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「脳力アップ」によって、より良い人生を送れる可能性が高まる理由

9/27 6:01 配信

ダイヤモンド・オンライン

 運動は脳の機能を押し上げて、感情コントロールさえしてくれるという。運動によって「脳力」がアップする、知られざるメカニズムとはどんなものか。人が生きていくために最も重要視されている「実行機能」への影響から考えよう。(マガジンハウス『ターザン』2021年6月10日号特集「運動は、なぜ脳に効くのか?」より転載)

● よりよく生きるために必要な 脳の認知機能ってなんだ? 

 雨雲が近づいてきたから洞窟に帰ろう。獣のフンを辿って狩りのルートを決めよう。このように、外部の情報を集めて処理をするのが脳の認知機能。知覚や記憶なども認知機能の一部だが、人が生きていくために最も重要視されているのが「実行機能」と呼ばれるものだ。

 これは目標を達成するために適切な行動を実行する能力のこと。単一の機能ではなく外部情報や過去の経験をすり合わせ、最適解を導き出すというハイレベルな機能だ。

 さっきライオンの姿を見かけたので(短期記憶)、別の道を選び(柔軟性)、日暮れが近づいたので獣の深追いをやめ(抑制能力)、ドングリを拾って帰ろう(判断能力)。という具合に、さまざまな情報をフィードバックさせて最適な行動を選択する。サッカーのゲームでパスかシュートかドリブルかを瞬時に判断するのも実行機能のなせる業。

 この能力を統合し、調整しているのが脳の前頭葉。『SPARK』の著者、ジョン・J・レイティ博士が言うところの「脳のCEO」だ。

 運動で前頭葉の神経活動が高まるのであれば、よりよく生きるために最も必要な実行機能が鍛えられる可能性も大ありということ。

● 総エネルギーの2割を消費する脳は カラダで一番の大食漢

 ヒトが1日に消費するエネルギーの6~7割を占めているのが基礎代謝。これは何もせずにじっと横たわっているとき、全身の臓器や骨格筋などで消費されているエネルギーのこと。成人男性なら約1500キロカロリー分の熱量だ。

 で、この基礎代謝量のうち約20%の取り分をさらっていくのが脳。27%の取り分の肝臓の重さは約1.5㎏、25%を消費する骨格筋は約25㎏、これに対して脳は約1.4㎏なので全身の中でもかなり大食らいの臓器といえる。1000億個もの神経細胞が常に情報をやりとりするには、それだけのエネルギーが必要ということだ。

 その脳が消費するエネルギーとして平常時に最も活用されているのが、3大栄養素のうちの糖質。飢餓状態では脂肪分解の際に作られるケトン体もまた、脳のエネルギーとして消費される。

 運動は脳の神経細胞を増やしもするし、神経細胞の活動を高めもするが、その働きを支えるエネルギーなしには立ち行かない。運動するならまず栄養が必要という話。

● 運動開始直後に脳から 神経伝達物質が分泌される

 脳の神経細胞同士は神経伝達物質という化学物質を介して交信している。とくに精神状態を安定させるために必須とされているのが、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンという神経伝達物質だ。

 運動とこれらの物質との関わりを、まずおさらいしておこう。運動は脳やカラダにとってはある意味、ストレス。安静時に比べて心拍数は上がり、呼吸は速くなり、ときには発汗する。つまりシンドい。

 この事態に対処するため、脳の交感神経でドーパミンから合成されたノルアドレナリンが放出される。ノルアドレナリンは副腎という臓器に働きかけてアドレナリンというホルモンの分泌を促し、心拍や血圧を上げて呼吸を速める。同時に覚醒、意欲、注意力を呼び覚ます。

 一方、有酸素運動で脂肪が分解されると、脂肪酸がトリプトファンというアミノ酸とくっついていた輸送タンパク質を奪い取る。身軽になったトリプトファンが脳に送られて精神安定作用のあるセロトニンが合成される。走った後、スッキリするのはこうした理由である。

 (取材・文/石飛カノ イラストレーション/松原 光 取材協力/橋本健志【立命館大学スポーツ健康科学部スポーツ健康科学科教授】)

ダイヤモンド・オンライン

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最終更新:9/27(月) 10:25

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