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女性部下の態度がいきなり「豹変」した上司の悩み

10/19 16:01 配信

東洋経済オンライン

つねに自分が優位に立ち、称賛されていないと気が済まない自己愛型の人は、感情の起伏が激しく、すぐにねたみやひがみを抱いて人間関係をこじらせてしまう。こういう人に遭遇してしまったら、相手を正したり、諭そうと思ってはいけない──『平気で他人をいじめる大人たち』の筆者で、カウンセラー経験の長い見波利幸氏が、自らが接した実際のエピソードに基づいて解説する。

■もともとは仲のいい上司と部下だった

 30代で既婚男性のYさんは、同じ部署で働く女性社員Rから嫌がらせやストーカー行為を受けています。自宅まで尾行されることもあり、家族にも被害が及ぶのではないかと心配して、私のところに相談にやってきました。

 Yさんは、すらりとした高身長で仕立てのよさそうなスーツがとても似合い、いかにも好青年という印象の男性です。いわゆるイケメンというやつでしょうか。これでは女性にストーカーをされても無理はないな、と思われる容姿なのです。私がする質問に対しても、よどみなく理論立てて答える様子を見ていると、きっと仕事もできて人望も厚いのだろうと想像できます。

 問題のストーカー女性社員RとYさんは、同じ部署の先輩・後輩の関係でした。Rは入社3年目の若手社員です。彼女が入社したときに、新人の教育係として指導に当たったのが先輩社員のYさんでした。

 Rは小柄でロングヘアの可愛らしい感じの人で、男性社員にも人気がありました。ただ仕事の覚えはよいほうではなかったため、彼女が何か失敗するとYさんがフォローするというようなことはよくあったそうです。それでも2人の関係はおおむねうまくいっていました。

 Rが入社し2年後のことです。Yさんの部署に女性の新入社員が入ってくることになりました。その新入社員の女性は、Yさんの部署に配置される前から「数年ぶりの断トツにかわいい子」という噂がたつほどでした。Yさんは、その美人の新入社員の指導係になりました。

 その頃からでしょうか。RのYさんに対する態度が変わり始めたのは。挨拶をしても無視される。Yさんが仕事のことで何か聞いたときも、いかにも嫌そうな態度で答える。あるときなど、書類を落としてしまったRのために一緒に拾ってあげていたら、「何するんですか!」とにらまれ書類を奪い返されたそうです。YさんにはRに嫌われるようなことをした覚えはないのですが、とにかく近くに寄っただけでも嫌がられるので、なるべく彼女のそばには行かないようにしました。

 そんなある日、めずらしくYさんの席に近づいてきたRは、Yさんの耳もとでボソッとつぶやいたそうです。「奥さんきれいな人ですね。死ねばいいのに」と。その言葉を聞いたときの恐怖感は、今でも鮮明に覚えているといいます。

 その言葉によって、Yさんは自分が彼女にストーカーされていたことに初めて気がついたそうです。Yさんはこれまで、Rに自分の奥さんの写真を見せたことなどありません。ということは、RはどこかでYさんの奥さんを見たということ。

 どこで見たのか?  奥さんが会社に来たことはありません。となると、Yさんを自宅まで尾行しなければ、奥さんを見ることなどできないでしょう。それも1回尾行しただけでは、奥さんを確認することは難しいはず。きっとRはこれまでに何度も、Yさんをつけていた可能性が高いでしょう。

 「もし、Rが妻に危害を加えるようなことがあったら……」。そう考えると、Yさんは夜も眠れなくなるほど心配になりました。

■淡い恋心が激しい嫉妬に変わった瞬間

 なぜ、RのYさんへの態度が急変したのでしょうか。

 Yさん本人は気がついていないようですが、Rは新入社員の頃から優しく接してくれるYさんに淡い好意を持っていたのではないでしょうか。ただ、RもYさんが既婚者だということは知っていたはずで、奥さんから奪ってしまいたい、とまでは思っていなかったはずです。Rの淡い恋心が激しい嫉妬に変わっていったのは、タイミング的にみてどうやら美人の新入社員の存在が関係していると思われます。

 美人の新入社員が配属されると、Yさんは指導係としてRにしていたように仕事を教えます。そうなると、必然的にYさんがRに関わる時間は以前よりも減ります。それは仕方がないです。ですが、Rは自分と接する時間が減ったことで、激しい嫉妬を抱いてしまったのです。

 ただ淡い恋心を抱いていただけのYさんに対し、「奥さんきれいな人ですね。死ねばいいのに」という恐ろしい言葉を浴びせかけてしまうという言動は、Rは非常に自己愛が強いタイプだと言えるでしょう。

 「ねたみ」や「嫉妬」とは、「他人をうらやましく思い、その分だけ憎らしいと思う感情」のことです。Rは最初、仕事ができて優しいYさんに憧れ、羨望のまなざしで見ていました。それが新入社員の出現によって、Yさんの自分への評価が下がったように思え、急にYさんのことが憎らしくなり、いつしかYさんを恨むようになったのです。Yさんを取り巻く女性である美人の新入社員のことも、彼の奥さんのことも恨みの対象になっていったのでしょう。

 自己愛型の人は、ねたみや恨みの感情のほかにも、ナルシシズムの傾向が強いためつねに自分が優位に立ち、賞賛されていたいと望んでいます。Rは新入社員の頃は、周りの男性社員にちやほやされていたため、彼女の自己愛は満たされていました。しかし、新入社員が入ると、自分はみんなの賞賛の対象ではなくなってしまった。

 このことは、Rにとっては許しがたい侮辱でした。侮辱を受けたと感じたRは、周囲の人たちを憎み、非難し、ねたみや僻(ひが)みの感情からYさんに意地悪をしたのでしょう。

■感情がジェットコースターのように変化する人たち

 Rのように、最初は相手のことを尊敬や崇拝していたのに、状況が変わった途端に相手を憎むようになるというのは、感情の起伏が激しい証拠です。さらにストーカー行為まで行ってしまうあたり、かなり激しいタイプの自己愛型だと言えます。

 たとえば、相手に少しでも優しくされると、自分の中で勝手に恋愛感情が盛り上がっていきます。「この人はなんて素敵な人なの」「こんなに優しくしてくれるってことは、もしかしたら私のことが好きなのかもしれない」と独りよがりになって、喜びの感情が急上昇します。

 しかし何かのきっかけで、自分は相手に冷たくされている、嫌われていると感じると、一瞬のうちに感情がジェットコースターみたいに急降下するのです。「あの人は最低の人間だ」「絶対に許せない」「大っ嫌い」となって、徹底的に恨む。ネガティブな感情が増幅されていき、やがて相手を尾行して家を突き止めたり、私生活を暴こうとしたり、相手に向かってひどい言動を行ったりします。

 こういう人に遭遇してしまったら、相手を正したり、諭そうと思ってはいけません。こちらが親切のつもりで取った行動でも、自己愛型の人にとっては自分への攻撃だと捉えてしまうのです。ですから、こういう人に対しては、距離を取るしかありません。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/19(火) 17:06

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