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「空気を読まない人」ほど高く評価されるワケ~抱え込んでしまっては、いい結果は残せない

9/18 16:01 配信

東洋経済オンライン

IQの高い人たちや、世界で評価され、活躍しているビジネスパーソンなど、世界のさまざまな「頭のいい人」の姿を見てきたという脳科学者の中野信子さん。「頭のいい人」たちがやっている習慣術について、中野さんの最新刊『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』より一部抜粋、再構成し、お届けします。

■「頭のいい人」とはどんな人か

 みなさんは「頭のいい人」というと、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。成績優秀、頭の回転が速い、知識が豊富など、人によっていろいろな答えがあると思います。ここでは、私が出会ってきた人たちの中から、私の思う「本当に頭のいい人」について、お話ししたいと思います。

 私は、東京大学を卒業し、大学院で医学博士号を取得した後、フランス国立研究所にポスドク(博士課程修了の研究者)として勤務していました。また、どんな面白い人が集うサークルなのかという興味本位で、MENSA(世界の全人口で上位2%の知能指数に入る人のみが入会を許される団体)の会員になったりもしました。そのような中で、IQの高い人たちや、世界で評価され、活躍しているビジネスパーソンなど、世界のさまざまな「頭のいい人」の姿を見ることができました。

 たくさんの世界レベルの人たちに出会い、そこから私が得た結論は、「『世界で通用する頭のいい人』というのは、ただの秀才ではない」ということです。例えば彼らは、「空気を読まない」「敵を味方にする」「ストレスを自分に与える」など、ちょっと非常識だったり一見大人げないことをしてみたりすることで、周りを自分のペースに巻き込んでいく力を持っています。

 実はこうしたことは、彼らのように優秀な頭脳を持つ人だけにしかできないことではありません。ちょっと練習は必要かもしれませんが、簡単なコツやテクニックで習得できるものです。頭のいい悪いは関係ありません。少し意識を変えるだけで、誰にでも今日からできることなのです。

 ちょっと前に「KY(空気が読めない)」なんて言葉がはやっていたことがありましたよね。周りと歩調を合わせるのを美徳とする、日本人らしい風潮かもしれません。確かに、他人を気遣うのはすばらしいこと。でも、世界で活躍している人には、実はKYの人が多いのも事実です。

 私の先輩に、Sさんという日本人の研究者がいます。Sさんは日本だけでなく、ヨーロッパでも高い評価を得ていますが、「空気を読まない」ことで己を貫いています。

 一方、Sさんと同じ研究所には、Hさんという日本人の研究者もいました。Hさんは皆を気遣って、自分の希望しない研究にも手を貸していました。しかし、評価はいまひとつ……。SさんもHさんも研究熱心で、優れた論文を書いていました。なのに、周囲からの評価は明らかに違う。あまりにも不公平な気もしますが、この違いはいったい、どのようにして生まれたのでしょうか? 

 「自分の得意なものが何なのかをよく知っており、自分が苦手なことはやらない」

 つまり、

 「周囲に自分を合わせるのではなく、周囲が自分に合わせるようにする」

 これがSさんの最大の特徴でした。

 Sさんは人の意向に自分を合わせるということを、まったくしませんでした。「苦手なものは苦手」と言って譲りません。またSさんは、苦手なところを克服するために時間や労力を使うのではなく、自分の得意なところをブラッシュアップするために使うのに徹していました。そして、「これはできそうもないな」という部分は、自分でやることを避けていました。得意な人を探してその人に任せるという方法で、苦手なところをカバーしていたのです。

■抱え込んでしまっては、いい結果は残せない

 実はこの方法、いい結果を出すには、非常に理にかなっています。まず、自分が苦手なところをフォローしてもらうためには、ほかの人を頼りにします。人は誰かに頼りにされるとうれしいものなので、基本的には喜んで引き受けてくれます。一方、自分が得意なことには、自分の能力をフルに発揮します。結果的に、自分にも、協力した人間にも、すばらしい成果がついてきます。

 これは、Sさんが自分の得意分野を、「誰にもまねできないレベル」にまで高めていたからこそできることでもありました。「どんな仕事でも60点レベルで、無難にこなせる」より、「この仕事を90点以上のハイレベルでできるのは自分だけ」というものを徹底的に活かすわけです。そして、「自分では30点以下のレベルでしかできない」ことは、「90点以上のレベルでできる人」を探してきて、その人に任せればいいという考え方です。

 この方法は、何でも1人でやろうとする「ゼネラリスト傾向」の強い日本人にはやや抵抗があるかもしれません。ですが、ちょっと思考法を変えるだけで、誰にでも実行できる方法でもあるのです。そして、結果的に、自分も相手もいい思いができる。さらに、「あの人ってすごいね!」と高い評価を受けることにもなるのです。

 一方でHさんは、Sさんとは正反対の性格。真面目すぎるところがあり、自分の苦手な物にも正面から向き合って、ちょっと無理をしてでも苦手なところを克服しようとするあまり、それに疲れてしまうような人でした。大変なことをすべて自分で抱え込んでしまうために、収拾がつかなくなるタイプです。

 オールマイティーになれることなんて、めったにないのです。野球を例にしましょう。剛速球や変化球が自在に投げられ、ホームランを多く打てて、足が速くて、守備もうまいなんてことはまれでしょう。人は誰でも、得意・不得意があるもの。自分が不得意なところまで無理してカバーするよりも、得意なところを伸ばすほうがいい結果を出せますし、何より自分が楽しめるはずです。

 「空気を読まない」というと、「周囲に気遣っていない」だとか「わがままだ!」というイメージがあるかもしれません。でも、周囲に迷惑をかけたり不快な思いをさせたりするとは限らないのです。Sさんの場合は、彼を助ける仲間がいい思いをするわけですから、空気を読まないことがむしろプラスに働いています。

 「得意なことだけを貫く」。これは一見、自己中心的なようですが、好結果を残すには大事な要素。これを実践しているSさんこそ、「世界で活躍できる頭のいい人」だと思うのです。

東洋経済オンライン

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最終更新:9/18(土) 16:01

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