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際立つ「40~50代未婚男性」幸福度の低さの背景

9/15 11:01 配信

東洋経済オンライン

 幸福度は、未婚者より既婚者のほうが高く、男性より女性のほうが高い。

 これは世界的にも割と共通した傾向で、2017~2020年の「世界価値観調査」においても、調査対象77カ国中、未婚者より既婚者の幸福度が高い国は70%を超え、男性より女性の幸福度が高い国も53%あります。

 日本もその多数派に属します。それどころか、既婚者の幸福度が高い順では日本は5位、女性の幸福度が高い順では3位とトップグループにランクインします。

■40~50代未婚男性の幸福度の低さ

 日本における年代別でみてもその傾向は顕著ですが、私が2020年に国内で調査した以下のグラフにもあるとおり、とくに気になるのは40~50代の未婚男性の幸福度の際立つ低さです。逆にいえば、未婚の40~50代男性の不幸度がいちばん高いということになります。これは2016年から継続調査の推移を見ても同様の傾向です。

 (※外部配信先では図を全て閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

 未婚男性の幸福度が突出して低い理由として、すぐ思いつく要因としては「未婚男性は低年収だから」というものがあります。

実際『「金がないから結婚できない」と嘆く人の大誤解』の記事でも考察しましたが、東京や大都市圏においては「金がないから結婚できない」という問題は確かに存在します。しかし、未婚男性の低い幸福度は年収だけのせいなのかというとそうでもないのです。

 年収別に幸福度を20~50代未既婚で比べると、未婚も既婚も年収が上がるごとに幸福度は増しますが、同じ年収でも未婚と既婚とでは幸福度に大きな差があります。年収100~900万円の間ではほぼ20ポイントの差が均等にあります。

 むしろ、未婚男性は1000万円の年収で幸福度が頭打ちになり、それ以降は下がる傾向すら見られます。これを見る限り、年収より未婚か既婚かの配偶関係のほうが幸福度に強く影響を与えていると考えられます。

■恋愛経験との関係は? 

 次に、恋愛経験と幸福度の関係についてみてみます。

 以下のグラフは、「現在恋人がいる」「今はいないが過去には恋人がいた」「今まで一度も付き合った相手がいたことがない」という状況別に未婚男女での幸福度を比較したものです。「幸福だ」と感じる割合だけではなく、「不幸だ」と感じる割合もあわせてみるために、幸福と不幸の割合の差分にて比較してみることとします。

 こちらも男女差が明確に出ます。未婚男性は「現在恋人がいる」群ではすべての年代で幸福が不幸を上回りますが、「今まで一度もいない」群はすべてマイナス(不幸割合が幸福割合を上回る)という結果となりました。

 女性も同じような傾向はありますが、40代の「今まで一度もいない」群を除けば、すべて幸福割合のほうが上回ります。つまり、恋愛経験があるかないかで幸不幸の影響を最も受けているのが、「一度も恋愛経験のない」未婚男性たちということになります。

 一般的に、「恋愛=幸せ」の図式は女性にあてはまるものと考えられがちですが、既婚より未婚の幸福度が低い結果とあわせると(既婚者は少なくとも恋愛経験を経ている)、男性の幸せにおいて重要な因子は、むしろ年収より恋愛なのではないかという仮説も成り立ちます。

 だからといって、「恋愛すれば幸福になれる」「結婚すれば幸福になれる」などという因果はありません。当然、恋愛経験なしの中には、そもそも「恋愛や結婚に興味がない」層も一定数います。恋愛をしていない人=不幸と断じるつもりもありません。しかし、マクロ的に見れば、多くの未婚男性の低い幸福度は、「恋愛を望んでいるにもかかわらずそれが実現できない」という環境にあるともいえるでしょう。

一方で、恋愛経験がなくても幸福度が高い群も存在します。『「オタクは結婚できない」という大いなる誤解』という記事で紹介したように、何かしらのオタク趣味をもつ未婚男性の幸福度は、「現在恋人がいる」未婚男性のそれに匹敵します。恋愛をしていなくてもオタク趣味がある未婚男性は十分幸せなのです。

■幸せとはいったい? 

 そもそも、幸せとはなんでしょうか? 

 もともと、「幸」という文字は「手かせ」つまり「手錠」の象形であると言われています。手錠でつながれて不自由な状態がしあわせというのは一体どういう意味なのでしょう? 

 この解釈については、諸説ありますが、「手錠をはめられている状態から解放されると幸せだから」という説もあります。また、「幸」に「丸」と書くと「執」になります。「執」という漢字を使った熟語には、「執着」「固執」など、あまりいい意味は感じられません。

 そもそも、この「丸」という漢字は、ひざまずいて両手を前に差し出す人の姿を現します。差し出した先が「幸」という手錠ですから、これはどう考えても、逃げられない不自由な状態にさせられた人間を表しているでしょう。どうやら「幸」という字は本来あまりいい意味ではないようです。

 しかし、実は「幸せ」という表記になったのは江戸時代以降の最近の話で、もともとは「仕合わせ」と表記していました。中島みゆきさんの歌の「糸」で使われているのも、この「仕合わせ」という漢字です。

 さらに語源をたどれば「仕合わせ」とは「為し合わす」でした。「為す」とは動詞「する」で、何か2つの動作などを「合わせる」こと、それが「しあわせ」だという意味です。つまりは、「誰かと何か行動をする」こと自体が「しあわせ」ということなのです。もともとは動詞であったことから、「しあわせ」とは状態ではなく「しあわせる」という行動そのものだったことがうかがえます。

 結婚しているとか、いい会社に就職しているとか、さらにはお金を所有しているという状態にしあわせはありません。結婚にしても、就職にしても、そこで誰と何をするのかがしあわせなのであり、お金や時間に関して言えば、そのお金と時間を使って誰と何をするのかがしあわせなのだろうと思います。

 いうまでもなく、その誰かとは異性に限らず、同性の友人であってもいいし、初対面の相手であってもいい。つまりは、しあわせとは「人のつながり」であり、「つながった人と何をするのか」が問われているのです。

 こんな場面を想像してみてください。

 公園などにあるシーソー。そのシーソーの片側に自分だけが座っていても、何も動きません。どんなにもがいても、自分1人だけではシーソーは動きません。そこに必要なのが人とのつながりなのです。

 多くの人は、自分が下にいる状態が不幸なのだと考えてしまうでしょう。そうではありません。

 反対に、シーソーが上がって自分の身体が頂点に達したときだけが幸せでもありません。それでは、自分の幸せのために誰かの犠牲を要求することになります。「しあわせ」とは、シーソーが上に行ったり下に行ったりする過程の中で、刹那生じる中間地点にあります。誰かと何かを「なしあわせる」ことで生まれる一瞬のバランス状態。これが「しあわせ」の瞬間です。

 よって「しあわせ」とは静止状態で享受できるものではなく、つねに動的状態で、繰り返し訪れるもの。寄せては返す波のようなものです。「しあわせ」を感じる過程で、有頂天になったり、どん底の気分を味わうこともあるでしょう。でも、それこそが真ん中の状態を通り過ぎるための力点の1つになるわけです。

 そして、シーソーをこぐ相手はいつも一緒の人である必要もありません。あなた自身も通りすがりで誰かのシーソーにいったん座っていることもあるでしょう。幸と不幸、光と闇というように二項対立で捉えがちですが、そう区別できるものではないのです。すべてが流れの中にあり、すべてが循環し、つながっています。

■生きている限り誰かとシーソーをする

 そう考えれば、未婚に比べて既婚の幸福度が高いのは、配偶者や子どもといったつねに「しあわせる」相手と何かをしていることによるものですし、未婚でも恋愛相手がいる人の幸福度が高いのも同じことでしょう。男性より女性のほうが全体的に幸福度が高いのも配偶関係によらず、女性のほうがコミュニケーションをとる回数が多いということかもしれません。

 恋愛相手がなくても、オタク未婚男性の幸福度が高いのも、オタク趣味を通じて、誰かとつながり、誰かの役に立っている実感が得られるという、いわば「擬似恋愛・擬似子育て」行動だからでしょう。

 「結婚すれば幸せになれる」「お金持ちになれば幸せになれる」という状態依存にとらわれていると、ますます自分を不幸に陥れます。「そういう状態にない自分は幸せではないのだ」と自己暗示にかけているようなものだからです。

 私たちは、生きている限り、無意識に誰かとつかの間のシーソーをしています。仕事でも買い物でも、あなたの行動は何かしら誰かに影響を与えているものです。それもまた人とのつながりです。

 人とのつながりは、最初は小さな点でしかありません。でも、その小さな点もつながりが増えることによって、1本の糸になります。さらにつながりが広がると、糸が交錯して、大きな布になります。まさに、中島みゆきさんの曲「糸」の歌詞そのままです。

 「Be happy」ではなく「Do happy」へ。「幸せ」から「仕合わせ」へ。「幸せ」という手錠をいったん外して、本来の「仕合わせる」行動をしてみてはどうでしょうか? 

東洋経済オンライン

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最終更新:9/15(水) 11:01

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