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日本人が勉強しても「英語」ができない単純な理由

9/21 14:01 配信

東洋経済オンライン

英語、資格、ITスキルなどを学び始めたものの、途中で挫折してしまった……そんな人は少なくないはず。特に忙しい社会人が学習を続けるのは難しい。
そんななか、元ソフトバンク社長室長の三木雄信氏は、1年で英語をマスターできるプログラム「TORAIZ(トライズ)」を6年前に開発。これまで約6000人が実際に英語をマスターし、自らの夢をかなえているという。三木氏の最新刊『ムダな努力を一切しない最速独学術』から、社会人の学び直しにおいて最も重要なポイントを解説してもらった。

■「登る前に山を決めろ」

 私がソフトバンクにいた頃、孫正義社長から繰り返し言われたことがあります。

 「登る前に山を決めろ」

 孫社長いわく、多くの人は「どの山を登るか」を決めないまま、やみくもに歩き出す。だが、自分がどの山を目指しているかわからないので、どんなに速く歩いても、山の裾野で同じ場所をぐるぐる回り続けるだけで、結局はどの山にも登ることができない。

 「最初に『目指す山=ゴール』をはっきりさせろ。そうすれば、頂上への最短ルートも見えてくるので、どの道をどう歩けば効率的かもわかる。だからどれほど高い山でも、必ず最速で頂上に辿り着けるのだ」

 そう何度も聞かされたものです。つまり孫社長は「まずゴールを設定しなければ、そこへ向かうための計画も立てられないし、結局は何も得られない」と教えてくれたのです。

 孫社長が世界的な経営者になれたのは、単に頭が良かったからとか、行動力があったからではありません。人生計画があり、自分が将来達成したいゴールから逆算して必要な学びを重ねたから、大きな成功を収めることができたのです。

 この話からわかるとおり、人生計画と学習計画はセットであり、この両輪があるからこそ、学習のゴールも明確化します。

 ところが日本人は、ゴールを設定するのが苦手です。日本で学習のゴールといえば、高校や大学の入試に合格することです。最近は就職活動で有利になるために勉強する大学生も増えていますが、いずれにしても、社会に出た後はゴールを見失ってしまう人がほとんどです。

 そもそも入試や入社試験にしても、「いい学校を出て、いい会社に入る」という親や先生が決めたレールに乗るために与えられたゴールであり、「その先に自分はどんな人生を送りたいのか」という人生計画に紐づいた目標ではありません。

 つまり日本人の多くは、自分の頭で考えてゴール設定をした経験がないまま、大人になるわけです。だからせっかく学びの機会があっても、自分の人生をより良くするために役立てることができません。

■なぜ留学しても英語を話せないのか

 日本人の学習失敗パターンとしてよくあるのが、「留学したのに英語を話せない」「英会話学校に通ったのに英語を話せない」です。

 私たちが提供している英語習得プログラム「TORAIZ」のコンサルタントは留学経験者が多いのですが、誰に聞いても「留学で英語を話せるようになる日本人は、間違いなく5割以下」と口を揃えます。留学先でも大半は日本人同士でつるんでいて、ろくにネイティブと会話しないまま帰国するためです。

 これも「留学で英語を身につけて、何を叶えたいのか」というゴールがないからです。

 英会話学校も同じです。私はTORAIZを始める以前、ある英会話学校を買収したことがあります。英語教授法を習得したレベルの高い有資格者を講師に揃えていたので、これなら日本人も英語をマスターできるだろうと考えたからです。

 ところが、私が外国人講師に「どれくらい通えば生徒さんは英語を話せるようになりますか?」と質問したところ、「話せるようにはなりませんよ」と衝撃の答えが返ってきたのです。

 理由を尋ねると「日本人は何の目的もなく、ただ週に1度レッスンを受けるだけ。それでは英語が身につくはずはない」とのことでした。

 講師の多くは他のアジア諸国でも指導経験があったので、日本以外ではどうだったかを聞いてみました。例えば子ども向けのレッスンの場合、中国や韓国では「小学4年までに英会話を習得する」「中学入学から2年間で英語を話せるようになる」といったゴールを設定し、毎日通うケースがほとんどだそうです。

 これらの国は日本以上に学歴による格差が激しいので、親は子どもの受験が近づいたら勉強に専念させたい。ただし、将来いい仕事に就くには英語力が必須なので、受験勉強が始まるまでに会話に困らない程度にしておく必要がある。

 そこで明確なゴールを設定し、限られた期限内で英語をマスターするために、子どもを毎日レッスンに通わせるのです。本人も「受験勉強が本格的に始まるまでに話せるようになろう」と思ってレッスンに集中するので、着実に英語をマスターできます。

■「勉強」の投資対効果を考えるべき

 子どもの例を挙げましたが、他の国では大人の場合も「いつまでに○○がしたいから、毎日通う」とそれぞれに学習計画を作った上でレッスンに通うのが当たり前とのことでした。

 ゴールが明確か、曖昧か。その違いでこれほど決定的な差が生じるのです。

 勉強したのに何も得られないとしたら、これほどもったいないことはありません。学習にはコストがかかります。人生において貴重な「時間」と「お金」を投資するのですから、本来ならできるだけ多くの利益を得たいと考えるのが当たり前です。

 ところが、ビジネスや金融投資では当然のように考えることが、学習では頭から抜け落ちてしまいます。特に、留学のように高いお金がかかる学習法を選んだ場合、投資対効果(ROI)は限りなくゼロに近づいてしまいます。「英会話学校に10年通っているのに、いまだに英語が話せない」というケースも同様です。

 とはいえ、日本人はライフデザインを描くことにも、それに連動した学習のゴールを設定することにも慣れていません。

 「いきなり人生をデザインしろと言われても、どうすればいいかわからない」

 そんな戸惑いがあって当然です。

 そこでお勧めしたいのが、「ロールモデル」を見つけることです。皆さんにも「あんなふうになれたらいいな」と思う人がいるのではないでしょうか。それは身近な上司や先輩かもしれないし、有名な経営者や起業家かもしれないし、ニュースや書籍でその活動や生き方を知って感銘を受けた人物かもしれません。

 どんな人でもいいので、具体的な対象として自分がお手本にしたいと思える相手がいたら、それがあなたのロールモデルです。ロールモデルが見つかれば、「その人が何を学んだのか」「どんな経験やキャリアを積んできたのか」を知ることで、人生計画や学習計画をどのように立てればいいかも見えてきます。

 アメリカ留学前の孫社長にとってのロールモデルは、日本マクドナルド創業者の藤田田氏でした。英語が堪能で、アメリカからマクドナルドというビジネスモデルを日本に持ち込み、ビジネスの世界で大成功を収めた藤田氏の著書を読んだ孫社長は、「自分もあんなふうになりたい」と考えたのでしょう。だから自分がこれから学ぶべきことについて、藤田氏に意見を求めに行ったのです。

 高校時代に藤田氏の著書を読んで感動した孫社長は、16歳のときに上京して日本マクドナルド本社を訪ね、社長に会いたいと頼み込みました。藤田氏は時間がないと断ったものの、その少年が1週間続けて毎日会社に通ってきたため、熱意にほだされて会うことにします。

■知らない人でも会ってもらいやすい時代

 皆さんもロールモデルを見つけたら、その人の経歴を調べたり、本人に直接アドバイスをもらいに行ったりしましょう。

 「あなたが今の私の年齢の頃には、何を勉強しましたか?」
「その勉強では、どんなことが難しかったですか?」
「その勉強をして、どんな良いことがありましたか?」
こうした質問をすることで、「この人のようになるには、どのタイミングで何を学べばいいか」がわかります。

 同じ会社の上司や先輩なら、その機会はいくらでも作れます。他の会社や業界で働いている面識がない人でも、今はSNSなどを通じていくらでもコンタクトできる時代です。そのやりとりを通じて「自分の人生やキャリアについてアドバイスをもらいたい」と告げれば、実際に会ってもらえることも珍しくありません。

 藤田氏がまだ高校生だった孫社長に面会したように、何かを成し遂げた人ほど、自分が得た学びや知見を多くの人と共有し、よりよい社会や人々の幸せを実現したいと考えるものだからです。

 「ライフデザインとか言われても、よくわからない」と思ったら、ロールモデルを見つけるのが一番の近道です。

東洋経済オンライン

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最終更新:9/21(火) 14:01

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