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恒大集団の下落は単なるきっかけ、世界の株バブル崩壊がついに始まったと言える理由

9/25 4:31 配信

東洋経済オンライン

 9月20日から22日にかけて、中国以外の世界の主要株式市場が一時急落した。きっかけは、中国不動産最大手の一角、恒大集団の破綻懸念だった。

■「今後も株価は大丈夫」とは言えない

 久々の大幅下落で、市場よりもメディアが騒ぎ立てた。中国の巨大な不動産バブルがこれで崩壊するのか?  リーマンショックのようなことになるのか?  世界株式市場の大暴落がやってくるのか? 

 結論から言えば、中国不動産バブルは、いますぐには崩壊しないだろう。リーマンショックのような世界金融システムへのリスクはない。だから、今は世界的な株価大暴落とはならない。「なーんだ、たいしたことないのか。じゃあ、株価はまだまだ上昇し続けるのね」ということでいいのだろうか。

 いや、それは間違いだ。ここで、バブルはいきなりは崩壊しないが、世界株式バブルの崩壊の第一歩はついに始まったのである。中国も金融システムも問題なくて、株価も下がらないのに、なぜ、バブル大崩壊の一歩なのか?  それは、今回、株価が反転したからである。それこそが、大バブル崩壊の兆候なのだ。

 中国の恒大集団の破綻懸念とは何を意味するのか? 第1に、中国の不動産市場は明らかなバブル、それも相当のバブルだ、ということである。第2に、その事実を世界中の投資家は知っている、ということだ。第3に、このニュースはネガティブであることは間違いがないが、そのインパクトの量的な判断についてはコンセンサスがない、ということである。

 これがそのまま株価の動きに現れた。つまり、中国の不動産会社の破綻懸念が出た、これはネガティブだ、そしてそれを誰もが知っている、だからみんな売るだろう。ならば、自分もとりあえず売っておこう、そういう思考プロセスである。

 しかし、これがバブルの完全崩壊につながるかどうかわからない。なぜなら、自分もこのニュースのインパクトがサイズとしてはわからない。ということはほかの投資家にもわからないだろう。だから、投げ売りになるかどうかはわからない。したがって、様子を見ながら売ってみよう。こんな具合だ。

 この結果、20日のアメリカの株式市場は、寄りつきから下げたが、下げを拡大して行ったのである。取引時間中に、とくに新しいニュースは出ていない。それなら、ファイナンス理論どおり、ニュースはすぐに株価に織り込まれるなら、寄りつきでみんな売って、その後はモミ合いになったはずだ。

■急落後の21日が小動きになったワケ

 だが、当日は、ほぼ1日ずっと下げ続けた。そして、引け際に買い戻しが入り、少し戻して終えた。最後の戻しは、デイトレード的に空売りを仕掛けた人々が手仕舞いしたことによると思われるが、ほぼ1日下げ続けたのは、ほかの投資家がどれほど売りたがっているかが不透明だったので、それを確認しながら少しずつ売ったというところだろう。

 すなわち、このときに重要なのは、恒大集団の深刻度合いではなく、ほかの投資家がどれほど売りたがっているか、ということがすべてであったのである。

 したがって、不動産危機の深刻度、というファンダメンタルズに関する情報は重要ではなく、投資家たちがどれほど売り意欲があるか、およびどれほど「売り」という行動に動くか、ということが重要だったのである。

 そして、それは1日でわかった。となると、翌日からは、あまり不安はない。ただ、みなが売ってから翌日に話し合いの結果売ってくるような「動きの遅い」機関投資家もいるから、その様子を見ることが必要だった。それが、21日の小動きとなった。

 さらに、もうひとつの大きな要因として、アメリカでのFOMC(連邦公開市場委員会)の声明が22日に公表される、ということがあった。アメリカの中央銀行であるFED(連銀)のテーパリング(緩和縮小)の開始時期、利上げの開始時期、これに関する情報が市場ではもっとも重要だった。その情報が22日に出てくるのをみな待ちたかった。それが動きのなさにつながったのである。

 そして22日。予想以上に、FOMCの声明はタカ派だった。普通ならこれで売られそうなものであるが、今回はともかくFOMCが終わった、ということ、そしてほかの投資家たちも今は投げ売りをするのではなく、少しだけ売ったことがはっきりしたので、売った分を買い戻す動きになった。

■今回の急落の理由は「株を売りたい」がすべて

 つまり、今回の世界的な株価の急落は、中国の不動産業界の状況とはまったく無関係で「株をそろそろ売りたい」という投資家がほとんどであったことが理由のすべてだ。そして、誰もがネガティブだと思う、コンセンサスが明らかに成り立つニュースに反応して、ほとんどの投資家が売ったということである。

 とにかく不動産のニュースや状況の中身はどうでもよかった。だからこそ、どこまで売るかは、ほかの投資家がどこまで売るか、すなわち、どのくらい下がるか、にかかっていたのである。だから、投資家同士のにらみ合いになり、2日間かけて下落幅を確認していったのである。

 そして「中国の不動産」というのは、きっかけや合図にすぎないから、本当に重要なニュースは、アメリカの中央銀行であるFEDの意向であった。だから、そのニュースを待ったのである。

 そもそも株価はなぜ下がるのか? それは、誰かが売ったからである。
株価下落の理由はこれ以外ありえない。それなら、その次の質問は、なぜみんな売ったか? ということであるが、これも答えはひとつしかない。
株価が上がってきたからである。

 下がる理由はひとつ。その前に上がったからである。上がった後しか下がらない。下がり続けているときは、誰も「なぜ下がった?」と聞かないから、下がった理由を探しているときであれば、その答えは必ず「その前に上がっていたから」ということになる。これまた、これ以外の答えはありえない。

 この2つの大原則。これが、行動ファイナンスにおいて、私が考える最も重要な原理である。「そんなの当たり前だ」とみなさんは言うかもしれない。だが、それはまったく違う。当たり前でないのだ。

 下がったときは、誰かが売った。誰が売ったのか。それを徹底的に知る必要がある。その次には、彼らが売った理由を徹底的に考える。この2つを行えば、相場はすべてわかる。

■今が「バブルの後半の後半」である理由

 今回はどうだろう。売ったのは誰か?  ほぼ全員である。だから急落になったのである。

 売った理由は何か? これまで上がって来たからである。つまり、ほとんどすべての投資家が「これまでだいぶ上がったから、いつ売ろうかな」と考えていた、ということである。これが相場の現状の本質である。すなわち、これはバブルの後半の後半、末期あるいはそれに近い時期であることを示している。

 みんなが売りたがっている。これまで上がったから売るタイミングを探している。そして、きっかけのニュース、号砲がなったら、とりあえず売る。これはバブルの後半の後半にしか見られない現象である。

 さらに、私が「末期の可能性がある」と判断した理由は、FOMCで株価が下落しそうなニュースであったにもかかわらず、上昇したことにある。これは「受け入れたくない現実からの逃避行動」と考えられる。冷静な時期であれば、ニュースを逆向きに解釈することはない。ポジティブ、ネガティブ、その方向性については、間違えようがないのである。常に問題なのは「ネガティブだがどの程度か」ということのはずだからだ。

 しかし、今回のFOMCは、中国不動産問題を受けて、少しテーパリングの時期を遅らせるだろう、ましてや利上げの時期を示唆するようなことは打ち出さないだろうと誰もが思っていた。しかし、FOMCはまったく逆で、次回11月頭にテーパリングの開始を決定することがほぼ確実であることを示唆した。

 さらに驚いたことに、いわゆるドットチャートで、2023年から利上げが始まるとFOMCの投票権を持つ理事たちは示していたのが、2022年の半ばからに前倒しになったのである。これは明らかに「事件」であり、株式投資家たちがもっとも恐れていたニュースである。それにもかかわらず、株価は上昇した。これは、投資家たちが目先、受け入れたくない事実を無視したことを意味する。

 一方で、リーマンショック時とは大きく異なることも事実だ。なぜなら、銀行システムは、リーマンショック後、欧米では規制が強化され、かなり保守的に運用されているからである。しかし、銀行システムの破綻がなくとも、株価は簡単に暴落する。上がりすぎたものは大きく下がる。2000年のテックバブル崩壊と同じことである。

 しかも、テックバブルは経済社会へのダメージが小さかったことと異なり、今回、もし暴落すれば影響はとてつもなく大きくなるだろう。なぜなら、金融バブルが崩壊すると、経済や市場のいちばん弱いところから破綻していくからだ。

 リーマンブラザーズは破綻したが、結局は同じ金融大手でもゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは破綻しなかった。ただし、サブプライム問題でも2006年にはすでに問題を来していたが、プライム市場は破綻しなかった。大手金融も当初は大丈夫だった。サブプライム関連企業とサブプライムローンを借りていた質の悪い借り手が破綻しただけであった。しかし、それが翌2007年のパリバショックになり、2008年のリーマンショックへと連なり、強いはずの別の業種の企業まで破綻していったのである。

■今、もっとも弱っているのは政府・中央銀行

 今回は、コロナバブルにより、格差はあらゆるところで広がった。ワクチンがすすんでない途上国、弱小国は回復が大きく遅れている。その多くの国は通貨も財政も弱いから、アメリカの回復により金利が上昇し、通貨安となり、負債返済に行き詰まるだろう。そして世界的に不況が広がっていく。

 中国は、特殊な部分もあるが、不動産のバブルは大きすぎて、必ず、どこかのタイミングで、破綻がやってくる。そのときには、先進国も影響を受けるだろう。常に弱いところからやられるのだから、先進国も弱いところからやられるだろう。

 問題は、今、先進国でいちばん弱っているセクターはどこか? ということである。それは、金融緩和を大規模に行い、巨額の財政出動をしている政府である。つまり、先進国に危機が波及したときに、やられるのは、政府か中央銀行のどちらか弱いほうであり、しかも政府と中央銀行の関係性からいけば、片方がやられれば、もう片方も沈没するのは必然である。

 したがって、私は、今回のバブルは、銀行セクターが比較的頑健で、なかなか世界的な銀行危機にはならないが、その分、バブルはさらにふくらみ、そのしわ寄せが、政府や中央銀行に津波のように押し寄せ、リーマンショックよりも遥かに大きなバブル崩壊になると予想している(ここで本編は終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを展望するコーナーです。あらかじめご了承下さい)。

 競馬である。

■オールカマーはレイパパレ、神戸新聞杯は「あの馬」

 強い馬が強いレースをするのが、競馬だ。この週末はそれを期待したい。

 中山競馬場で行われるオールカマー(26日の第11レース、芝の2200メートル、G2)はレイパパレ。宝塚記念に敗れ、デビューからの連勝記録は6で止まった。いったん連勝が止まると回復が難しいことが多いが、レイパパレが真の一流馬ならそんなことはない。彼女は本物だと信じているので。ここも完勝してほしい。

 一方、中京競馬場での神戸新聞杯(同日の第11レース、芝の2200メートル、G2)は、藤原英昭厩舎で福永祐一騎手騎乗のシャフリヤール。

 私はダービーで意地になってしまい、この馬を本命にしなかったことを後悔している。藤原厩舎と福永騎手というのは、私にとっては、最も信頼できる、もっとも馬のことを考え、馬を成長させるレースをするコンビだ。だから、前哨戦を何が何でも勝つ、というレースをせずに、教育的なレースをすると思われ、取りこぼすリスクはあるのだが、それでも、いやそれだからこそ応援したい。単勝。

 ちょっと気が早いが、来週10月3日にフランスのロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞が待ちきれない。ディープインパクト産駒のスノーフォールが注目されており、日本から参戦するクロノジェネシスとあわせてこの2頭が人気になると思う。だが、私は日本からもう1頭参戦するディープボンドがいちばん強いと期待している。楽しみだ。

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最終更新:10/9(土) 10:08

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