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「愛猫を獣医師の誤診で亡くした」飼い主の後悔

9/19 12:01 配信

東洋経済オンライン

 一般社団法人ペットフード協会の2020年(令和2年)の全国犬猫飼育実態調査によると、全国の推計飼育頭数は犬848万9000頭、猫964万4000頭で、特に新規飼育者が増加傾向にあるようです。

 コロナで人とのコミュニケーションが減ったり、家にいることが多くなったことから、その寂しさをまぎらわすためペットの購入を検討した人も多いはず。しかし、ペットも人間と同じように生き物ですから、当然病気になったり、ケガをしたりすこともあります。

 そんなとき動物病院で受診するわけですが、ホームドクターの選択には注意も必要です。なぜなら選択によっては、愛するペットの命を落としかねないからです。

■愛猫の命を奪った「獣医師の誤診」

 千葉県に住むAさんは、1歳になる「桜」という名のメインクーンの女の子を飼っていました。そろそろ避妊手術をと考えていたある日、桜ちゃんに元気がないことに気が付きました。

 部屋やトイレをよく見ると嘔吐や下痢が見られたため、Aさんは急いで近所の動物病院へ向かいます。桜ちゃんはブリーダーから譲ってもらった子で、1歳になるまで病気やケガをすることはなかったので初めて訪れる病院でした。診察を待つ間にAさんはブリーダーにも連絡をとり詳細を説明。その症状から「子宮蓄膿症の可能性もあるので、エコー検査もしてもらって」とアドバイスをもらっていました。

 診察したのは若い獣医師。ぎこちない対応にAさんは不安を感じたと言います。

 「エコー検査をお願いしたのですが、機械の故障かなかなか画像が映らず検査ができませんでした。獣医師はしばらくバタバタしていましたが、実は電源が入っていなかっただけでした。その後、エコー検査をしてもらったのですが問題ないといわれ、吐き気と下痢を止める薬を処方してもらいました」とAさん。しばらく薬を飲ませて桜ちゃんの様子を見ることにしました。

 しかし、翌朝、Aさんは桜ちゃんの変わり果てた姿に対面することになります。いつも愛用しているベッドには息をしていない桜ちゃんが横たわっていたのです。

 Aさんはすぐに動物病院へ連絡し、そのことを伝えましたが、相手は「残念です」と言うばかり。桜ちゃんが亡くなった悲しみと後悔、また納得できない感情で混乱しました。

 亡くなった桜ちゃんの陰部からは大量の膿のようなものが出ていました。Aさんはブリーダーと相談して別の動物病院で死因を調べてもらうことにしました。

 その結果は「子宮蓄膿症で膿が溜まり過ぎて子宮が破裂したことにより命を落とした」というもの。子宮蓄膿症には開放型と閉鎖型があり、前者は早い段階から陰部から膿がでるので飼い主が見つけやすいのですが、後者はそれがないので気づきにくいのです。しかしながら、エコー検査で獣医師が見落とさなければ、手術などで治療できる疾患でした。

■ペットにもセカンドオピニオンが必要な理由

 桜ちゃんの死後、Aさんは担当した獣医師が大学を卒業したばかりということを知りました。エコーの機械を上手く動かせなかった焦りから、子宮蓄膿症を見落とした可能性も考えられます。

 Aさんは家から近いからとその動物病院を選びましたが、「良い獣医師がいるところを事前に探しておけばよかった」「診察に不安を感じたときに別の病院で見てもらえばよかった」と後悔しました。

 一時期は訴訟も考えたそうですが、その後に動物病院と話し合い、和解をしたそうです。しかしながら、桜ちゃんがAさんのもとに戻るわけではなく、2年経ったいまでも憤りと後悔の念があると言います。
筆者は仕事柄、多くの獣医師と話をする機会があります。ある獣医師が言っていた「獣医療の基本は獣医師の技量である」という言葉が印象的でした。

 技量とは言い換えれば「訓練により身につけた能力」「スキル」「技」「手なみ」「腕前」などです。技量は、獣医師により雲泥の差があると言います。今回のように医師によっては誤診する可能性もあるので、もし診察内容に疑問を持ったときは、セカンドオピニオンを求めることも必要です。

 医師による誤診は決して他人事ではありません。

 以前、筆者の知人の愛猫は心雑音(心臓から出る異常音)があったことから、拡張型心筋症との診断を受けました。ところが、別の動物病院の心臓の専門医に診てもらったところ、「拡張型心筋症ではありませんよ。正常です。心雑音は一時的なものでしょう」と言われたそうです。その後は心臓に問題はなく、元気に過ごしています。

 また、筆者の愛犬も喉にしこりができたため受診しましたが、1番目の病院では唾液腺炎と診断され薬を処方されました。しかし、診察内容に疑問を感じ、また別の専門医に診てもらったところ、リンパ浮腫に発生する悪性の血管肉腫であることがわかりました。すぐに手術でしこりを取り除きましたが、残念ながら全身に転移し、1ヵ月後には亡くなりました。

 人間においてはセカンドオピニオンは定着した感がありますが、ペットにおいてもそれは必要だと感じた出来事です。

■正しい動物病院の選び方

 もし今通っている動物病院に何かしらの不安や疑問があるなら、セカンドオピニオンや転院を検討したほうがいいでしょう。これまで筆者が取材する中で得た知見から、「正しい動物病院を選ぶ4つのポイント」をまとめました。

 ポイント1:医師と相性が合うこと

 ペットの保護者は飼い主です。言葉を話せないペットのかわりに、症状を説明し、治療法を相談します。ときには治療が長期にわたることもあれば、難しい決断を迫られることもあります。

 愛するペットの診察を快く任せたければ、できるだけ自分と相性のいい医師を選んだほうがいいでしょう。心を開いて何でも相談できることが大切です。

 ポイント2:医師が幅広い知識と技術を有すること

 ペットの症状を把握するためには、知識、技術、経験が必要です。それらの判断基準は、病気やケガについて丁寧に説明をしてくれるか、治療について複数の選択肢を提示してくれるかどうかがポイントです。

 また事前にホームページなどで医師の経歴を確認することも大切です。経歴の掲載は医師や病院の自信と責任の表れでもあります。

 最近は専門分野を持つ獣医師も増えてきたので、実際に話をしてみて、総合的に判断するといいでしょう。

 ポイント3:事前に治療法や費用についての説明があること

 診察時、飼い主の要望を聞いて、それに見合う治療法だけでなく費用を提示してくれるかはかなり重要なポイントです。

 たとえ治療でペットが元気になったとしても、高額な費用の支払いで飼い主の生活が立ち行かなくなったら、ペットも飼い主も幸せではありません。きちんと説明を受け、納得した上で治療を受ける必要があります。

 ポイント4:獣医師自身が診療に熱心であること

 Aさんの体験からもわかるように獣医師も玉石混淆です。メディアでの露出が多く有名だからといって、必ずしも腕が立つわけでもありません。医療以外の仕事で忙しく、いつも病院に不在ということもあります。診察に対する熱意がなければ知識と技術の習得・向上は難しいですし、適切な治療をしてくれるかどうかも疑問です。熱心さが伝わってくる獣医師なら間違いないでしょう。

 Aさんのように後悔することがないよう、日頃からホームドクターやセカンドオピニオンについてしっかりと考えておくことが大切です。

東洋経済オンライン

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最終更新:9/19(日) 17:23

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