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ついに米国にインフレが来てしまったのか?

5/13 11:41 配信

THE PAGE

 アメリカで製造業の仕入れ価格が高水準となるなど、インフレへの懸念が出ています。これは一時的なものなのか。第一生命経済研究所・藤代宏一主任エコノミストの分析です。

仕入れ価格や販売価格のデータが上昇

 最近の米企業サーベイ(調査)では、企業段階におけるインフレ率上昇が強く示唆されており、金融政策に与える影響を含め、注目度が高まっています。製造業サーベイでは、仕入れ価格や販売価格を示す項目が顕著に上昇し、例えばISM製造業景況調査の内訳である「支払い価格指数」は2000年代後半の資源バブル期に匹敵する水準に到達しています。この1年超、米政策当局が空前の規模の景気対策を連発してきたこともあり、「いよいよインフレが到来してしまった」との懸念が一部にあります。

FRBも市場も「一時的な現象」との見方

 こうした値上げの波について、米連邦準備制度理事会(FRB)の高官は「一時的現象」という見方でほぼ一致しています。パウエル議長のほか、クラリダ副議長は「経済活動の再開に伴って、ある程度の上向きの動きはあるだろうが、長期間は持続しないことを示唆している」との見解を示しました。またタカ派で知られるクリーブランド地区連銀のメスター総裁も「今年予想されるインフレは、持続的な種類のものではないと考えている。このため、インフレ率がわれわれの望む軌道を超えて押し上げられるという明確な証拠がない限り、FRBは意思を持って忍耐強く対応する」としています。

 ここでいう「忍耐強く」とは、金融市場参加者とFRBの間でよく用いられる、ある種の合言葉のようなもので、そこには「金融緩和を続ける」という意味が内包されています。制御不能なインフレが起こるとは考えにくいので、景気回復を後押しするための金融緩和を長く続けるという姿勢です。

 その点、金融市場参加者もFRB高官と同じ見通しを有しているようです。現在から5年後を起点に、そこから5年間の平均的なインフレ率を金融市場参加者がどう予想しているかを示すとされる、5年先5年予想インフレ率(5年先スタート5年物フォワードレート・インフレスワップ)に目を向けると、経済活動正常化の道筋が開けてきた2021年に入った後も、2.4%程度を上限とする水準で安定を保っています。このことは、金融市場参加者がインフレ率上昇を一時的現象(≒5年以内)と見なしていることを意味していると考えられます。

今のところ「市場の混乱」は杞憂

 筆者は、現実のインフレ率上昇が(金融市場参加者の)予想インフレ率上昇を通じて名目金利を上昇させ、金融市場の混乱につながる展開もあると考えてきましたが、現在のところ、それは杞憂に終わっています。もちろん債券市場の予想インフレ率が正確であるとは限らず(※債券価格から逆算した予想インフレ率は債券市場の需給構造の影響を受けることが知られている)、また今後一段とコモディティ(商品先物)価格が上昇した場合に話が変わってくる可能性もありますが、こうした金融市場参加者の冷静な姿勢に鑑みると、近い将来に予想されるインフレ率上昇が大きな問題になる可能性は低いと思われます。

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※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

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最終更新:5/13(木) 14:03

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