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筆算の仕組み「説明できる人」「できない人」の差、頭がよくなるためにやりたい思考の癖づけ

7/26 13:31 配信

東洋経済オンライン

どんな物事にもやり方があり、それを覚えていればなんなく処理できることはたくさんありますが、そのやり方に対しても「なぜそうなるのか」と考える人と、そうでない人とでは論理的な考え方において天地ほどの差があると語るのは、人気数学系ユーチューバーの鈴木貫太郎氏。今回は同氏の新著『中学生の知識で数学脳を鍛える』から、誰もが習う、掛け算・割り算の筆算の仕組みを例にして、「なぜこのようになるのか」を考え、論理的な考え方を身につける第一歩を紹介します。

■「なぜそうなるのか」をつねに考える

 私はユーチューバーとして、数学の動画を毎日アップしています。おかげさまで登録者数は14万人を超え、累計の再生回数も5000万回超となりました。数学が嫌いで苦手だった人や親子で数学を勉強したい人も私の動画を観てくださっているようで嬉しいかぎりです。

 私は動画作成において気をつけていることがいくつかあります。その中で特に気をつけているのが「なぜそうなるのか」を考えることです。数学で出てくる定義や公式などはただ覚えるのではなく、それらが「なぜそうなるのか」ということも説明しながら、大学入試問題やオリジナルの問題を動画で解説しています。

 なぜ「なぜそうなるのか」を考えるのか(ちょっとややこしいですが)。それは自分で考えるようになるからです。

 数学では「やり方」を覚えていれば解ける問題はいくつもありますが、難関大学の入試問題となると、事前に勉強していたことがそのまま試験当日に出てくるなんてことはありません。せいぜい「この分野の、この定理を使った問題」程度の類似です。

 そうなると「やり方」を覚えているだけの生徒は問題を解くことはおろか、手も足も出ない状態となってしまうわけです。だからこそ「定義がどうなっているのか」「なぜそうなるのか」ということをしっかりと考えていくことは、問題が解けるといったこと以上に、解いている本人の思考を鍛えどんな状況でも対応できる力を養う上で非常に大切になってくるわけです。

 では数学でどんな思考が鍛えられるか。それは圧倒的に論理的な思考力だと私は思います。なぜなら数学ではいろんな条件を使いながら、筋道を立てて、問題を解いていきます。不必要な条件や、問題に適さない公式や定理などは除外し、適切な方法を考えながら、正しい答えへとたどり着くのです。

 数学を学ぶということはそのまま論理的な考え方を鍛えていると言っても過言ではないわけです。

■割り算の筆算、大きい位から行うのはなぜ? 

 ではここで問題です。

 52342÷3 はいくらになるでしょうか。

 割り算の筆算は大きい位から行いますが、それはなぜでしょうか。ただの数字で計算してもイメージがしにくいので、52342円を3人で分ける場合を考えてみましょう。

 金額を 1円玉に両替して、トランプを配るようにそれらを 分ければ確実ですが、普通はそうはしませんね。なので、まずは5枚の1万円札を3人で分けます。すると 1人1枚で 2枚の1万円札が余ります(この時点で1人あたり 1万円)。

 もう 1万円札で分けることはできませんので、次は1000円札で分けようとなります。あまった2万円を1000円札 20枚に両替して、もともとあった 2枚と合わせて 22枚の1000円札を 3人で分けます。すると、22を3で割って 7余り 1。 つまり、1人7枚(= 7000円)で1000円札1枚が余ります。

お金は公平に配らなければならないので、万から千、千から百としたように、100円から10円、10円から1円と、各位の余ったお金を下の位に両替して、割っていきます。その操作が下の図になります。

 そうすると最後の 1の位までいくと 1円が余ります。1人に配るお金は上記の①から⑤までの総和で求めることができ、1人17447円を配ったうえで、1円余るということです。

 筆算とは、このような操作をスピーディかつミスをしないために、実に合理的なやり方になっているのです。小学校では「こうなるから、これを覚えて計算しましょう」と計算ドリルをひたすらやらされたことでしょう。しかし、実際に割り算の操作がどのような仕組みになっているのかということを考えてみると、無駄をそぎ落とした計算方法だということがわかるのです。

 2桁以上の数字の掛け算をするときにも当然のように使用する、筆算。小学校で習う方法ですが、こちらも「なぜ筆算で計算ができるのか」と考えたことはあるでしょうか。この簡略化された方法も、実のところ、

 a × ( b + c ) = a × b + a × c

 という分配法則を用いてそれを縦に圧縮して書いているだけなのです。1つひとつの操作をひもといていくと、実に合理的にできていることがわかります。

■筆算を使わずに2桁の掛け算、できる? 

 ではここで問題です。

 47×36はいくらになるでしょうか。

 筆算の計算を書いてしまえばあっという間ですが、今回は違う方法でアプローチしていきます。問題の式ですが、一般的に2桁の数は、

 で表すことができます。23であれば 20×2+3で表せるということです。続いて、

 と表すことができます。つまり、

 このようになるのです。ここまで分解したものを踏まえて、下図をご覧ください。

 
 この図の①と②、③と④を合体させたものが、

 そう、筆算とはこうした式を非常に簡略的にまとめた計算方法だったわけです。それが 325×67という計算であってもやっていることは同じです。

 ①と②と③、④と⑤と⑥を1行にしているだけです。

■2桁どうしの掛け算が簡単に暗算できる方法 

 仕組みがわかれば、ラクな方法も見つかります。ここでもう一度47×36 を考えてみましょう。

 こうなったとき、実は 2桁どうしの掛け算ならもっとラクな方法があります。 ①と④、②と③を合体させるのです。どういうことかというと、①と④の合体は、

 6 × 7 = 42 … … (①)
3 × 4 = 12 … … (④)

 を一行に並べるということです。すると、

 1242

 となりますね。次に②と③の合体ですが、これは、

 4 × 6 = 24 … … (②)
3 × 7 = 21 … … (③)

 と 47 と 36 をたすき掛けをして足すということです。 すると、

 24 + 21 = 45

 最後に、この 2 つの数字、「1242」と「45」を足して終わりです。

 ただ、この「45」には「×10」が隠れているので、足す際には、

 1242+450 = 1692

 ということになります。この計算方法の利点は 6×7=42の「4」や3×7 =21 の「2」を小さく書かなくていいことです。また、②+③の暗算でミスしないように45と書かずに、縦に24、21と3行にして足すのも良いと思います。

 このようにすれば 2桁の数字の掛け算が今まで以上に、スピーディかつミスが少なくなることでしょう。

■論理的な思考は記憶力も高める 

 高校生のときは落ちこぼれ、456位のビリで、数学の点数も0点。そんな私が大学時代の塾講師のバイトをきっかけに数学にどっぷりと浸かり、今では数学系ユーチューバーとして毎日数学についての動画をアップしているなんて、すごく不思議なものだなと感じます。

 そんな私だからこそ実感するのは、数学を通して、自らの興味の幅を広げてきたのではないかということです。もちろんすべてのことに数学が関係しているわけではありません。しかし、数学を通して学んできた「なぜそうなるのか」などの考え方は、その他のジャンルに派生して生きている、と思います。

 「なぜそうなるのか」と考えることは原理原則をしっかりと考察し、理解することです。つまり正しい論理展開を理解するということです。そうした論理展開の1つ1つの段階には意味があるわけで、意味があることは記憶に残りやすいのです。

 また「なぜそうなるのか」と考えることは、好奇心のスタートであるとも言えます。いろんな物事の「なぜ」という考えから派生的に好奇心の幅を広げてくれるに違いありません。かつて私は「アタック25」というクイズ番組に出演し、トップ賞をいただいたことがありますが、論理的な展開の中で、いろんなことに派生した興味がそのまま記憶というものにつながり、クイズでも生かせたのかな、などと思っています。

 論理的に考えられるとはそれ自体が武器であり、そのことで記憶力をも高める効果があり、好奇心の幅を広げてくれるものだと思います。その第一歩目として数学で論理力を高めてみるのはいかがでしょうか。

東洋経済オンライン

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最終更新:7/26(月) 13:31

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