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双子の名前発表はもうすぐ?「パンダ」の命名事情

10/4 13:01 配信

東洋経済オンライン

上野動物園で生まれた雄と雌の双子のジャイアントパンダの名前が10月中旬以降に発表されます。かつては商標登録で悩まされたこともあるパンダの名前。世界では、料理名など多彩な名前がパンダにつけられています。
 上野動物園で6月23日に生まれた双子のジャイアントパンダが10月1日に100日齢を迎えた。9月28日の体重は、雄も雌も5550gで全く同じ。動ける範囲も広がってきた。歯は9月28日時点で雄が5本、雌が8本生えている。これまで母乳と人工乳だけで育っているが、しばらくすれば固形物も食べられるようになるだろう。

 上野動物園は、双子のパンダの「名前候補選考委員会」を9月29日にオンラインで開催した。ちょうど、日本に初めてパンダが来るきっかけとなった日中国交正常化から49年目だが、この日になったのは偶然。選考委員は、女優で日本パンダ保護協会名誉会長の黒柳徹子さんら6人が務めている。

 名前は8月7日~20日に公募した。応募できるのは1人1回で、雄・雌の名前を1点ずつ、それぞれカタカナ9文字以内という決まり。19万2712件の応募があり、この中から委員会で候補を選んだ。

 名前は、パンダの所有権を持つ中国側にも確認したうえで東京都が決定し、10月中旬以降に発表する。

 決定した双子の名前に関する権利は、上野動物園を運営する東京動物園協会に帰属する。委員会の開催から名前の発表まで、最短でも2週間近くある。この間に東京動物園協会が名前を商標登録すると見られる。

 実は、上野動物園にはパンダの名前を巡る苦い経験がある。『ジャイアントパンダの飼育 上野動物園における20年の記録』(東京都恩賜上野動物園編、1995年、東京動物園協会)にその経緯が記されている。

 同書によると、前述の日中国交正常化のわずか1カ月後、1972年10月28日に来園した雌のランラン(蘭蘭)と雄のカンカン(康康)は、上野動物園の知らぬ間に商標登録され、同園がこの固有名詞を商品につけることができなかった。

 そのため1986年6月1日に生まれた雌の「トントン」(童童)は、名前が知れ渡る前に商標登録を済ませることにした。だが一筋縄ではいかなかった。

 まず、第1次選考で残った15種類の名前すべてを出願する必要に迫られた。第1次選考の内容が外に出ることは避けられないと判断したためだ。出願事務は弁理士に委託した。だが、商標登録は34部門に分かれており、15種類の名前を全部門に登録すると510件の出願になる。これでは莫大な費用がかかるので、第24類(おもちゃ、人形)と第26類(印刷物・写真)の2部門に絞って出願した。

 その後の第2次選考で名前はトントンに決まったので、他の14種類の権利を放棄した。ただ、第26類については、ある出版社がトントンと類似の登録をしていたため、出願審査で「拒絶」の判断が下された。結局、トントンは第24類のみの商標登録となり、総額176万3750円の費用がかかったそうだ。

■中国との協議経て「シャンシャン」に

 上野動物園で2017年6月12日に生まれたパンダの名前は、同年7月28日~8月10日に公募して、応募数は32万2581件に上った。このうち、応募数の多い上位100点から、同じような名前、国内外にいるパンダと同じ名前、既存のキャラクター名、商品名などを除き、残った中から名前候補選考委員会が投票で8種類に絞った。

 8種類の中で、応募数が5161件と最多だった(2位は「レンレン」で4454件)ことなどを総合的に評価して1種類に絞り、商標登録状況の調査や中国との協議を経て、「シャンシャン」(香香)に決定した。

 パンダの名前は、中国の慣習にならって100日齢を目安に付けられることが多い。パンダは誕生初期に命を落とすことが珍しくなく、100日を過ぎると健康状態が安定して、一安心できるとされる。

 シャンシャンは2017年9月20日に100日齢となり、小池百合子都知事が9月25日にシャンシャンの名前を都庁で発表した。上野動物園は「名前おひろめ会」を10月8日に園内で開き、シャンシャンの名前で応募した人の中から抽選で1000人に記念品を贈った。

 2021年に生まれた双子パンダは、100日齢となり、順調に成長している。職員は引き続き24時間体制で飼育している。名前が決まっても、新型コロナウイルス禍なので、「名前おひろめ会」は開かない予定だ。命名者への記念品の贈呈もなく、応募者全員に双子パンダの写真の壁紙データがすでにプレゼントされている。

 果たして双子パンダには、どのような名前が付くのだろうか。上野動物園の歴代のパンダは「シャンシャン」のように繰り返す名前だが、ほかの動物園では、そうでない名前も多く、実に多彩だ。

 2020年3月17日に中国・四川省の成都ジャイアントパンダ繁育研究基地で生まれた双子のパンダには食べ物の名前が付けられた。武漢の名物料理「熱乾麺」(ルーガンミエン)と、成都の名物料理「蛋烘糕」(ダンホンガオ)だ。同年2月頃は、新型コロナが武漢を中心に猛威を振るっていた。双子パンダの名前には、この出来事を忘れないようにしようという思いや、医療従事者への感謝の思いなどが込められている。

 オランダのアウエハンツ動物園で2020年5月1日に生まれた雄のパンダは「ファンシン」(梵星)と命名された。「梵」はオランダの芸術家、ゴッホの中国語表記「梵高」に由来する。「星」は父親の名前「シンヤー」(星雅)から取った。

 フランスのボーバル動物園で2017年8月4日に生まれた雄のパンダは、「夢の実現」を意味する「ユアンモン」(圓夢)と名付けられ、命名式にはフランスのブリジット・マクロン大統領夫人らが出席した。一方、ドイツのベルリン動物園で2019年8月31日に生まれた雄の双子のうちの1頭の名前は「モンユアン」(夢圓)だ。

■フランスの双子にかわいいニックネーム

 幼いパンダに幼名やニックネームを付けたり、中国から来たパンダに日本での名前を付けたりすることもある。

 前述の「熱乾麺」の幼名は「平平」(ピンピン)、「蛋烘糕」の幼名は「安安」(アンアン)だ。偶然かもしれないが、「平平」と「安安」は、中国が1950年代にロシア(当時はソビエト連邦)のモスクワ動物園へ贈ったパンダの名前と同じ。モスクワ動物園のパンダのアンアンは、日本のマガジンハウスが発行する雑誌「anan」の名前の由来になった。

 フランスのボーバル動物園で2021年8月2日に生まれた双子の雌のパンダは、生後間もなくニックネームをもらっている。「フルールドコトン」と「プティットゥネージュ」で、それぞれ「綿花」と「小雪」を意味する。白くてふんわりしたイメージが、赤ちゃんパンダによく似合う。フランス語のためか、おしゃれで、かわいらしい印象も受けるニックネームだ。

 上野動物園で生まれたシャンシャンと双子の両親は中国生まれなので、中国名がある。雄が「ビーリー」(比力)、雌が「シィエンニュ」(仙女)だ。2頭は10年前の2011年2月21日に中国から来園。同年1月2日~23日に上野動物園が日本での名前を公募した結果、雄は「リーリー」(力力)、雌は「シンシン」(真真)に決まった。リーリーは活発で力持ちのイメージ、シンシンは純真・天真などの優しいイメージがあるのが理由だ。

 上野動物園は、この名前を3月22日の一般公開と同時に公表する予定だったが、「早く新しい名前に親しんでもらえるように」と3月9日に公表した。その2日後に東日本大震災が発生して、上野動物園が3月17日から休園したため、2頭の公開は延期。再開園した4月1日に公開となった。

 神戸市立王子動物園で暮らす雌のパンダの中国名は「シュワンシュワン」(爽爽)。日本での名前は、中国から来園したのが2000年7月16日のため、「新しい世紀の幕開け」という意味の「タンタン」(旦旦)に公募で決まった。

■オランダや韓国は投票で名前を決めた

 パンダの名前を選ぶ方法もさまざまだ。

 和歌山県白浜町にあるアドベンチャーワールドで生まれ育ったパンダ17頭は全員、名前に白浜の「浜」が付いている。最初に生まれたのは2000年9月6日で、このパンダには、当時の白浜町長が「良浜」(らうひん)と命名した。

 2001年12月17日に生まれた雄の「雄浜」(ゆうひん)は当時の中国動物園協会会長、2003年9月8日生まれの双子の雄の「隆浜」(りゅうひん)と「秋浜」(しゅうひん)は当時の日本動物園水族館協会会長が名付け親だ。2005年8月23日に生まれた雄の名前は初めて公募して「幸浜」(こうひん)に決まった。以降、同園で生まれたパンダの名前はすべて公募で決めている。「浜」を付けることは応募規定にないものの、結果的に「浜」の付く名前が選ばれている。

 上野動物園やアドベンチャーワールドの場合、文字数などの規定はあっても、基本的に白紙状態で、応募者が自由に名前を考えられる。一方、海外では、あらかじめ動物園が指定した名前の中から応募者が選んで投票する場合もある。

 2020年に中国本土以外でパンダが生まれたのは、5カ所。このうち、前述のアウエハンツ動物園、韓国のエバーランド、アメリカのスミソニアン国立動物園は、4~5種類の名前の候補から、応募者が1種類を選んで投票する形だった。アウエハンツ動物園は、中国大使館や中国野生動物保護協会と協議したうえで、5種類の名前候補を提示した。

 スミソニアン国立動物園で2020年8月21日に生まれた雄のパンダの名前は、4種類の候補から投票を募った結果、シャオチージー(小奇跡)に決まった。母親のメイシャン(美香)は出産時22歳。記録がある中では世界2位の高齢出産で、まさに「小さな奇跡」の誕生だった。

 上野動物園は現在、双子パンダを「子ども(#1・オス)」「子ども(#2・メス)」と表現している。名前が決まれば、名前で呼ぶことができ、シャンシャンの時と同じく、名前入りのグッズがたくさん発売されるだろう。命名を楽しみに待ちたい。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/4(月) 13:01

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