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「不登校の原因が担任…」親はどう対処すべき?

5/15 21:01 配信

東洋経済オンライン

学校に対して感じている悩みを、学校にどう相談すればいいでしょうか。相談してきちんと対応してくれるのか、モンスターペアレントと言われないか、悩んでいる保護者が少なくありません。今回は「担任が原因で子どもが不登校になった場合、どこに相談すればよいのか」という保護者から寄せられた質問について、くまゆうこ氏、小野田正利氏、鬼澤秀昌氏が回答します。
※本稿はくま氏、小野田氏、鬼澤氏の共著『学校あるあるトラブル18 保護者のお悩み解決します!』から一部抜粋・再構成したものです。

前回:担任に不満の親に捧ぐ「モンペ化しない」対処法

■不登校の問題は教育界全体が真摯に捉えている

Q.担任が原因で子どもが不登校に。どこにどう相談すればいいのでしょうか。
1年生の終わりから担任との積み重なったいろいろなことで糸が切れ、不登校になりました。先生の怒鳴り声が聞こえると、不眠がちになりました。1年以上経ってから登校を自分からし始めた時期もありましたが、今はコロナへの不安も強く不登校が続いています。

いつかまた自分から動き出すまでできることをサポートしようと思っていますが、今以上にどんな方法があるのか分かりません。勉強第一とは考えていませんが、今後のこと、自立に向けてのことを考えるとやはり不安です。学校側からも「見守りましょう」と言われてもただの問題先延ばしとしか思えない自分の心境のときもあります。
何度伝えても、横のつながりが薄い、情報共有がされていないと感じることが多く学校内での情報共有の仕組みはどのようになされているものなのでしょうか。

A.不登校が確認されると、校内協議されるはずです。
 くま:担任の先生に子どもの現状を伝えているけど、他の先生には知らせていなくて、改善を望んだ際に担任の先生との押し問答が続いてしまう、というケースは、いじめの事例でもよく聞く話ですね。「なんで共有してくれないのか」と保護者は不安に感じてしまいます。

 小野田:まず広く、不登校について考えてみたいです。理由が分からず、「わが子が学校に行かない」というのは、率直につらいことです。そして不登校の問題は教育界全体として真摯に捉えていて、学校レベルでは不登校に対応する「教育相談担当」「不登校支援担当」など役割をもっている先生が必ずいます。一方で、そうした方も担任をもちながらではあるので、必ず迅速にその先生の耳に入るかというと絶対はないです。

 まず不登校が確認された場合の、一般的な情報共有の仕組みについて整理します。学校は子どもが欠席をすると、「発熱」など欠席の理由を必ず確認します。そのうえで、1~2週間と長きにわたって休む子どもがいる場合、不登校について話し合う委員会が設けられてそこで話し合いが行われます。

 そこで話し合われて立てられる対策としては、まずは親御さんと連絡を取る、次は連絡帳やプリントなどを渡すために、家庭訪問や電話など、なるべくその子と連絡を取るように努めます。

 もちろん、学校の先生が原因と考えられる不登校の場合は、その先生が担任であっても、直接会うことは通常避けます。

 次に、どうしても教室復帰が厳しければ、学校の空き教室や保健室に登校して別の先生や校長先生と一緒に勉強することを提案する。それでも学校が厳しければ、各自治体に「教育支援センター」という施設があるので、そこで勉強を進める形を提案する流れです。ただしここは施設容量の問題もあるので、通えるのは週に何日だけと決まっている場合もありますね。

 こうしたところでリズムを取り戻しながら復帰へともっていきます。さらに厳しければフリースクールなどを考えるのですが、お金がかかりますし、自分に合う、合わないなどもあるので家庭の選択が必要になります。

 学校外で言うと、電話相談や臨床心理士さんと会うなど、各市町村に整っていますので、そういうところに学校がつないでくれないなら相談してみることがよいでしょう。臨床的な視点など別の視点から適切な対応の案が出てくると思います。

 仕組みとしてはこのような全体図です。質問者さんは1年次の担任の関わりがあるとのことですが、もしかしたらその担任はもうその学校にはいないかもしれません。原因が排除されたけれども先生という存在に不信感を感じている場合もあると思います。すぐには解決につながりませんが、臨床心理士さんとの対話などが提案できるでしょう。

 また、不登校の原因は複層的なことが多いです。

■学校以外での休息が必要な場合もある

 次に見守る、という視点について考えたいと思います。1つ知っておきたいのは教育関係全体の動きとしては、必ずしも「不登校する子どもが悪」だとは最近は見なくなってきています。親御さんだけで抱えないでほしいのです。

 鬼澤:そうですね。法律でも2016年に成立しました「教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)」の中で、「休息の必要性もふまえ」という文言が書かれたこともあり、学校としても、不登校を問題として捉えずに、「必要な休息もある」という前提で捉えていく雰囲気が広がっています。知らない先生もいると思いますが。

 制度としてはそういう前提で、法律に基づいて、フリースクールとか、学校外の施設での学習を出席扱いにすることついても見直されました。「学校復帰を前提としないといけない」と通知があったのですが、確保法の後に通知が変更されてその部分が削除され、「復帰した場合に問題がないように」という書き方になりました。

 通知も復帰を前提としないとなりましたので、行政として「必ず学校に行かせよう」という姿勢ではないと思います。

 とはいえ、学校から「様子を見ましょう」と言われるだけでは不安ですし、それが適切な対応か分からない場合は、外部に相談に行くのは選択肢の1つでしょう。本人がかなり辛い状況だとカウンセリングに行ってみる、少し待ってみて、ちょっと元気が出てきたタイミングで学校を推す、そのタイミングを図る、という付き合い方でしょうか。

 カウンセリングの同行などで仕事休まないといけないとなると、辛いですが、頑張れない子を頑張れとはっぱかけるのは、子どもとしては辛いかもしれません。親のその不安もカウンセリングにいって吐き出しましょう。

■不登校には明確な原因がないことも

小野田:漫画で不登校の子どもを親の視点で書いた体験ベースのインターネットの記事を見ましたので紹介します。「【前編】長い不登校期間「寄り添い方」がわからない……。追いつめられていくママのお話」

 「いじめやトラブルなどの大きな原因はなく、ただ『学校に行けない』」という中学生への寄り添い方が分からないお母さんの視点で描かれています。最初カウンセラーに「家を安心できる場所にしましょう」と言われるのですね。

 子どもは家で元気にゲームしていて、見守る。その中で「どんなときも懸命に向き合って、息子第一で育ててきたのに不登校になってしまった……」「でも親として逃げるわけにもいかず、それが母親にとってどんなに辛く、苦しいことか、誰にもわかってもらえない……」という思いに至ります。

 その後スクールカウンセラーとの面談で、「不登校は誰にでもなる可能性があるんです」「不登校の期間は人それぞれですが、不登校期間はその子にとって必要不可欠なんです」と。最終的には、ある日充電ができたのか、学校に行き、高校進学の勉強を始めます。何か明確な原因がすぐに分かる場合がないということを描いていて勉強になりました。

 不登校は不安です。でも親の学校復帰を急ぐスピードと、子どもの成熟していくスピードがずれていることもあります。その中で日常生活が安定しているかは気にしたいですね。生活リズムはうまくいっていて食事もしっかり食べているのか、それとも昼夜逆転しているのか、後者だと学校というよりはネットゲーム依存などの相談機関が最近はできてきていますので、相談に行くとよいでしょう。

 くま:実際、何か決定的なトラブルが原因というわけではないけれども、というケースも確かにあるので悩ましいですよね。

 孤立の場合だと、例えば習い事をして、同学年の子と触れる機会をつくると、友達や学校のイメージが変わることもあります。親としか接しない状況から出してあげることが、改善のきっかけになることもあります。

 質問に戻って、親の不安の中には「なんで不登校の原因は学校にあったのに、自分の子どもだけこの教育を受けられない不平等を被るのか」という気持ちも当然芽生えていると思います。

■断りもなく机が片付けられていたケースも

 少し離れますが、不登校になってしばらくしたら断りもなく「机が片付けられていた」というケースも聞いたことがあります。「存在がなかったことにされている」ように感じる対応をされないといけないのか。そういう心理的なところまで考えていてほしいな、と思いますね。

 小野田先生にフローや機関を教えていただきましたが、学校が校内や保護者に情報共有してくれない原因やその際の改善策はあるのでしょうか。

小野田:個別のケースになるので難しいですが、こういう切り口もあります。文部科学省が「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」というのを毎年10月ごろに出しています。

 小学校の義務教育段階の令和元年度の調査結果を見ると、長期欠席者(30日以上)は、約9万3000人いました。不登校はそのうち約5万3000人でその差は4万人あります。

 その中で「病気」が2万3000人います。「病気」のケースは、朝起きられない起立性障害や、対人恐怖など診断がなされている場合も含みます。重度の場合は特別支援学校がありますから、病院で診断してもらうことで、より適切な子どもの学ぶ場所を選ぶことができます。あとは基本的に「その他」に数えられています。令和元年度は1万6000人(17.7%)います。

 もちろん、不登校の原因は複層的であることがありますので、何か1つの理由に限定できない場合も「その他」となるわけなのですが、「その他」が約2割もいたら統計の取り方がおかしいという指摘があります。

 文部科学省は最近、「不登校傾向のその他」「病気傾向のその他」と出してくださいと通知を出し始めていますが、その長期欠席の状況を「病気」とするか「不登校」とするか、あるいは「その他」とするかは学校の判断によるわけです。

 これは自治体によっても差がありまして、「病気」や「その他」がやたら多い自治体があるんですよね……もちろん、統計が全ておかしいとは数値を見るだけで言えませんが、東北6県は「その他」が5%と少なくて、原因をしっかり把握している印象です。

 つまり、欠席の電話を「調子悪くて……」とすると「ああ、病気ですね」とすぐに判断する体質の先生・学校はある程度あるのかもしれません。親御さんからすると、「病気」以外で「行かない」と子どもが感じている事実があるならば、学校がそれをどう捉えているのかをすり合わせておく必要があるのです。話がかみ合わないとき、不登校でなく、「病気」と安直に捉えられている可能性があるかもしれません。

■「家庭が悪い」「学校が悪い」となりがち

 鬼澤:加えて、統計の見方という視点では、調査主体の視点からも考えてみたいです。先の文部科学省の調査は学校が上に上げるものなので、「家庭の不和」とかが原因に上がったりするのです。

他方で、これは中学生を相手にしていますが、NHKが子どもに身近なSNSの「LINE」を使って直接調査したら、「学校の要因」とする回答が20%ありました。文部科学省の調査では2.2%だったのです。(参照:NHK「未来スイッチ」『不登校、その先を考えてほしい』)

 くま:学校は家庭が悪いよね、家庭は学校が悪いよね、となりがちなのかもしれませんね。主役である子どもの中の原因について、しっかりと向き合うために、保護者、学校の先生、担任ではない先生、カウンセラーなど、話せるタイミングに話せる人が子どもに聞く環境を意識しておきたいです。そして言語化できる明確な理由がない場合があることも忘れてはいけませんね。

 学校だけの問題にはせず、家族として数多く選択肢を用意しつつ、学校にも適切な対応をお願いしたいところです。

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最終更新:5/15(土) 21:01

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