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運動は本当に「体に毒」なのか?海外の情報通が語る真実

9/27 6:01 配信

ダイヤモンド・オンライン

 海外で「運動」はどのように位置づけられているのか。海外の健康に関する論文を読み漁る猛者に、フィットネス前線について聞いた。結論。運動はやっぱり必要でした。その理由とは!?(マガジンハウス『ターザン』2021年6月10日号特集「運動は、なぜ脳に効くのか?」より転載)

● 最先端の論文から導き出された 「運動=毒」理論

 およそ10万本の論文を読破し、海外の学者や専門医への取材件数は600以上。そんな新進気鋭のサイエンスジャーナリスト、鈴木祐さんに運動と健康に関するアカデミズムの傾向を俯瞰してもらった。

 「なぜカラダを動かすと健康になれるのか? 現時点で最も有効な考え方は〝ホルミシス〟です」

 ホルミシスはギリシャ語で〝刺激〟を意味し、カラダにとって毒であるものでも微量ならむしろカラダにいいという昔からある考え方。

 「運動もホルミシスのひとつです。運動が苦手、嫌いという人は少なくありません。でも、嫌々ながらも狩りに出かけて獲物を得る個体が生き残ってきました。飢餓時代、意図的な運動はエネルギーの無駄遣いなので、嫌々ながらカラダを動かすのが正解だったと思います」

● シンドい思いをしてこそ 健康になれるワケ

 実際、現代日本人の成人の3割以上は必要活動量を満たしていない。狩りをせずとも食物が手に入るのだから、嫌いな運動などせずにエネルギー温存するのは正解。とはいえ、

 「原始時代に培われたカラダのシステムが背景で動いています。よって現代のように常に食糧が手に入る状況に適応できず、生き物としての質は低下すると考えられます」

 つまり、運動不足で生活習慣病や認知症、病的な老化が進むのは、現代人のカラダのシステムが原始時代とほぼ変わっていないから。

 「だからホルミシスとしての運動は有効なんです。最初はNEATのような日常生活活動から始めて、徐々にレベルを上げていくことがポイント。現状維持したいというのが人間のサガですが、それでは毒にも薬にもならなくなります」

 この理屈は筋トレと同様。いつまでも同じ負荷、同じ回数をこなすだけでは筋肉の成長は期待できない。脳もカラダも多少シンドい思いをして現状を超えていくことで健やかさを保てるのだ。

 「ただ気をつけなくてはいけないのはオーバートレーニング。運動はホルミシスのスイッチで、実際にホルミシスのシステムが動き出すのは回復している時間。運動と回復をセットで考えることが重要です。とくに脳にとって理想的な回復状況は、受け身ではなく趣味や習い事など能動的な行動をすること」

 適度な運動の後は楽しい休養、これが論文から導き出された結論だ。

● 海外のエビデンスに見る アンチエイジングの秘訣

 終わりに、海外の健康に関する論文に詳しい鈴木氏が、著書『死ぬまで若いは武器になる 不老長寿メソッド』の中でピックアップした、5つの興味深いエビデンスをご紹介しよう。

 (1)運動嫌いで頭のいい遺伝子が生き残った

 日本では成人の35.5%が推奨の活動量を満たしておらず、20~30代の8割には運動習慣がない。WHO推奨の運動は週150~300分の中強度有酸素運動、または75~150分の高強度有酸素運動と週に2日の筋トレ。(WHOの試算)

 (2)脳とカラダの健康のためには少量の毒が必要

 悲惨な交通事故を目撃したり、友人とケンカをしたり、愛する人が病気になるというネガティブな体験を味わった被験者ほど記憶力や注意のコントロール力が高い。ネガティブ体験には認知のコントロールスキルを発達させる働きがある。(2018年 ケンブリッジ大学などのチームの調査)

 (3)日常的に不愉快さを味わうことが脳を成長させる

 スーパーエイジャー(若い人と同じレベルの脳と肉体を持ち続ける高齢者)は活動量が増すごとに「疲労」や「挫折感」、「イライラ」といったネガティブな気分を発生させる脳の部位が発達している。日常的に難しい活動に取り組み、不愉快さを味わいながら脳を成長させている可能性がある。(ノースイースタン大学のリサ・フェルドマン・バレットの研究)

 (4)毒オンリーではなく回復とセットにする

 複数のバイオリニストの練習法を調べたところ、上位トップ10のプレイヤーは90分の練習ごとに30分の休憩をはさみ、散歩、瞑想、昼寝などで脳を音楽から解放させていた。トッププレイヤーほど自覚的に休憩をデザインしている。(1990年代 心理学者のアンダース・エリクソンらの調査)

 (5)日常生活活動から段階的に負荷を高めていく

 1回当たりのエクササイズの時間は運動で得られるメリットとは関係がない。デスクワークの時間を減らし少しカラダを動かすだけでもいい。すべての行動は運動の時間として考えるべき。どんなに短時間の日常生活活動でも、「一日の運動時間」としてカウントしていい。(2018年 アメリカ保健福祉省が出した見解)

 (取材・文/石飛カノ)

ダイヤモンド・オンライン

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最終更新:9/27(月) 10:25

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