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株価急落のGAテクノ、決算資料から読み解く「赤字予想」の背景《楽待新聞》

9/20 19:00 配信

不動産投資の楽待

不動産総合プラットフォームのWebサイト「RENOSY」を運営している、東証マザーズ上場のGAテクノロジーズの株が急落、連日のストップ安となりました。

9月14日に、2021年10月期第3四半期の決算を発表しましたが、この決算内容が前四半期(2021年10月期第2四半期)と比べて赤字幅拡大となったこと、さらには2021年10月期通期決算予想が赤字転落となったことから、株式市場にはネガティブ・サプライズとなりました。

赤字要因について同社は「RENOSYマーケットプレイス事業の取引量増大に伴い、調達価格が高騰した不動産商品が増加し、従来計画に比べてマージンの低い取引が多く発生した」と説明しています。

これは何を意味しているのでしょうか。そして、GAテクノロジーズに何が起きているのでしょうか。今回は、急成長企業として知名度が高いGAテクノロジーズの決算を確認していきたいと思います。

■赤字予想となった要因は

GAテクノロジーズは、不動産売買仲介や不動産販売のほか、不動産総合プラットフォームの「RENOSY」を運営する会社です。創業は2013年3月、2021年4月末時点でグループ会社含む666人の従業員がいます。後述するように、主力事業は、都市部の投資用中古マンション販売となります。

ではさっそく、先日発表されたGAテクノロジーズの通期業績予想の修正内容を見ていきます。

売上高修正はせず利益面について大幅に下方修正(営業利益以下赤字転落)しています。主力である「RENOSYマーケットプレイス事業」における3Qの減速要因は、2Qと比較して稼働日数が減少したこと(ゴールデンウィークやオリンピックの影響による季節要因)、およびWeb商談予約システムを導入したことなどによる一過性要因によるものと説明しています。

また2021年10月期3Q決算説明会において、同社は今回の業績下方修正について以下のように説明しています。
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商品を調達するプロセスにおいて、お客さまに低コストで透明性を持って提供することに取り組んできました。しかし昨今のマーケット状況から、取引していく上での商品調達の金額が我々の想定を超えて高騰していきました。また、我々は商品の取引量を拡大してきており、マーケットのインフラになることを目指していたものの、商品調達の部分での価格高騰のスピードが速く、商品調達のコンベも含めて激しくなってきたことが大きな要因になっています。

(中略)

我々が規模を拡大する中で、想定より早くマージンの低下が発生したことが業績を修正することになった1つの要因です。
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同社は、自らのマーケットプレイスを拡大するために、取引量を増やす戦略を立ててきました。ただ、取引量を増やしたいとしても、オンラインで不動産を売ろうとする不動産会社は少ないのが現状です。そのため、自らが収益物件を仕入れ、それをマーケットプレイスで会員に販売しています。いわゆる買取再販モデルです。

この買取再販において、「商品である収益用不動産価格が高騰し、仕入れるのが難しくなってきた。ただしそれを販売価格に簡単には転嫁できないので利益率が下がった」というのが上記説明の主旨になります。

同社は、当初想定から売上高予想自体は変えていません。850億円の売上高予想に対する進捗率は65%となっており、4Qでの売上が例年多い同社としては、売上高予想の達成については自信を見せているということかもしれません。ただし、利益面での業績進捗は厳しいものがあります。まさに、経営陣の説明と整合しています。

営業利益と減価償却費を合算した「EBITDA」、そして営業利益は、急減速しています。

この要因の1つとして、マーケットシェア拡大を狙うためのM&Aが挙げられます。販管費が増加しており、そのうち人件費は、今年6月にM&Aを行ったパートナーズ社の人員増加が要因であると同社は説明しています。

しかし、業績が急降下した最大の要因は、会社が説明している通り、買取再販事業の利益率低下によるものと考えて間違いないでしょう。

同社はRENOSYマーケットプレイス事業が主力であり、さまざまな新規事業を運営しているものの、現時点で収益に与えるインパクトはわずかです。2020年10月期1~3Qの売上総利益率16.1%に対して、2021年10月期1~3Qの売上総利益率は14.1%です。2%という大幅な利益率の低下となります。

前期売上高39,790百万円売上総利益6,429百万円だったのに対して、当期は売上高55,008百万円と大幅増収ながら、売上総利益は7,768百万円と小幅増加に留まっているのです。

ただし、RENOSYマーケットプレイス事業が赤字ということではありません。

iBuyer事業(≒RENOSYマーケットプレイス事業)は通期で黒字見込みです。新規事業とM&Aのれん償却等の費用がかさみ営業利益が赤字となる予想です。同社は、本業は減益となったとしても黒字であり、「新規事業等の先行投資のコスト負担で2021年10月期は赤字となる」という表現ができるでしょう。

■会社存続に懸念はあるのか?

業績が急激に悪化したGAテクノロジーズは、企業存続に懸念はあるのでしょうか?

同社はある意味で非常に良いタイミングで増資したと言えます。1Qで増資を実施したことで約120億円の手取金を手に入れました。そのため資金繰りを心配することもなく、積極的なM&Aや物件取得を行うことができます。その観点では、今回の業績下方修正は経営陣が想定していた通りとも言うことができるかもしれません。

積極的な物件取得という観点では、同社は販売用不動産が2021年7月末時点で6108百万円となっています。これは前期末(2020年10月末)と比べると+4722百万円、2021年1月末比で+3158百万円、2021年4月比で+2967百万円となっており、RENOSYマーケットプレイス事業を活性化させるために在庫を保有していることがうかがえます。

なお同社の強みは、販売用不動産という在庫を仕入れても短期で回転させていることです。

同社の在庫は23日で1回転しています。これは同社が比較している不動産業8社平均の10分の1以下です。この在庫回転率が同社の強みとなってきたものと思われます。これを踏まえると、現時点でも問題ない水準だとは思いますが、在庫が増加していること自体は留意が必要かもしれません。

ただし、同社が現時点で破綻に追い込まれていくというようなことは想定できません。

増資によって、2021年7月末時点の現預金は100億円を超えている一方で、有利子負債は61億円です。債権者から借金を返せと迫られても、手元資金で返済可能です。自己資本比率は65.9%ありこれも問題はありません。また、RENOSY会員ストック数の推移も、前四半期比では153%と増加を果たしています。

ただし懸念点もあります。四半期で見た場合、成約数の推移が+9%に留まっている点です。会員数が増加したものの成約数が伸びていない点については、上述の通り「稼働日数の減少」等の影響がある可能性はあります。ただ、この点については、今後の推移を確認した方が良いでしょう。本当に会社説明通りなのか、それとも仕入価格上昇が販売価格上昇・利回り低下となり顧客が敬遠しているのか等、現時点のデータだけでは本当の要因が解明されていない可能性があります。

■まとめ

GAテクノロジーズの2021年10月期3Q決算をまとめると、売上高は増加したものの利益が急減しており、この要因はRENOSYマーケットプレイス事業における同社の買取再販事業での利益率低下ということになります。

不動産取引のオンライン化およびDXの推進と短期間での市場占有率上昇を目指し、取引量を増やすために、同社はRENOSYでの取引量を増加させました。この取引量増加は、外部からもたらされるというより同社が自分で物件を仕入れ、それを会員に販売することで成り立っています。

この取引量増加のための商品となる投資用不動産の価格が高騰しており、成約を増やすためにマージン(売上総利益)を低くした、という会社の説明は、言い方を変えれば「高値で不動産を購入し、それが今までの利益率では売れないため安く販売したことで取引量を増加させたが、利益は下がった」ということに他なりません。

現段階では会員数の拡大は続き、しかも財務上も過大投資とは言えないレベルであるため、同社の戦略はある程度狙い通りと言えます。ただし、増加してきた在庫が実は不良在庫となっていることは、買取再販、すなわち不動産の転売業者にはよくあるパターンでもあります。今後、同社の販売不動産という在庫の推移がどのようになっていくのかについては、注目点となるものと思います。

不動産投資の楽待

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最終更新:9/20(月) 19:00

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