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サンリオがクロミに託す「脱かわいい」の重大任務。Z世代に照準、構造改革を背景に全社で店舗刷新

10/16 8:01 配信

東洋経済オンライン

 「かわいい、ピンク。子供っぽい」。そんなイメージから脱却できるか、サンリオの社運を懸けた全社プロジェクトがついに本格始動した。

 10月8日、サンリオはダイバーシティ東京(東京都江東区)の直営店舗をリニューアルオープン。同社の人気キャラクター「クロミ」を前面に押し出す形で一新した。店頭は従来のカラフルなイメージと異なり、黒を中心にシックな装飾としている。

 店舗限定商品も黒で攻めている。ハローキティをはじめ、シナモンやマイメロディなどのぬいぐるみは黒一色だ。マスクやエコバッグ、プチタオルもそれぞれ黒で統一。アイスクリームやケーキなどの飲食メニューまでが、黒色のフードを中心としている。

■Z世代に刺さる新エースキャラ

 今回の主役、「クロミ」は2005年に生まれたキャラクター。ドクロがチャームポイントで、おっとりしたマイメロディに対してライバル心を持ち、ちょっかいを出す。乱暴者に見えつつも、実は女の子らしい。そんな性格が16~25歳の「Z世代」を中心に人気を集めている。

 ファンの投票で決まる「サンリオキャラクター大賞」では10位付近を行き来していたが、2020年に7位、2021年は5位にランクイン。キティ(6位)を抜き、ライバルのマイメロディ(4位)に肉薄する人気ぶりだ。

 キャラクターを前面に出すイベントショップ自体は珍しいものではないが、同店の持つ意味は単なるリニューアルにとどまらない。サンリオの構造改革と新戦略を背景とする一大プロジェクトなのだ。

 前2021年3月期に12期ぶりの最終赤字に転落したサンリオは構造改革の真っ最中だ。物販事業ではアイテム数の大幅な削減、不採算店の撤退などを打ち出している。コロナ禍ではショップを支えていた訪日客需要が消失し、とくに都内は厳しい状況に陥った。

 また、以前からの課題としてブランドイメージが「かわいい、ピンク、子供っぽい」に集中し、顧客が固定化する現象も起きていた。従来のサンリオのイメージを抜け出し、新たなファンを開拓する取り組みが必要だったのだ。

■脱サンリオでファン層を広げる

 黒い頭巾を身に着け、いたずら好きの要素を持つクロミは、「優しい、仲良し」といった特徴を持つキャラクターが多いサンリオでは異質な存在。人気上昇中ということもあり、プロジェクトの主役にうってつけだった。クロミを通じてZ世代を取り込み、店舗のみならず、サンリオ全体の新しいイメージをアピールする狙いがある。

 商品企画部の荒木仁氏も「脱サンリオ」を強調する。「新しいお客様に関心を持っていただくため、クールでかっこよく、モノトーンな店舗づくりを意識した。驚きや意外性、面白さも盛り込んでいる。かわいいイメージを変えていきたい」。

 今回は商品開発から店舗の設計、店頭の商品構成、ライセンスなど各部署のメンバーが参加している。過去にも子供っぽさの脱却に向けた取り組みなどはあったが、部署をまたぐプロジェクトにはなっていなかった。実は、進行中の構造改革には縦割りの傾向が強かった組織改革が含まれている。ここでも早速変化をみせた格好だ。

 ダイバーシティの店舗は、意外性や驚きといった面から脱サンリオを目指す「Am@zing(アメイジング)プロジェクト」の第1弾。辻朋邦社長も次の展開に意欲を見せる。

 「ちょっと違ったサンリオの一面を見て、一瞬でも笑顔になってもらいたい。これってサンリオなの? というものでいい。いろいろな方に価値を提供したい。フィードバックをしながら次の企画をやっていく」

 創立から61年、ハローキティをはじめ世界レベルの成功事例を持つサンリオゆえに、イメージ脱却は容易ではないだろう。事業の構造改革、組織改革とともに、今回のような施策を打ち続けられるかが「脱サンリオ」の重要ポイントになりそうだ。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/16(土) 8:01

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