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日本人が簡単に「テレワーク疲れ」に陥った真因

9/19 11:31 配信

東洋経済オンライン

テレワークが本格導入されて2年目。かつて“社畜”とも称された日本人の働き方に、新たな時代が来るかと思いきや、聞こえてくるのはテレワーク疲れ、意欲減退、心身の不調などなど。題名の「遊び」とは、社員が自身のポテンシャルを十分発揮しながら、自律的に生き生き働く状態。そのために上司ができることを、豊富な事例を挙げて提案する。『遊ばせる技術 チームの成果をワンランク上げる仕組み』を書いたエスノグラファー代表取締役の神谷俊氏に聞いた。

■「食い違い」による負の連鎖が起きている

 ──テレワーク環境でさまざまな問題が浮上してきましたね。

 周りの状況が見えないことから来る機能不全のほかに、コントロールしすぎの問題が出ています。

 個々のタスクや進捗状況の共有、朝イチ会議や週次面談の設定など、仕事をするうえでの曖昧さを払拭し各自が自律的に働きやすくするための「型」が、逆に社員を縛り意欲停滞や疲労感を引き起こしている。

 一方上司は、数値上システム管理はうまく機能していると評価し、継続・強化しようとする。食い違いによる負の連鎖です。社員の自律が大事なのはわかってるし、権限委譲してるつもりだし、風通しのよさも担保してるつもりだけど、テクノロジーによる見えない管理が効きすぎてしまう。毎日アラートが飛んでくる、リマインドが飛んでくる。面白く仕事をしていた人が、面白さを見失い、指示待ちに陥ってしまうケースを、ここ最近よく目にします。

 ──テレワークの運用自体が、まだ試行錯誤中ということですか? 

 慣れてきてはいるけど、適応できていない。今後労働人口が減り、子育てや介護中などいろんな人を企業が活用していく中で、テレワークは必須の選択肢。世界との競争上でも挑戦しなきゃいけない。その適応が今、十分にできていない。早い段階でこの1年を振り返って課題を洗い出し、どう進めるべきかを言語化して改善していかなきゃいけないと思います。

 ──自律的な働き方を、自分なりの意義や価値を見つけ“自分事”として実践することとすると、テレワークは好環境だったはずでは。

 自分に合った仕事の進め方を見つけられていれば有効です。ただ現状は、自分で仕事に創意工夫を加える「ジョブ・クラフティング」の余地がなかったりする。みんな真面目にやりすぎるんです。義務感だけの「真面目さ」では、今は成果が出ていても、時間とともにストレスや創造的思考力低下でパフォーマンス悪化が懸念される。自らの能力を発揮すべく真剣に仕事を楽しむ状態を「遊び」とすれば、今後の競争優位の源泉は仕事における遊びだと思います。

 仕事もプライベートも両方豊かにしたいなら、仕事時間が苦痛、というのはちょっと嫌ですよね。会社から多くの資源を提供され、自分の能力や可能性を高めていくフィールドがあるのに、受け身スタンスで従うだけでは人生における機会損失。自分がより価値を感じられるものにしていったほうがいい、と私自身は思っている。

■いきなり大目標は掲げないほうがいい

 ──何から始めればいいですか? 

 小さな興味を大切にする。これは重要かも、面白そう、こんなことやってみたい、など感じるところがあればまず動く、人に会う。本を読む、調べてみるなどして新しい情報に触れ、自分にちょうどよい刺激を得ることで面白さは膨らんでいきます。大事なのは、小さな興味、小さなアクション、ちょうどよい刺激。それなら日々の仕事中にたくさんあるよね、という話。いきなり大目標は掲げないほうがいい。目標に向かって計画的にいこうとすると大体つまずく。

 ──能力と挑戦のレベルがほどほどに均衡するのがいい、と。

 よくあるケースが、部下のモチベーションを高めるために、上司があえて高い目標を投げること。部下からすればむちゃ振りだったりするし、上司の指示では自分事化しにくい。小さなアクションを積み重ねて自分の興味を育て、次の課題がある程度見えてきたらできることからやっていく。やりながら次の挑戦を考えていくくらいがちょうどいい。

 小さな成功体験を好循環させていくために、アクションによって得たことを自分なりに整理・蓄積して、負荷のない程度に学ぶことを習慣化する。アクションと学習の反復がカギです。

 ──そこで重要になってくるのが、上司がどう関わるかですね。

 当然ながら個人差がありますよね。どんな位置づけで仕事を捉え、今何に興味を持ち、どんな支援を欲してるのか。本人の内面にある志向に関心を示すことから支援は始まります。

 本では4つのタイプに分類し、それぞれに合わせた支援を提案しました。すでに自律レベルが高い「自律型」、頑張ってこなしているけど楽しめてはいない「真面目型」、仕事の優先度が低く、与えられた分だけきちんと進める「線引き型」、仕事への明確な価値観も意欲もない「停滞型」。

■最も注力すべき層は「真面目型」

 ──「線引き型」も支援は必要? 

 仕事と距離を置く姿勢が確立している場合は難しいかもしれない。でもやる気があるのに育児や介護などの制約で葛藤している人には対応してほしい。私の周囲で多いのはこちらです。例えば、後輩の相談に丁寧に応じたいけど、保育園へ迎えに走らざるをえない社員。プライベートでも職場でも役割を全うしたいとジレンマを抱える部下の、時間的・体力的リソース不足を補填すべきです。残念なのは、それに対しフィットしない対応が多いこと。上司本人の価値観を反映した見当違いの解決策、余計なお世話みたいな例がすごく多い。どんな支援なら楽になるか、真摯にヒアリングしてほしい。

 ──「真面目型」は多そうですね。

 遊びを見いだすことで飛躍的に向上する可能性がある、最も注力すべき層です。面白いと感じるテーマを本人が見つけ、仕事に反映されていくよう、小さなアクションを起こす機会を提供してほしい。実際に仕事を自分事化して生き生き働いてるモデルを紹介するのは有効です。面白く働くとはどういうことかイメージしやすくなる。

 そして、何を身に付けると広くビジネス社会でキャリアアップできるかの情報提供も。あくまで主体は自分、という意識を維持させる。部分的支援はいいけど、上司が全部教えるのはダメ。結果がうまくいってもダメでも、「上司の指示で」になってしまう。本人がオーナーシップの意識を持つことが大切です。

東洋経済オンライン

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最終更新:9/19(日) 11:31

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