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「仮想通貨」で安易に一攫千金を狙う人の落とし穴

9/28 11:01 配信

東洋経済オンライン

 この数カ月、筆者の元に似たような相談が何件も寄せられる。それは「ビットコインに投資をしたいが、どう思うか?」というものだ。

 自らリスクをとって自分のお金を投じるわけだから、好きにすればいいと思うのだが、1つ気になるのはどれも投資未経験者からの質問であるということだ。最初の投資が投資信託でも株式でもなく、ビットコインというところに時代を感じるわけだが、今回はビットコインをはじめとする暗号資産への投資について考えてみよう。

■暗号資産を巡る近況

 ビットコインやイーサリアムなどの名前は聞いたことがあり、それらの総称は「仮想通貨」だと思う方もいるかもしれない。実は昨年の5月1日に施行された資金決済法の改正により、「仮想通貨」は「暗号資産」という呼び名に変更されている。

 ビットコインが8月に入って7月の安値から70%以上も値上がりしたことや、9月に中央アメリカのエルサルバドルがビットコインを法定通貨(アメリカドルと併用)として採用したことなど、ビットコインに関するニュースは連日のように目にする機会がある。

 過去にはアメリカ電気自動車大手テスラのCEOであるイーロン・マスク氏がビットコインを車の購入代金の支払い手段として認める可能性をツイッターで示唆して、その後にビットコインの価格が急騰したというニュースもあった。

 このようにビットコインのニュースがあるたびに、自分の周りで「ビットコインを買ったら儲かった」という話を聞いたり、SNSやブログで暗号資産に投資をして短期間で資産を増やしたという情報を目にすることで投資未経験者が興味を持つのだろう。

 実際に暗号資産への投資に興味を持った投資未経験者に株式投資ではなく暗号資産へ投資しようと思った理由を聞いてみたところ、「株式投資とは違って難しくなさそう」や、「なんとなくオシャレでカッコいいと思った」などの回答を得た。

 そもそもビットコインをはじめとする暗号資産とは何か。日本銀行のホームページでは以下のように説明されている。

「暗号資産(仮想通貨)」とは、インターネット上でやりとりできる財産的価値であり、「資金決済に関する法律」において、次の性質をもつものと定義されています。

(1)不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる
(2)電子的に記録され、移転できる
(3)法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない
 上記の説明はわかりやすく書かれているが、「資金決済に関する法律」の第二条第5項目において定義されている暗号資産の内容と同じである。

 もともと暗号資産は銀行などの第三者を仲介せずに財産的価値をやり取りすることが可能な仕組みとして高い注目を集めたものの、昨今では投機の対象となっているだけの印象を筆者は受けている。

 一時期は前述のテスラの例のように、買い物でも使えるデジタルマネーになるという期待を寄せた記事やニュースを目にしたが、当時から筆者はどう考えてもそうはならないと思っていた。冒頭に1カ月で70%近く値上がりしたという話を紹介したが、当然その逆も起こりうる訳であり、それほど変動率が高いものが商品を購入する際の決済手段に適しているとは思えないからだ。

■株式や為替との違いは明確

 そして、何よりも暗号資産は円やドルなどの法定通貨と違い、裏付けとなる資産は存在しない。裏付けといっても現在の法定通貨も不換紙幣であり、金などの貴金属が裏付けとなっているわけではないが、少なくとも自国の通貨であればその国で納税をする手段として使用可能であり、その際には額面どおりの価値での納税ができる。

 このような説明をすると混乱する投資未経験者が多くいるが、混乱している理由は明確だ。暗号資産と「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」を混合して理解しているからである。あくまで法定通貨をデジタル化したものがCBDCであり、いずれはCBDCで買い物だけでなく納税もできるようになると考えるが、暗号資産は買い物をすることができたとしても、日本やアメリカで納税に使えるようになる可能性は著しく低いだろう。

 また、先程は投資対象となる金融商品の一種として、暗号資産を株式や為替と並べたが、やはりここでも「裏付け」という考え方に基づいて暗号資産が投資対象としてはあまりお勧めできないということができる。

 株式であれば、発行元の企業の業績や資産などがベースとなり、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの評価指標が存在する。為替も経常収支や金利差などの要因とともに、PPP(購買力平価)のように、合理的な算出に用いる評価指標が存在する。暗号資産はあくまで需給だけで価格が動き、それが合理的であるかどうかを評価する指標もない。

 それでも、暗号資産は法定通貨のポジションを脅かす存在だと主張する向きもあるが、その為には規模が小さすぎるということもいえよう。ビットコインの時価総額は100兆円にも満たず、主要先進国の法定通貨の供給量と比較するまでもなく、日本単体の通貨供給量に対しても、そのわずか10%程度でしかないのだ。

■投資の基本から学び直すべし

 筆者は暗号資産の専門家ではないので、細かいところまで把握しているわけではないが、これまで書いてきたことはあくまで常識で考えればわかる範囲の内容でしかない。

 しかし、暗号資産に熱狂する投資未経験者の方たちにこのような話をしても、あまり理解はしてもらえない。それよりも、暗号資産の急激な値上がりや、本当かどうかもわからないがネット上での成功体験記を真に受けて、自分も一攫千金を狙おうとしているようだ。

 投資の世界には昔から「理解できないものに投資をするな」という内容の格言がある。

 これは暗号資産に限った話ではなく、株式投資でも同じである。「あの会社の株価が急騰している」というような話を耳にしたとしても、その会社がどのような商品、サービスを提供して儲けているかなども知らないまま、投資をするというのは少なくとも筆者はお勧めできない。まして、老後資産など将来のために資産形成をするというのならもってのほかだ。

 1年もしないうちに投資(個人的には投機だと思うが)で大金を儲けたというような話を耳にすれば、自分も一攫千金を狙ってやろうという気持ちになるのは理解できるが、それでは丁半博打のようなギャンブルと何も変わらない。自分が一生懸命働いて貯めたお金を投じるのだから、せめて最低限の知識は身につけたうえで、冷静な判断をしてほしいと思う。

東洋経済オンライン

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最終更新:9/28(火) 11:01

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