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平均購入額530万円「アルファード/ヴェルファイア」購入者の実態

9/29 5:41 配信

東洋経済オンライン

 高級ミニバンの先駆けである日産「エルグランド」のフルモデルチェンジにぶつけるタイミングで、2002年に誕生したトヨタ「アルファード」。2008年のフルモデルチェンジ時に登場した兄弟車の「ヴェルファイア」。

 「アルヴェル」の呼び名も浸透し、Lサイズミニバンという特徴だけでなく、主にセダンの役割であった公用車やVIPの送迎車両といった立ち位置も獲得している。

 直近5年の販売台数は、アルファード/ヴェルファイアでそれぞれ2016年:3.7万台/4.9万台、2017年:4.2万台/4.6万台、2018年:5.9万台/4.3万台、2019年:6.9万台/3.7万台、2020年:9.1万台/1.8万台、(自販連より)と、年間10万台にのぼる。

 特に2020年に9万台を売り上げたアルファードは、乗用車ブランド通称名別順位で5位となっており、400~500万円がボリュームゾーンとなる高価格車であることを考慮すれば、“売れに売れた”と言っていいだろう。

 2016~2017年はヴェルファイアの方がアルファードより売れていたが、2018年からはこの関係が逆転し、アルファードの方が多くなっている。その理由は、2017年12月のマイナーモデルチェンジ(以下、MC)を経てフロントマスクが変わったこと、トヨタの販売店統合でアルファードの販売力が増した、という2点があげられる。

 実際2021年に入ると両車の差はさらに広がり、上半期の売上台数はアルファードの3位(56778台)に対し、ヴェルファイアは46位(4845台)だ。

 そんな売れに売れているアルファードとヴェルファイア、一体どんな人がどんな目的で買っているのだろうか?  今回はこの2モデルのユーザーデータ、特に販売を伸ばしている2017年12月のMC後モデルに注目してみよう。

 データは、市場調査会社のインテージが毎月約70万人から回答を集める、自動車に関する調査「Car-kit®」を使用する。分析対象は、断りのない限り2017年12月のMC後の購入者で、一部の分析では3代目アルファード(2代目ヴェルファイア)が発売された、2015年1月~上記MCまでの購入者も対象とした。

<分析対象数>
MC後アルファード:1678名/ヴェルファイア:903名
MC前アルファード:1004名/ヴェルファイア:1434名
※いずれも分析対象は新車購入者のみとする。

■ボリュームゾーンは20~30代男性か? 

 いつものように、まずは購入者の「性別・年代構成」から見ていく。性別は7:3で男性が多い。

 男性が多いのは予想どおりだが、大きな車は取り回しの観点で女性に敬遠されがちな中で、極端に男性に寄っているわけではない。

 年代は「20~30代」が約半数だ。ベーシックグレードでも350万円を超える高額車ではあるが、子育て世代の割合が多いようである。

 続いて保有台数を見てみると、6割程度の人がアルファード/ヴェルファイア以外にも車を保有していることがわかった。

 車種としては、トヨタ「アクア」、ダイハツ「タント」、ホンダ「N-BOX」といったコンパクトカーや軽自動車が多い。1人1台保有が多い地方では、通勤やちょっとした買い物にはサイズの小さな車を、週末などの多人数乗車時にはアルファード/ヴェルファイアをという使い分けをしていることが推察される。

 ちなみにエリア別で見てみると、アルファード/ヴェルファイアの特徴というわけではないが、大都市圏が含まれる1都3県、京阪神以外は2台以上保有が半数を超える。

 北陸、北関東では約8割が、東北、東海、中国、四国地方では約7割が2台以上保有している。日本が自動車大国であることを再認識させられる。

■アルヴェル→アルヴェルへの乗り換えが多いワケ

 高価格車で気になる「支払い方法」を見てみよう。新車購入者にしめる「現金一括払い」の割合は約6割(全車種・全メーカーの平均値:「Car-kit®」より)であるため、2車種ともに低い。購入者にしめる20~30代の割合が多いことから、ローンが多いことは合点がいく。

ただ、以前取り上げたジープ(Jeep)のように残クレが4~5割をしめることはなく、「ディーラー:一般のローン」「ディーラー以外:一般のローン」にも分散している。アルファードの残価率の高さはよく知られるところで、残クレとの相性はよいため、この結果は少々意外であった。

 次に、アルファード/ヴェルファイアの購入前に所有していた車を確認した。

 前有車を調べてみると、圧倒的にアルファード/ヴェルファイアからの乗り換えが多いことがわかった。両車とも、40%前後が旧モデルやMC前モデルからの代替えであった。

 そこまでアルファード/ヴェルファイアからの乗り換えが多いのであれば、前有車が「アルファード/ヴェルファイアか、それ以外の車種か」かで分けて見てみたいと思うのはデータ分析者としての性である。

 そこで、まずは保有年数の違いに着目した。「Car-kit®」では前有車の購入年データを取得しているので、今回、購入した車の購入年から差し引きすることで、前有車の保有年数がわかる。すると、アルファード/ヴェルファイアから乗り換えた人は、それ以外の車種に乗っていた人よりも保有期間が1年ほど短いことがわかった。

 つまり、トヨタ側の視点で言えば、アルファード/ヴェルファイアを一度購入してもらえれば、そのうちの半数程度はアルファード/ヴェルファイアへの代替えが期待でき、買い替えサイクルが加速する、といいことづくめである。

 リセールバリュー(再販価値)の高い車種ならではの、傾向だといえるだろう。高値で売れるため、車検などのタイミングで「わずかな出費で乗り換えられますよ」と誘導できるわけだ。

■アルヴェルからか、「それ以外」からか

 前有車がアルファード/ヴェルファイアか、それ以外の車種かでの分析を続ける。次のデータは支払い額、値引き額、下取り額についてだ。

 1つずつ見ていくと、「値引き前車両本体+オプション価格」はほとんど変わらず530万円程度である。前有車が何であれ、売れ筋グレードやオプションに影響を及ぼすことは考えづらいので違和感はない。

 売れ筋グレードの1つである「S“C パッケージ”(2WD・7人乗り)」が468万1600円だから、これにカーナビなどのオプションを追加していくとそれぐらいになるだろう。

 続いて「値引き額」であるが、こちらも差はない。それまで乗っていた車種によって、決算セール期に購入が集中するといった時期への影響は考えられないので、こちらも納得の結果だ。

 注目すべきは「下取り額」で、実に80万円近くも差がある。

 アルファード/ヴェルファイアは相対的に車両本体価格が他の車種より高く、人気車種であるためリセールバリューも高い。また、1つ前のページで示したとおり平均保有期間が1年ほど短いため、1年分“型落ちしていない状態”で下取りに出されるため、下取り額が高くなっているのだ。

 結果として、アルファード/ヴェルファイアからの乗り換えをした人は、平均値としては300万円台後半から乗り出している。

 仮に現金一括購入にこだわる人が、5~7年後に再び同様の金額で新型に乗るとすると、単純計算で1年あたり60万円程度、1カ月あたり5万円程度の支出で保有となる(維持費を除く)。年間60万円ずつ新車購入資金を貯めればいいとなれば、買い替えが具体的にイメージできるだろう。

 最後に「車種決定の理由」と「決定のこだわり度」を確認する。

 「車種決定の理由」では「車そのものが理由」、「決定のこだわり度」では「ぜひこの車種にしたい」のスコアが高く、アルファード/ヴェルファイアへの強い支持を示していることが見えた。

 アルファード/ヴェルファイアは国内のみならず、中国、香港、タイやその他ASEAN諸国の富裕層の間でも広く購入されている。「ミニバン」ではなく「大空間高級サルーン」をテーマに開発し、これまでのセダン需要を取り込んだ戦略は大きく成功していると言える。現状では競合と言えるような車種は国内には存在しないため、今後も独壇場が続くであろう。

■近づいてくるフルモデルチェンジの足音

 ここまでアルファードとヴェルファイアを並列に語ってきたが、ここ数年ヴェルファイアの販売台数は大幅減少している。と言うよりも、ヴェルファイアからアルファードに需要が流れており、冒頭のとおりアルファードが絶好調だという見方が正しいだろう。

 「アルファード+ヴェルファイア」の合計販売台数は毎年増加しているが、2021年上半期時点のヴェルファイアの販売台数は、アルファードの1/10以下、ランキングも40位台と低調であり格差が広がっている。

 次のフルモデルチェンジではヴェルファイアが廃止され、アルファードに統合されると見られており、メーカーや販売店もアルファードに販売を絞っていると考えられる。実際、ヴェルファイアは今、売れ筋の1グレードのみで、ボディカラーも2色だけしか販売されていない。

 経営の効率化という枠組みの中で、兄弟/姉妹車は縮小傾向にあるので、この方針もやむなしというところだろう。フルモデルチェンジの足音も近づく中で、現行モデルの販売がどう推移していくのか。そして新型がどう受け入れられるのか。人気車種の動向に注視していきたい。

東洋経済オンライン

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最終更新:9/29(水) 22:29

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