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S&P500 月例レポート ― 変転する相場ムード、落ち着きどころを模索 (1) ―

6/16 11:30 配信

株探ニュース

S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。

●THE S&P 500 MARKET:2021年5月
個人的見解:懸念材料はあるが、それよりも気掛かりなのはチャンスを逃すこと

 5月の株式市場は、月初は最高値を1回更新するなど上昇基調が続いたものの、その後は数回にわたって相場のムードが変化しました。米国経済がまもなく全面再開するとの期待を背景に、上旬は「ニュースを広げよう」(「ニューヨーク・ニューヨーク」の歌詞)、あるいは「今、この時この場所から伝えよう」(ジョン・F・ケネディの演説)といったムードが広がりました。しかし、インフレ率や商品価格の上昇といった要因が上昇基調に歯止めをかけ、市場の雰囲気は「株式市場にキスをして別れを告げよう。金融緩和政策と景気対策が続くことを夢見ながら。我々は大きな儲けを手にした。利益を得るためにこれまでやってきたことを忘れはしないし、後悔もしない」(「愛した日々に悔いはない(コーラスライン)」の替え歌)と口ずさんでいるかのように変化しました。その後、市場は落ち着きどころを模索する動きを見せ、ハムレットさながらに「マスクを着けるべきか、外すべきか。それが問題だ。ビジネスモデルとしてはどちらが高貴な振る舞いと言えるのだろうか。(一部の)理不尽な顧客、政治家、従業員からの訴訟や批判に耐え忍ぶのか、それとも投資資金の向かう先は絶えず変わる可能性があるとしても、川の流れのように資金を企業に回すために道を切り開くべきなのか」と考えながら、落ち着き所を探る展開となりました。保有銘柄の入れ替え売買の継続、利食い売り、大損を恐れての抜け駆け的な売買、さらには新型コロナの先行きに対する楽観論や旺盛な個人消費を手掛かりに、市場は適正水準を探る動きに終始しました。

 S&P 500指数は5月に0.55%上昇しました(31日時点でのリターンではありません)4月は5.24%の上昇、3月は4.24%の上昇、2月は2.61%の上昇でした(1月は1.11%下落)。年初来(過去5ヵ月間)では11.93%上昇、コロナ危機前の2020年2月19日の終値での高値からは24.16%上昇しました。また、最高値を付けた2021年5月7日からは0.67%安の水準で引けました。

 過去の実績を見ると、5月は58.1%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は3.17%、下落した月の平均下落率は4.68%、全体の平均騰落率は0.12%の下落となっています。S&P 500指数は2021年5月に0.55%の上昇となりました。

 6月は55.9%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は3.88%、下落した月の平均下落率は3.17%、全体の平均騰落率は0.77%の上昇となっています。

 今後の米連邦公開市場員会(FOMC)のスケジュールは、6月15日-16日、7月27日-28日、9月21日-22日、11月2日-3日、12月14日-15日、2022年1月25日-26日となっています。

 S&P 500指数は5月に0.55%上昇して4204.11で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス0.70%)。4月は4181.17で終え、5.24%の上昇(同プラス5.34%)、3月は3972.89で終え、4.24%の上昇(同プラス4.38%)でした。過去3ヵ月間では10.31%上昇(同プラス10.72%)、年初来では11.93%上昇(同プラス12.62%)、過去1年間では38.10%上昇(同プラス40.32%)、コロナ危機前の2020年2月19日の終値での高値からは24.16%上昇して月を終えました(同プラス25.93%)。

 ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は初めて3万5000ドルを突破しましたが(5月10日の終値は3万5091.56ドル)、その水準を月末まで維持できず、結局1.93%上昇の3万4529.45ドルで月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス2.21%)。4月は3万3874.85ドルで終え、2.71%の上昇(同プラス2.78%)、3月は3万3072.88ドルで終え、6.62%の上昇(同プラス6.78%)でした。過去3ヵ月間では11.63%上昇(同プラス12.18%)、年初来では12.82%上昇(同プラス13.76%)、過去1年間では36.03%上昇(同プラス38.79%)でした。

●主なポイント

  ⇒S&P 500指数は5月に0.55%上昇しました(配当込みのトータルリターンはプラス0.70%)。4月は5.24%上昇(同プラス5.34%)、3月は4.24%上昇(同プラス4.38%)、過去3ヵ月間では10.31%上昇(同プラス10.72%)、年初来では11.93%上昇(同プラス12.62%)、過去1年間では38.10%上昇(同プラス40.32%)でした。

  ⇒同指数の終値ベースでの最高値更新は、4月の10回に対して5月は1回となりました(1月、2月、3月はそれぞれ5回)。

  ⇒コロナ危機前の2020年2月19日の終値での高値からは24.16%上昇し(同プラス26.90%)、終値ベースで46回、最高値を更新しました。

  ⇒2020年11月3日の米大統領選挙以降では、同指数は24.78%の上昇(同プラス25.93%)でした(バイデン大統領就任以降に24回、最高値を更新しています)。

  ⇒強気相場入りして以降、2020年3月23日の底値から87.90%上昇しています(同プラス91.66%)。

  ⇒同指数は5月7日の高値から0.67%下落して月を終えました。

 ○米国10年国債利回りは4月末の1.62%から1.58%に低下して月を終えました(2020年末は0.92%、2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは4月末の2.29%から2.26%に低下して取引を終えました(同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

 ○英ポンドは4月末の1ポンド=1.3817ドルから1.4192ドルに上昇して月を終えました(同1.3673ドル、同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)。ユーロは4月末の1ユーロ=1.2020ドルから1.2193ドルに上昇して月を終えました(同1.2182ドル、同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円は4月末の1ドル=109.33円から109.86円に下落し(同103.24円、同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は4月末の1ドル=6.4745元から6.3684元に上昇しました(同6.5330元、同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。

 ○原油価格は4月末の1バレル=63.48ドルから66.63ドルに上昇して月を終えました(同48.42ドル、同61.21ドル、同45.81ドル、同60.09ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は、4月末の1ガロン=2.941ドル、また2020年5月末の2.049ドルから3.112ドルに上昇して(3ドルを超えるのは2018年6月以来)月末を迎えました(同2.330ドル、同2.658ドル、同2.358ドル、同2.589ドル)。

 ○金価格は4月末の1トロイオンス=1768.80ドルから1906.30ドルに上昇して月の取引を終えました(同1901.60ドル、同1520.00ドル、同1284.70ドル、同1305.00ドル)。

 ○VIX恐怖指数は4月末の18.61から16.76に低下して月を終えました。月中の最高は28.93、最低は15.90でした(同22.75、同13.78、同16.12、同11.05)。

  ⇒同指数の2020年の最高は85.47、最低は11.75でした。

 ○2021年第1四半期決算の発表が始まっており、484銘柄のうち411銘柄(84.9%)で利益が予想を上回り、483銘柄のうち377銘柄(78.1%)で売上高が予想を上回りました。

 ○米国の新型コロナウイルス対応のための財政政策:

  ⇒第1弾:医療機関への財政支援やウイルス感染拡大防止に83億ドルの資金拠出。

  ⇒第1段階:2週間の疾病休暇および最長10週間の家族医療休暇の給与費用に対する税額控除。

  ⇒第2段階:労働者、中小企業、事業会社、病院や医療関係機関に対する直接支援、ならびに融資保証を提供する2兆2000億ドルのプログラム。

  ⇒第3段階:(中小企業向け)給与保証プログラム(PPP)に3100億ドルと医療機関に750億ドルを含む、総額4840億ドルの供出。ただし、州政府および地方自治体に対する資金支援は行わない。

  ⇒第4段階:議会は新型コロナウイルス関連対策として、個人への直接給付金600ドル(所得制限あり)などを盛り込んだ総額9000億ドルの財政パッケージを(ようやく)可決。

  ⇒第5段階:バイデン大統領が就任前に提案した1兆9000億ドルの追加の財政刺激策は、政権発足後に共和党から6180億ドル規模の代替案が提示されましたが、若干の修正は加えられたものの、ほぼ民主党の公約通りの形で議会承認され、個人向けの直接給付金1400ドルの支払いが始まりました(小切手送付よりも口座への直接振り込みの割合が多い)。また、今回の経済対策案には州政府への支援と新型コロナウイルス対策費用も含まれています。

  ⇒第6段階:議会(下院)ではインフラ投資計画を含む次の経済対策に対する与野党協議が始まりました。バイデン大統領はインフラ整備に8年間で2.3兆ドルを投入する計画を発表し、その財源確保のために現行21%の法人税を28%に引き上げ、15年かけて費用を賄う方針を示しました。法案の審議はまだ始まったばかりですが、市場関係者は議会の勢力図から判断して同法案が成立する公算が大きいとみています。

   →バイデン大統領が掲げる2兆3000億ドルのインフラ投資計画をめぐり、共和党が5680億ドルの対案を示すと、バイデン大統領は1兆7000億ドルを提示し、与野党協議が続きました。ウォール街では、特定のプランの支出を転用することで、共和党の提示額よりバイデン大統領の提示額に近い規模になるとの見方が大勢を占めています。

   →民主党はフィリバスター規則をめぐり、上院で現行の60%でなく、過半数の賛成で法案を可決できるように規則を変更する方向に方針を転換しました。これにより、法案の可決に大きな影響が及ぶとみられます。

  ⇒第7段階:バイデン大統領は「米国の家族のための計画」と名付けた計画の概要を発表し、ヒューマンインフラ(人的基盤)への投資のために、全ての未就園児を対象とした保育施設、児童保護、有給休暇、中低所得世帯に対する減税、教育支援、授業料無料のコミュニティカレッジなどを拡充させることを表明しました。1兆8000億ドルと試算されるコストに関しては、(年収100万ドルを超える世帯を対象とした)キャピタルゲイン税の現行20.0%から39.6%への引き上げと富裕層に対する追加増税による税収を充てることにしています。

  ⇒バイデン大統領は就任後初となる2022会計年度(2021年10月1日開始)の予算教書を発表しました。6兆ドルの予算額(財政赤字額は1兆8000億ドル)には、合計4兆ドルの「米国の雇用のための計画」と「米国の家族のための計画」が含まれており、財源は増税で賄う予定です。予算案に対しては共和党からの強い反発が予想されますが、民主党はホワイトハウス、上院、下院のすべてを支配しており、計画の大部分は成立すると見込まれます。

 ○暗号通貨ビットコインは使用への疑問から(きっかけはテスラのイーロン・マスク氏の発言)下落しました。4月に付けた過去最高値の6万4863ドルから3万0682ドルまで値を下げた後、月末には3万5180ドルと、4月末の5万7750ドルを下回る水準で取引を終えました。2020年末の2万9002ドルからは上昇しています(2019年末は7194ドル)。

 ○市場関係者のS&P 500指数の1年後の目標値はこの1ヵ月で上昇し、現在値から12.2%上昇(前月は9.6%上昇)の4716(かなり強気な予想)となっています(4月末の目標値は4627、3月末の目標値は4432)。ダウ平均の目標値は現在値から8.6%上昇(前月は8.5%上昇)の3万7501ドル(かなり強気な予想)となっています(同3万6963ドル、同3万5554ドル)。

※「変転する相場ムード、落ち着きどころを模索 (2)」へ続く

株探ニュース(minkabu PRESS)

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最終更新:6/16(水) 11:40

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