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プチプチは商品名!意外に知らない単語トリビア

6/13 13:01 配信

東洋経済オンライン

 先日、仕事で英会話教材を作成していたときのこと。「プチプチ」(空気の入った円柱状の突起が並んだビニールの緩衝材)を登場させたのですが、筆者は「プチプチ」を英語ではbubble wrapと呼んでおり、そのまま記載しました。

 ところがそれを見た同僚のジョン先生に、「この単語は商標名だから、使うなら大文字でBubble Wrapにしないとダメだよ!」と言われてビックリ。

 それなら今後は正確に──と思ったものの、はて?  「プチプチ」って英語で正式にはなんて言うの? 

 今回は、英語で普通名称のように使用されている商標を取り上げてみます。ネイティブも気づかずに商標を使っていることが多いので、知っておくと盛り上がるかもしれませんよ。

■「サニーレタス」は商標登録できず

 ジョンに「What’s the generic name for Bubble Wrap? (『バブルラップ』の普通名称って何? )」と尋ねてみるとinflated cushioningとのこと。えー、そんなの一度も聞いたことない!  ネイティブも普段はBubble Wrapと呼んでしまうそうで、よほど正式な文章などで目にしないかぎりは触れることがない表現です。

 実はこのように日頃よく使っている表現が、商品名であるケースは多くあります。中にはもともとは商標だったにもかかわらず、あまりにも普通名称として使われてしまったことで裁判所や特許庁から「普通名詞化した」と判断されて商標権が消滅しているものもあれば、もともと商標登録されていなかったもの、商標権が放棄されたものなどもあるようです。日本では「サニーレタス」や「ホームシアター」「ホッチキス」などがこれにあたるとのこと。

 ちまたでは、「サニーレタス」の名前の由来は、当時人気だった自動車「日産サニー」にあやかって、みんなに愛されるように「サニーレタス」と名付けたという説もあるようです。ところが、タキイ種苗出版部の『園芸新知識』2002年6月号に、「サニーレタス」を日本に普及させた朝倉昭吉さんのインタビュー記事があり、そこでは「『太陽の恵みを全葉に受けて赤色がきれいに出るレタス』というイメージで、サニー(sunny:太陽の)レタスと名付けた」と語っていたようです。

 「サニーレタス」は、1982年(昭和57年)に商標登録出願されたそうですが、1985年(昭和60年)に特許庁により普通名称であると却下されたそうです。特許庁のサイトによると、「『サニーレタス』は、レタスの普通名称であり、自他商品の識別標識とは認識しえない」(昭和60年8月6日 昭和57年審判第2936号)とのことです。あまりにも広まって普通名称として使用されてしまうと、商標登録できないんですね……。

 「ホームシアター」は、1963年(昭和38年)に八欧電機株式会社(現在の富士通ゼネラル)により商標登録されました。富士通ゼネラルのプレスリリースによると、「この用語が、日常生活のありとあらゆるコミュニケーションの場で広く使われることを望むとともに、大型映像システムとしての『ホームシアター』がコンシューマー市場やコマーシャル市場に普及することを期待」して、1999年(平成11年)に無償開放するに至ったようです。

 「ホッチキス」は、1903年(明治36年)に伊藤喜商店(現在のイトーキ)が日本で初めて輸入販売を始めたらしく、イトーキのサイトによると、ホッチキスとゼムクリップのふたつが同時期に輸入販売開始されたようで、「どちらも伊藤喜商店の登録商標であったとされる」と書かれています。

 ところが、日刊SPA! の記事で鴻上尚史さんが直接イトーキに問い合わせたというくだりがあり、お客様センターの担当者の話では「商標については社の正式な記録としては何も残っていません。失効ということ自体も記録にありません」と言われたとのこと。結局どうだったのでしょうか……。

■アメリカで普通名称化した商標の数々

 日本での商標の話はさておき、英語ではどのようなものがあるのか見ていきましょう。

 まずはアメリカでもともと商品名であったにもかかわらず、普通名称化して現在は誰でも自由に使えるようになっているものから見ていきましょう。

ドライアイス dry ice
 DryIce Corporationが1925年に商標を登録。1932年に失効した。

リノリウム linoleum
 Frederick Waltonが発明し命名。普通名称化した最初の商品と言われている。

エスカレーター escalator
 Otis Elevator CompanyのCharles Seebergerが命名。1950年までは登録商標だった。

魔法瓶 thermos
 正式な普通名称はvacuum flask。アメリカでは1963年に普通名称化。

トランポリン trampoline
 正式な普通名称はrebound tumbler。1936年にGriswold-Nissen Trampoline & Tumbling Companyが命名。

ヨーヨー yo-yo
 Donald F. Duncanによって1932年に商標登録された。1965年に商標登録が無効に。

アスピリン aspirin
 1897年にBayer AGによって商標登録されたが、1917年にアメリカでは商標権が失効。

灯油 kerosene
 Abraham Gesnerが1854年に商標登録。現在は商標権が消滅。

 割と身近なものを拾って挙げてみました。escalator(エスカレーター)やdry ice(ドライアイス)も以前は商標だったんですね。そのほかのものも、意外なものばかりで商品名だとは思っていなかったものが多いですよね。あまりにも商品名のほうが普及しすぎていて、trampoline(トランポリン)の普通名称rebound tumblerや、thermos(魔法瓶)の普通名称vacuum flaskなんて、ふだん目にすることはほぼない気がします。

 これらの商品名は、現在アメリカでは商標権がなくなっていますが、国によってはいまだに商標権が存続しているものもあるようです。どれも英語では普通名称になっていますので、通常小文字で表記されるようになりました。

■日本でも耳にする英語の商標

 現在も商標権が存続しているのに、頻繁に普通名称として使われている商品名もリストアップしてみましょう。こちらは商品名なので、基本的に頭文字を大文字にしなければなりません。身近なもので普通名称のように使っているもの、たくさんあるんです。

 でも、ぜひ普通名称のほうも確認してみてください。「本当はこんなふうに呼ぶのか」とビックリするかもしれませんよ。では、まず日本語でもカタカナ語でよく使われるものから見ていきましょう。

絆創膏 Band-Aid
 普通名称はadhesive bandage。商標保持者はJohnson&Johnson。日本語でも「バンドエイド」は商標名。

フリスビー Frisbee
 普通名称はflying disc。商標保持者はWham-O。日本語でも「フリスビー」は商標名。普通名称は「フライング・ディスク」。

フラフープ Hula hoop
 普通名称はtoy hoop。商標保持者はWham-O。日本語でも「フラフープ」は商標名。

付箋 Post-it
 普通名称はsticky note。商標保持者は3M Company。日本語でも「ポストイット」は商標名。普通名称は「付箋」。

ジープ Jeep
 普通名称はsport utility vehicle。商標保持者はChrysler。日本語でも「ジープ」は商標名。普通名称は「自動車」だが、SUVという言い方も普及してきている。

ジェットスキー Jet Ski
 普通名称はstand-up personal watercraftまたはwater scooter。商標保持者は川崎重工業モーターサイクル&エンジンカンパニー。日本語でも「ジェットスキー」は商標名。普通名称は「水上オートバイ」。

ジェットバス Jacuzzi
 普通名称はhot tubまたはwhirlpool bath。商標保持者はJacuzzi。日本語の「ジャグジー」も商標名。本来の発音に準じると「ジャクージ」だが、通常「ジャグジー」と発音される。

 あらためて見てみると、商品名だというのも納得できるものが多いです。それにしても、Jacuzzi(ジャクージ)が「ジャグジー」になってしまったのは興味深いですね。avocado(アボカド)が「アボガド」になってしまうのと同じ仕組みですかねぇ。

 「フラフープ」については、普通名称がなんなのかがわかりませんでした。おそらく「フープ」でよいのではないかと思います。新体操では、手に持つボールや輪、こん棒などを「手具(しゅぐ)」と呼ぶそうで、「手具輪」という呼び名もあるようですが、これは新体操用のもの限定の呼び方なのでしょうか? 

 英語で普通名称のように使用されている商標の中で、日本語では使用されていないものも見てみましょう。「初めて知った!」というものもあると思いますが、これらは英語で耳にすることがあるかもしれませんので覚えておくと便利です。また、普通名称のほうは出会うことが少ないと思いますので、この機会に一緒に知っておくといいでしょう。

リップスティック ChapStick
 普通名称はlip balmまたはlip salve。商標保持者はGlaxoSmithKline。

綿棒 Q-tip
 普通名称はcotton swab。商標保持者はUnilever。

発泡スチロール Styrofoam
 普通名称はpolystyrene foam。商標保持者はDow Chemical。 Company

大型ごみ容器 Dumpster
 普通名称はfront/rear load container。商標保持者はDumpster Brothers, Inc.。

瞬間接着剤 Super Glue

 普通名称はcyanoacrylate adhesive。商標保持者はSuper Glue Corporation。日本語の「アロンアルファ」は商標名。

マジックテープ Velcro
 普通名称はhook-and-loop fastener。商標保持者はVelcro Companies。日本語の「マジックテープ」も商標名。普通名称は「面ファスナー」。

 以前、Styrofoam(発泡スチロール)やQ-tip(綿棒)、Dumpster(大型ごみ容器)などは、筆者も商標と知らずにずっと使っていました。今回のように教材などを作成するときに、商標だと気づいたり指摘されたりして覚えてきたものばかりです。ただ普通名称のほうで表現すると、何のことを指しているのか通じないことも多く悩みどころです……。

■「プチプチ」も商標名? 

 ジョンに「What did you call Bubble Wrap in Japanese? (バブルラップのこと、さっき日本語でなんて言ってた? )」と聞かれて、「プチプチ」と答えると「Is that a generic term? (それは普通名称なの? )」と質問されました。確かに……。

 正式な名称は何だろうと思い、ジョンに聞いたinflated cushioningをネットで検索したのですが、日本語は見つからず。Bubble Wrapで検索してみると「プチプチ」「エアキャップ」「バブルラップ」などのカタカナに交じって「気泡緩衝材」という名前が! 

気泡緩衝材 Bubble Wrap
 普通名称はinflated cushioning。商標保持者はSealed Air Corporation。日本語の「プチプチ」は川上産業株式会社の登録商標。

 しかも「プチプチ」は商品名だったのです!  筆者にはあまりなじみがなかったのですが、ほかにも「エアキャップ」「ミナパック」「キャプロン」などの登録商標もあるようです。

 それならBubble Wrapの訳は「プチプチ」(もちろん「ミナパック」や「キャプロン」でもいいです! )、inflated cushioningの訳は「気泡緩衝材」にしたらピッタリですね。日本語で聞いたら、商標名と普通名称のニュアンスの違い、なんとなく理解できますよね。

 商品名ではありますが「プチプチ」と言えば、たいていの人にすぐに理解してもらえるのですが、「気泡緩衝材」と言うと「ん?  何のこと?」と聞き返されてしまうかもしれない──なんとも難しい問題です。。

 正式な文書などはさておき、日常会話ではBubble Wrapと「プチプチ」でいいんじゃないでしょうかねぇ……What do you think?  (皆さんはどう思います? )。

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最終更新:6/13(日) 13:01

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