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キャンピングカー3つの最新トレンドを探る

5/10 11:01 配信

東洋経済オンライン

 近年のアウトドアブームにより、キャンピングカーの需要が伸びている。業界団体の日本RV協会が行った会員製造メーカーへの調査によれば、2019年の保有台数(出荷台数と輸入台数の合計から廃棄台数を引いた数)は11万9400台に達した。10年前の2009年が6万8000台であったから増加幅は5万台以上で、とくにブームとなったここ数年は、毎年6000台単位で増加しており、伸び幅は例年になく大きい。

 そして需要の伸びは競争も生む。キャンピングカーを所有したい新規ユーザーが増えたこともあり、自社製品の独自性や他社製品との差別化などがより求められてきている。同時に長年にわたり自社製品を購入してくれている、「目が肥えた」常連の顧客を満足させるだけの品質向上も求められる。さらに新規参入企業の存在も、競争を激化させる要因だ。

 そんなキャンピングカー業界では、現在、各メーカーがさまざまな取り組みを行い、自社の強みを活かした多様な新製品の開発を進めている。ジャパンキャンピングカーショー2021(4月2~4日・幕張メッセ)では、多岐にわたる新たなニーズに対応した新型モデルが多数展示されたが、その中でもこちらでは、最新のトレンドを取り入れた注目作を紹介しよう。

■キーワード01 家電製品を便利に使う「充電システム」

 キャンプ場などで快適な居住空間が求められるキャンピングカーでは、近年、家庭用エアコンや電子レンジ、液晶テレビなどの家電製品を搭載したモデルが増えている。特にエアコン搭載はトレンドのひとつで、就寝中はもちろん、日中でも同伴したペットを車内へ残して出かける際の熱中症対策としてニーズが高い。

 だが、難点は消費電力が大きいことだ。一般的なキャンピングカーには、室内でくつろいだり、就寝したりしている間でもエンジンを始動させずに電力供給できるように、サブバッテリーが搭載されている。ところが、どんなに大容量タイプを搭載しても、夏場の夜間にエアコンを作動させるなど、使用状況によって翌朝に電力が空になってしまうケースもある。走行すれば充電可能だが、従来の給電システムでは、満充電に10時間以上必要なものがほとんどで、長時間エンジンを始動させなければならなかった。しかし、エンジンを10時間始動し続けることは、排ガスやマナーの問題でキャンプ場では難しい。よって連泊する場合は、日中に長い間の走行が必要だが、それではゆっくりとキャンプを楽しめない。

 そんな課題を解消するために開発されたのが、ナッツRV(本社・福岡県)の「ハイパーエボリューション」という充電システムだ。同社の新型フラッグシップモデル「ボーダーバンクス」に搭載されている。

 トヨタのマイクロバス「コースター」をベースにした当モデルは、シャーシや駆動系、エンジンなどのみ残し、運転席を含むキャビンをすべてオリジナルに架装したフルコン(フルコンバージョンの略)と呼ばれるタイプだ。ボディサイズは全長6255mm×全幅2230mm×全高3020mmで、欧米製キャンピングカーを凌ぐほどの迫力や高級感があるフォルムを持つ。ボディサイズは全長6255mm×全幅2230mm×全高3020mmで、欧米製キャンピングカーを凌ぐほどの迫力や高級感があるフォルムを持つ。

 また広い室内には、ロングソファも置けるリビング(タイプLの場合)や使い勝手が良好なキッチンなどを装備。後部の常設ベッドルームには1400mm×2020mmのダブルベッドを搭載するほか、前方上部にもバンクベッドと呼ばれる就寝スペースを持ち、1580mm×2020mmの広い空間を確保する。加えて、容量110Lの冷蔵庫や家庭用エアコン、電子レンジ、19インチ液晶テレビなどの家電製品も装備し、快適かつ上質な居住空間を演出している。乗車定員は6~7名乗車、就寝人数5~6名(グレードで異なる)。価格(税込)は、展示車の場合で1577万4000円だ。

■ナッツRVのハイパーエボリューションとは? 

 搭載する新しい充電システムは、独自の技術を活用し、バッテリーへの急速充電を可能としたものだ。従来、同モデルには、「エボリューション」と名付けられた急速充電システムを採用していた。特徴は、昇圧充電を可能とする独自開発のインバーター充電方式などにより、エンジンがアイドリング状態のままでも、搭載する4つのサブバッテリーへの満充電を約4~5時間で可能にしたことだ。

 新システムでは、それをベースに昇圧充電がより進化した新開発の急速充電ユニットを採用し、充電時間をさらに短縮することに成功した。アイドリング状態でも約3~4時間でサブバッテリー4個を満充電にすることができる。

 サブバッテリーには、軽量で安全性が高いリン酸鉄リチウムイオンタイプを採用する。バッテリー本体のBMS(バッテリーマネジメントシステム)とシステムユニットの充電管理システムがダブルでバッテリー充電を制御することで、バッテリーの安全性や耐久性の向上も実現している。

 さらに外部給電システムも採用しているので、電源コンセントがあるキャンプ場などでは、エンジンを始動しなくても電力を供給できる。近年、キャンピングカーには、アウトドアでも自宅にいるような快適性を求めるニーズが高まっており、前述のとおり、家電製品の使用もそのひとつだ。当システムは、そういったユーザーの要望に応え、課題である電力供給を解決するための最新技術だといえる。

■キーワード02 有名ブランドをコラボした「インテリア」

 キャンピングカーでは、快適にくつろげるインテリアも重要なファクターだ。特に近年は、ユーザーの嗜好が多様化していることもあり、「洋風か和風か」といったスタイルの差別化はもちろん、家具や壁などの材質に高級木材を用いたり、畳敷きのフロアを使ったりなど、各メーカーはさまざまな工夫を凝らしている。

 そんな背景の中、今回のショーで面白かったのが、異業種メーカーとコラボレーションしたモデルが出ていたことだ。有名ブランドとコラボした家具を使ったモデルを出すことで話題性はもちろん、時代にマッチした新しいテイストを演出した仕様が展示されていた。

 中でも注目を浴びていたのが、トイファクトリー(本社・岐阜県)が人気家具メーカー「カリモク家具」とコラボレーションしたプレミアムモデル「BADEN karimoku version2021(バーデン・カリモク バージョン2021)」だ。カリモク家具は、1940年に愛知県刈谷市で創業した老舗の国産家具メーカーだ。高い木材加工技術と長年の使用に耐える堅牢性、シンプルだが飽きのこないデザイン性に定評があり、人気を博している。

 ベース車両には、トヨタの商用バン「ハイエース」を改造したトイファクトリーのフラッグシップ「バーデン」を使用する。ボディサイズは全長5380mm×全幅1920mm×全高2380mmで、乗車定員7名、就寝人数は5名。対面ソファを装備したダイネットや常設リアベッド、大容量の天井収納庫などを装備した人気のモデルだ。

 コラボモデルでは、棚などファニチャーの素材として、主に高品質かつ木目が美しいナラ材(オーク)を使用。各家具のデザインは、曲線を基調とし、エッジや張り出しを極力抑え、車内空間でも安らぎを得られる丸みをおびた設計が施されている。さらにシートやベッドのファブリックには、肌ざわりが良く耐久性に優れる生地を採用する。シートカラーには、優しい色使いのトパーズイエローと、シックで落ち着いた空間を醸し出すサファイアネイビーの2色から選ぶことが可能だ。価格(税込)は754万~840万円だ。

 ほかにも会場では、大手カー用品チェーンのオートバックスセブンが展開するカーレーベルのゴードンミラー モータースが、インテリアショップ「ジャーナルスタンダードファニチャー」とコラボレーションしたモデルを展示していた。

 ファッションブランドのジャーナルスタンダードが運営する同インテリアショップは、ヴィンテージ感を演出したオリジナル家具などが、若い世代を中心に支持を得ている。そのコラボモデルは、ハイエースをベースとした「GMLVAN V-01JSF」と、日産自動車の中型商用バン「NV200バネット」をベースにした「GMLVAN C-01JSF」の2台だ。いずれも運転席や2列目シートには、シックな印象のチェック柄生地を用いたカバーを装着し、シンプルながら現代風のインテリアを演出する。また、天井やテーブル、ラゲッジ部のフロアなどにはオーク材を使用することで、アウトドアによくマッチしたスタイルを実現している。

 これらモデルのコンセプトは、最近話題の「VAN LIFE(バンライフ)」だ。バンライフとは、自分の衣食住に必要な物だけを自動車に積み込み、アウトドアなどで車を中心に生活するライフスタイルのこと。元来、欧米で流行したものだが、メディアなどで紹介されたことで、最近は日本でも注目を浴びている。こうした若い世代に注目されているキーワードや人気家具ショップとのコラボは、増加傾向にあるキャンピングカー初心者をメインターゲットにしているためだろう。いずれにしろ、これら2台が持つ雰囲気は、既存メーカーが製作したキャンピングカーとは違うテイストが持ち味だけに、市場にどう受け入れられるのかが注目される。

■キーワード03 テレワークに向けた「移動オフィス」

 コロナ禍でテレワークが推進され、近年話題になっているのが「自動車のオフィス化」。自宅に作業スペースがない場合などに、自動車の車内でノートPCなどを開き仕事をするという考え方だ。また、最近は「ワーケーション」なる言葉も生まれた。こちらは、自動車で観光地や田舎町などに行き、休暇を取りながらリモートワークなどで働くことで、テレワークの延長線上にあるスタイルだ。

 そんな時代のニーズにキャンピングカーをマッチさせたのが、ケイワークス(本社・愛知県)の「オフィスカー」だ。トヨタのハイエースとホンダの軽商用車「N-VAN」をベースに移動式オフィスを提案した。

 ハイエースでは、4ナンバーの標準ボディをベースとし、本来3列目シートと荷室がある部分に、ノートPCなどが置ける引き出し式テーブル付き家具や、大人2名が座れるソファなどといったオフィス空間を配置する。また、もともと2列目シートがあった部分にもソファやテーブルを置き、オンラインミーティングや休憩などでくつろげる空間も演出する。加えて、ケイワークスが新開発した水平に屋根が上がる「エレベーター式ポップアップルーフ」も採用する。これにより、天井がとても高く、極めて開放感が高い室内を実現している。

 ほかにも冷暖房エアコンや18Lのポータブル冷蔵庫といった家電製品も装備し、PCなどの電源が取れる100Vコンセントも2口を用意する。これらの電源には、大容量300Ahのリチウムイオン式サブバッテリーを搭載し、走行中やルーフに設置した300Wのソーラーパネルなどにより充電を可能とする。充実した電力確保により、作業中にエンジンを始動しなくても快適な作業ができるのも特徴だ。なお、ソファはベッドにもなるため車中泊もできる。乗車定員5名に対し、就寝人数は3名。車体価格(税込)は、展示車の仕様で775万5000円だ。

■軽自動車をベースにしたワーケーションスタイル

 一方、N-VANの車内は、ハイエースのものよりコンパクトながら同様の引き出し式テーブル付き家具を装備し、ソファも1人掛け仕様を搭載する。ソファは、1人用のベッドにもできるため、車中泊にも対応する。また、リチウムイオン式の100Ahサブバッテリーやルーフに216Wソーラーパネルを搭載し、安定した電力供給を可能としている。

 軽自動車がベースのため、このモデルの場合はハイエースほどの車内スペースはない。だが、1人で気ままに出かけて、出先でワーケーションを楽しむといった用途であれば、十分に使える装備だ。なお、車体価格(税込)は、展示車の仕様で327万8000円だ。

 以上、キャンピングカーにおける最新のトレンドについて紹介したが、いずれも新しい試みだけに、これらが市場にどのようなインパクトを与えるのかは未知数だ。だが、コロナ禍で激変する時代や激化する業界内の競争下において、いずれも他社にはないオリジナル性を持つ点が興味深い。今後もさまざまな新しいシステムや技術などが生まれてくることで、ユーザーの利便性や快適性などが向上することに期待したい。

東洋経済オンライン

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最終更新:5/10(月) 11:01

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