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ユニデンの株主総会「参加は役員のみ」の仰天事情

6/20 6:01 配信

東洋経済オンライン

 「株主様と当社役職員の『生命と健康を守るための対応』を最優先とし、株主様のご来場をいただくことなく当社役員のみで開催させていただきたく、株主様のご理解とご協力のほどお願い申し上げます」

 無線通信機器などを手掛けるユニデンホールディングスは6月14日付けで、このように記した定時株主総会の招集通知を発送した。6月29日に開催予定の株主総会は同社の会議室で役員のみで開き、株主総会への来場を事実上、拒否しているのだ。

■オンライン中継もない株主総会

 コロナ禍でオンラインによる総会開催が増えている。三菱UFJ信託銀行によると、6月14日時点でバーチャル総会を実施する企業は全体の13.7%に当たる319社。2020年の2.5倍に増えた。総会の様子をオンラインで中継して傍聴できるようにしたり、質問や動議、議決権行使などをオンラインで行えるようにする企業が大半だ。

 【2021年6月21日16時27分追記】初出時のバーチャル総会実施企業に関する数字を表記のように修正いたします。

 ところがユニデンは、議決権こそ総会前日の28日午後5時半までに行使するよう求めているものの、総会自体は「オンラインで中継する予定はありません」(ユニデン)としている。また株主からの質問は23日午後5時半までに届いたもののうち、株主の関心が高い事項について株主総会で説明し、後日その内容をウェブサイトに掲載するとしている。

 こうした株主総会の運営方針に対し、金融関係者からは「自分たちに都合のいい質問だけに答えるのではないか」「密室総会だ」との声が上がっている。

 三菱UFJ信託銀行によると、同様に株主の来場を控えるよう求める会社は6月14日時点で9社あり、こうしたケースはユニデンだけではない。ユニデンも表向きは新型コロナウイルスの流行を理由にしているが、同社の事情に詳しい証券会社幹部からは「コロナではない2つの別の理由があるからだ」と明かす。

 その1つが、1966年の会社設立から2020年の退任まで55年間にわたってワンマン経営者として君臨してきた藤本秀朗前会長の存在だ。

 藤本前会長はアメリカの連結子会社の不適切な会計処理の責任を取って2020年に退任。その代わりに義弟の西川健之氏が2020年9月に社長に就任したが、「実質的には藤本前会長が権力を握っており、西川体制は傀儡政権だった」(ユニデン関係者)という。

 だが、思い通りに経営できないことに嫌気が差した西川社長は、藤本体制からの決別をうたった「新ユニデン宣言」を2021年5月に発表するなど抵抗していた。藤本前会長はこれに激怒。ユニデン周辺では「西川社長が社長に就任する際、藤本前会長が西川社長に対して多額の報酬を支払った」とされ、恩を仇で返すのかと怒った藤本前会長が西川社長に対して逆襲に出たというのだ。

■前会長はなぜ株主名簿を求めたのか

 前出の証券会社幹部によれば、ユニデンの株式を8%程度保有する藤本前会長は株主名簿閲覧権を行使。だが、会社側はこれを拒否したため、訴訟も辞さない方針だという。

 藤本前会長が株主名簿の閲覧を求めている理由は、株主総会で社長の退任などを求める株主提案を行い、プロキシーファイト(委任状争奪戦)に乗り出すか、公開買い付けを行うことを考えているためだ。この証券会社幹部は、「6月16日時点で藤本前会長側からの株主提案は提出されておらず、藤本前会長はユニデンの買収を仕掛けようとしているのではないか」とみている。

 公開買い付けを実施する場合、株主総会の議決などは要しないが、「(現経営陣からすると)総会で藤本前会長にいろいろと言われたくはないとの思いが強い」(証券会社幹部)という見立てだ。

 ユニデンが株主総会で株主を拒むもう1つの理由は、アクティビスト(物言う株主)をはじめとする投資ファンドの存在だ。

 ユニデンは不動産や現金を潤沢に保有。PBR(株価純資産倍率)も6月15日時点で0.5倍、時価総額は160億円程度と割安で、アクティビストから狙われる典型的な企業だ。これまで日本のヴァレックス・パートナーズやアメリカのコーンウォール・キャピタル・マネジメント、香港のリム・アドバイザーズといった投資ファンドがユニデン株を取得。ユニデン株の約25%を握っている。

■株主提案に株主がなびくことを恐れた

 このうち、アクティビストのリムは、アメリカにおける不正会計を見逃した監査役の解任などを求めて株主提案をしている。これに議決権助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が賛成の意思表示をしており、総会を開けば他のファンドや株主から質問が出る可能性が高い。

 「ユニデン株主の3分の2は浮動票と言われている。総会で質疑応答を実施すれば、そうした株主が株主提案になびいてしまい可決されてしまう。そうした事態を恐れているのではないか」(前出証券会社幹部)というのだ。

 これに対しユニデン側は、自己株式消却のほか、決算発表後に配当を50円から100円にする増配を突如発表するなど、株価を引き上げて会社提案の議案に対する賛成票を集めることに必死になっている。

 こうした疑問について、ユニデンは「担当者多忙のため、取材をお受けすることができません。株主総会を当社役員のみで開催する理由などにつきましては、当社定時株主総会招集ご通知に記載しているとおりです」と答えるのみだ。

 株主総会までにユニデンが残された時間はあとわずか。うるさい株主の攻勢をかわしたいという思いだけで株主の総会出席を拒否し続ければ、市場の信頼も失いかねない。

東洋経済オンライン

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最終更新:6/21(月) 16:28

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