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「バンドマン」が起業で成功しやすい納得の理由

9/22 12:01 配信

東洋経済オンライン

ZOZOの創設者である前澤友作氏やバルミューダの寺尾玄氏など、音楽家出身の起業家が注目を集めている。また、サイバーエージェントの藤田晋氏など、学生時代にバンド活動をしていた起業家も数多い。なぜバンド経験者で成功する起業家が多いのか。
この疑問について世界的なトップミュージシャンの創造技法から解き明かす話題のビジネス書『創造思考 起業とイノベーションを成功させる方法はミュージシャンに学べ』(東洋経済新報社)が先日刊行された。本書の推薦者であり、バンド経験もある連続起業家の孫泰蔵氏に、起業と音楽の関係を語ってもらった。

■仲間とコラボレーションする

 起業する前の学生の頃に、僕もバンドをやっていた経験があります。キーボードやギター、テナーサックスなどを担当していました。今も楽器が好きで、人前ではしていませんが、毎日のように自分で演奏しています。

 音楽と起業。この2つは一見すると関係ないように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ非常に多くの共通点があります。僕も、起業で大切なことの多くは、音楽活動を通じていつのまにか学んでいました。

 今バンドや音楽活動に夢中になっている若い人の中には、「自分はアート側の人間で、ビジネスとは対極にいる」と思い込み、起業やビジネスに対して苦手意識を持っている方もいるかもしれませんが、むしろそういう方々のほうが、起業に必要な、仲間を集めて何かを成し遂げようとするマインド、新しいモノを作る姿勢を持ち、その経験値もある分、アドバンテージがあるのです。だから起業しても、うまくいく可能性が高いと思います。

 たとえばバンドと起業の大きな共通点として「仲間を集めて一緒に作品を作り上げる」という点が挙げられます。もちろん、中には一人で作詞作曲して人前で演奏できる天才もいるかもしれませんが、多くの場合はそうではない。メンバーを集め、それぞれの感性や意見をぶつけ合い、化学反応を起こしながら、新しい作品を模索していきます。

 自分一人でできることはたかが知れています。いろんな持ち味を持った個性的なメンバーが集まり、彼ら彼女らのいろんなアイデアや発想を取り入れて新しいモノを作り上げていくというプロセスが、音楽活動には必要です。

 いろんな個性を持ったメンバーを集め、一緒にバンド活動をしていると、自分たちが作る曲がどんどん変わっていくことがあります。例えば、ベースの人がファンク好きで、すごいファンキーなリズムをやりはじめると、だんだんと演奏する曲のファンキー色が強くなってきたりするのです。そうして集まったメンバーの感性や個性が化学反応を起こし、生み出される音楽が変わっていき、あるときどこかですべてがピシャッと合うと、素晴らしいグルーブが生まれたりするものです。そうした活動や、そこから生まれた作品が、観客にもバンドメンバーにもすごいハッピーな気持ちやノリノリな気分をもたらす。それが音楽という芸術活動の醍醐味です。

 このことは起業も同じだと思います。いろんな持ち味や得意技を持つ仲間を集め、コラボレーションしていく中で、今まで誰も見たことがない「うわっ!  これはすごいね」「こんなものが世に出たら世界変わっちゃうね」というようなものを作り出す、非常にクリエイティブな行為なのです。

 つまりバンド活動の経験がある人は、「どんなメンバーと組めば自分の良さが出せるのか」「どういう環境を作ればチームのメンバー同士が互いに良い化学反応を起こせるか」という、起業でも大切な要素を、すでに経験していることになります。僕も必要な人をリクルーティングするときは、「この子が入るとうちのバンドが面白くなりそうだな」という感じで採用しています。

■口より手を動かす

 他にも起業に通じる音楽の要諦があります。それは「とにかく手を動かせ」ということ。「議論はいいから、とにかくプレーしよう。話はそれからだ」ということです。バンドをやっている人にとっては当たり前すぎる話ですが、起業家の中に意外と多いのが、議論ばかりしている人、あるいは、リスクの心配ばかりしている人。どちらにも共通するのは、手を動かしていないということです。

 もちろん、ビジネスにリスクはつきもので、心配する気持ちもわからないではないですが、議論ばかりしていたり、失敗を恐れて手が止まっているようでは、起業家として話になりません。バンド活動に置き換えてみると、「音楽やろうぜ」と言ってる割に、ちっとも演奏しないようなものです。

 なぜバンド活動をしているのか。それは、音楽をやりたいからじゃないでしょうか。「下手な演奏をしたらどうしよう」「無様な楽曲を出したら恥ずかしい」なんて心配して曲も作らず演奏もせず、議論と心配ばかりしているミュージシャンがいたら、それは音楽家と対極の姿勢であり、本気で音楽がやりたいわけじゃないんです。議論と心配ばかりしている人は、バンドでも起業でも、本当は、それほどやりたくない人です。本当にやりたい人は、失敗しようが笑われようが、ガシガシ手を動かして作り続けています。

 起業も音楽も、突き詰めて考えれば、どちらも同じ人間の営みであり、創造的な取り組みです。どちらも、本来は自分が楽しむためにやっているはずで、楽しくないんだったらやっても意味がないというのは、大前提なんです。

 なのに、ビジネスや起業のシーンでは、この当たり前のことが忘れ去られることがあります。「そんなこと言ってる場合じゃない」「そういう前提で集まってない」「失敗できない」「やらなきゃいけない」みたいに考えてしまい、その大前提を忘れている人が多い気がします。

 そういう場に居合わせると僕はいつも「いや、そもそも何のためにやってるの」という話をするようにしています。「成功しなきゃいけないからって、なんでお金を追い求めるみたいな方向になってるの」「なんで収益を追い求めるみたいなことばっかり言ってるの」と。そうすると、みんながハッとした顔になります。

 もちろん曲でも新サービスでも、何かを作る過程では、悩むとき、苦しいときは、絶対にあります。でも、それも音楽や起業の「楽しみのエッセンス」なんですよね。苦労するからこそ完成したときの喜びも大きい。

 バンド活動も起業も、楽しむためにやるものだという大前提は忘れないほうがいいと思います。

■職業ではなく、生き方

 僕は、「音楽家」は職業ではないと思っています。「音楽家」という肩書はありますが、これは「マーケティングディレクター」とか「営業部長」といった肩書とはまったく異質のものです。じゃあ何なのかというと、「生き方」「生きざま」なんですよね。

 それと同じように「起業家」も、肩書とか職業ではなくて、やっぱり「生き方」なんだと捉えています。音楽も起業も。生き方そのものだっていうところがあって、その生き方っていうのは、自分で選択できるんですよね。資格もなにもいらない。そういう意味では、思いさえすれば誰でもなれるんですよね。

 だから、少しでも起業に興味を持ったなら、臆することなくこの道に飛び込んできてほしいと思います。それこそ、仲間に「バンドをやろうよ」と声をかけるノリで起業をはじめてほしいですね。

東洋経済オンライン

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最終更新:9/22(水) 12:01

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