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発売2年で明暗わかれた「MAZDA3/CX-30」販売台数の変化に見るマツダSUV戦略の是非

10/16 7:01 配信

東洋経済オンライン

 マツダが「新世代商品」として発売しているのが「MAZDA3」と「CX-30」、そして「MX-30」だ。MAZDA3は2019年、CX-30は2020年、そしてMX-30は2021年と連続してデビューしている。今回はデビュー後2年となるMAZDA3と、1年後となるCX-30の成績を振り返りたい。

 マツダの新しい時代を担う“新世代商品”の第1号として、MAZDA3は2019年5月24日より日本国内での発売が開始された。

 MAZDA3という名は国内初だが、先代まで「アクセラ」と名乗っていたCセグメントのハッチバック/セダンがフルモデルチェンジにより名称変更を行ったもので、そのルーツは昭和の時代に大ヒットした「ファミリア」にある。

 新世代商品と銘打つだけあって、デザインやメカニズムが大幅に進化しているのが特徴だ。2020年の「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」を獲得するなど、特にデザイン面での評価が高い。

 シンプルかつモダンな印象のデザインは、「日本の美意識に基づく引き算の美学」から生まれたとマツダは説明する。

 また、圧縮着火を基本とする先進の「SPCCI(火花点火制御圧縮着火)」を実用化した「スカイアクティブX」エンジンを採用したのもMAZDA3のトピック。新世代を謳うように、マツダの最新技術が惜しむことなく投入されているのだ。

 ボディ形状はハッチバックとセダンの2種類があり、そこに1.5リッターと2リッターのガソリンエンジン、1.8リッターのクリーンディーゼルエンジン、そして2.0リッターのスカイアクティブXエンジンという4種のパワートレインを搭載する。

 先代のアクセラにラインナップされていたフルハイブリッドはなく、オルタネーター(発電機)をアシストと減速エネルギー回収に使う、マイルドハイブリッドを使う。価格は約220万~370万円だ。

■スタートダッシュは好調だったMAZDA3

 まずは、MAZDA3の販売成績を振り返ってみたい。

 デビュー直後となる2019年6月の販売ランキング(軽自動車を除く、自販連調べ)に、MAZDA3は36位(1591台)で初登場する。そして、翌7月は23位(3668台)に順位をアップ。この時点で、マツダ車としてはランキングトップに。そして8月に16位(3916台)、9月に11位(7533位)と順調に販売を伸ばし、7月から9月までマツダ車トップが続いた。

 その後は順位を落とすものの、12月までに2万4667台を販売して、年間ランキングでは23位を獲得。実質、半年間の販売で約2万5000台という成績は、マツダにとっては十分すぎるほどのものだろう。

 事実上の先代モデルとなるアクセラは、年間販売で約2万5000台であったのだ。それを、新しいMAZDA3は半年で達成した。スタートダッシュとしては大成功だったといえる。ところが、2020年になると様相が変わってくる。

 2020年上半期(1~6月)は9968台で、37位。2020年は通年でも1万9215台で35位となったのだ。

 半年間しか売っていない初年度よりも、2年目の通年のほうが少ない。そして、2021年上半期(1~6月)もランキングも9237台で35位と、ほぼ前年と同じペースとなっている。

 2019年9月の11位を最高到達点とし、2020年以降は年間2万台規模のペースで安定しているわけだが、アクセラ時代よりも、若干数字を落としているのが残念なところだ。

■デビュー直後からベストセラーとなったCX-30

 CX-30は、MAZDA3と同じメカニズムを持つSUVだ。ざっくり言えば、MAZDA3のSUV版であり、トヨタ「カローラ」から生まれた「カローラクロス」や、「ヤリス」をベースとした「ヤリスクロス」と同じ生い立ちとなる。価格は約240万~270万円で、MAZDA3とほぼ変わらない。

 2019年9月に予約受け付けを行い、翌10月より発売を開始。初月となる2019年10月の販売ランキングには、21位(2525台)で初登場した。順位はそれほど高くはないが、それでもマツダ車としてはトップ。

 その後もCX-30は好調を維持して、翌2020年4月までマツダ車トップを守り続ける。2020年上半期(1~6月)のランキングでは1万5937台を販売して24位となり、マツダ車としてナンバー1であった。

 また、2020年の通年(1~12月)では、2万7006台で27位に。マツダ車トップの座こそ「デミオ」から名称変更した「MAZDA2」に譲るものの、ルーキーでありながら堂々の“マツダ車ナンバー2”となったのだ。

 ちなみに2021年上半期(1~6月)のCX-30の販売は、1万1661台(30位)。マツダ車としてはMAZDA2、ミドルクラスSUVの「CX-5」に続く3位のポジションを守る。デビュー2年目で、CX-30はすっかりマツダの主力モデルに成長しているのだ。

 MAZDA3とCX-30の販売成績を並べると面白いことがわかる。発売直後からのスタートダッシュを決めたMAZDA3がピークを迎え、販売を落としていったのは2019年10月のこと。一方、CX-30は同年9月下旬より受注を開始し、10月より正式に発売を開始した。つまり、MAZDA3の失速とCX-30のデビューが同じタイミングであったのだ。

 言ってしまえば、CX-30が登場しなければ、MAZDA3の販売はもっと伸びたかもしれない。マツダファンのニーズを、MAZDA3とCX-30で食いあってしまった可能性があるのだ。

 しかし、逆の見方もできる。「CX-30を追加したことで新規顧客を獲得できた。マツダとしては総数では伸びた」というものだ。実際のところ、MAZDA3とCX-30の2モデルを合計すれば2020年の販売台数は、4万6221台となる。MAZDA3だけで、この数字を達成できたかといえば、はなはだ疑問だ。 

 なぜなら、MAZDA3の属するCセグメントハッチバック/セダンの国内市場はすっかり縮小しているからだ。過去に「ティーダ」などを持っていた日産はこのカテゴリーから撤退しているし、ホンダの「シビック」も苦戦気味。

■SUVが欠かせない現代の自動車市場

 トヨタでさえ、カローラにはハッチバック/セダン/ステーションの他に、旧モデルとなるセダンの「カローラアクシオ」と同ワゴンの「カローラフィールダー」を併売するワイドバリエーションを用意して、ようやく11万8276台(2020年)。さらに、ほんの数年前は年間7万台に落ち込んでいた。

 そこにハッチバックとセダンだけのMAZDA3で、年間4万5000台規模を維持するのは難しいだろう。しかも、現在はSUVブームだ。カローラやヤリスにSUVを追加したトヨタの姿勢が正しいのではないだろうか。

 2年を振り返れば、MAZDA3が失速したようにも見えるが、CX-30というバリエーションを増やしたことで、マツダ全体としてプラスになった。マツダの戦略は正しかったのだ。実際に、今はマツダで3番目にたくさん売れているのがCX-30である。数字が、その正しさを証明しているのだ。

 マツダは、2022年以降SUVラインナップを強化し、日本にも「CX-60」と「CX-80」を導入するとしている。SUVをラインナップし、全体のパイを増やしていくというマツダの戦略は、これからが本番なのかもしれない。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/16(土) 7:01

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