ工夫だ。

 Catlogは同社がスタートした2018年の10月にクラウドファンディングサイトMakuakeにて発表したが、予約開始直後、1時間で完売。最終的な応援購買金額は457万1600円と、当初目標金額の150%に達したそうだ。

 購入者からも「これまで首輪が苦手だったのにCatlogは大丈夫だった」という声や、首輪を外すと「返してくれ」と要求したというエピソードが寄せられている。お気に入りの服のような感覚なのであろうか。

 もし首輪に慣らさせられるか心配な場合でも、購入前に1週間の試用ができるそうだ。

 【2021年10月22日15時00分追記】 記事初出時、試用期間に誤りがあったため上記のように修正しました。

 2020年10月に発売したCatlog Boardについては、“猫がいやがらない”という利点が飼い主にとってよりわかりやすくキャッチーだったようだ。予約開始後6分で初期ロットが完売、応援購入総額は1549万円で、達成率は5163%に至った。

 これまでも尿量やその頻度で体調管理をする商品は販売されているが、ネックとなっていたのが、専用のトイレを購入しなければならないことだった。

 猫のトイレは本体の形状、猫砂の素材、その組み合わせなど、猫の繊細な好みが表れる用具である。最適なものを見つけるまでに何種類も試さなければならず、少しでも環境が変わると、排泄に支障を来すようになってしまうこともある。猫の健康のためだからと言っても、トイレを変えて果たして使ってくれるものか心配で、なかなか購入に踏み切れない、という飼い主は多いだろう。

 その点、既存のトイレで使えるということが、飼い主にとっても大きなメリットと感じられたのだろう。

 Catlog Boardは多頭飼いでも、複数の猫が1つのトイレを共有している場合ならデバイスは1台でOK。体重の違いなどで個々の猫を認識できるためだ。なお、Catlogは「多頭飼い割引」があるのだが、こちらについては正規料金×デバイスの台数となっている。

■猫にまつわる福利厚生

 このように、開発ではブリ丸をはじめ複数の猫モニターに使用してもらう。また猫のための商品づくりを支えるのが、「CS(キャットスペシャリスト)」という専門の担当だ。

 客からの問い合わせに対応するほか、商品開発にも参画して客の声を活かす役割を担う、特別な職務である。同社では猫同伴OK、子猫を引き取ったときの最長1カ月のリモートワーク制度、ペットの忌引きなど、猫やペットにまつわる各種優遇制度があるものの、猫を飼うかどうかはスタッフの自由。ただ唯一、キャットスペシャリストのみは猫を飼っていることが職務に就く条件となっているそうだ。

 以上説明してきたように、何よりも“猫の立場”に立って開発された同社の商品。猫飼い同士の強力な口コミであっという間に情報が拡散され、確固としたブランド力を持つに至っている。販売チャネルとしては当初のMakuake以降は公式サイト、通販サイトなどだが、公式サイトを通じての購入が圧倒的に多いとのことだ。

 今後の活動について、伊豫氏は次のように述べている。

 「データを使った、パーソナライズされたモノづくりはこれからも広がっていくビジネス領域だと感じています。その中でもペット市場は盛り上がりを見せていて、アマゾンなどグローバル企業が多数参入してきています。そうした流れを横目で見ながら、当社は猫の分野でリードする存在でありたいと思っています」(伊豫氏)

 2022年1月のCESショーを機に、海外への展開も開始していく予定。また将来的には、かかりつけ獣医が患者となる猫のデータを受診前に共有できるなど、獣医と連携する仕組みも取り入れていきたいという。

 フードテック、フェムテックなど、その対象に応じたテクノロジーが注目されている。新たな分野である“キャットテック”において、同社が先端を走る企業であることは間違いない。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/22(金) 15:03

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