IDでもっと便利に新規取得

ログイン

売れ残り物件で利回りアップ、歴20年の投資家の戦術《楽待新聞》

4/20 10:00 配信

不動産投資の楽待

「利回りは、自分のやり方次第で上げられる」

そう話すのは、約20年前から不動産投資を行う井上博之さん。本業は塗装会社の経営だが、埼玉県三郷市を中心に木造アパートなど20棟以上を所有するほか、飲食店4軒、都内を中心にコインランドリー16軒の運営、太陽光やレンタルオフィスにも投資を行う事業家だ。自社で管理する不動産の売り上げは、総額約8000万円に上る。

そんな彼は先日、「利回り7%」で楽待に掲載されていた物件を購入し、利回り12%で運営。さらにある仕掛けで13%にアップさせることができたという。どのような物件なのか、見せてもらった。

■「立地からすると低い利回り」で購入した物件

「購入したのは昨年。楽待で利回り7%で掲載されていて、ずっと売れ残っていた物件でした」

井上さんが6250万円で購入したのは、埼玉県三郷市の中古マンション。「三郷市という立地からすると、利回り7%は低い」(井上さん)というが、よく見ると店舗と居住部分1室ずつ空きがある現況利回りで掲載されていた。

「埋められれば問題ないだろう」と踏んで買い付けを入れると、その後、決済を迎えるまでに満室になったという。「特別なことは何もしていないんですよ(笑)。たまたま、運がよかったのかもしれない」と井上さんは笑うが、満室になったことで利回りは12%近くに。「12%で(ネットに)掲載されていたら、みんな飛びついていたでしょうね」と振り返る。

■1階にあった8平米の空間、どう使うか頭を悩ませ…

だが、この物件には1つ問題があった。1階に、わずか8平米ほどの空間があったのだ。もとはバスのチケット売り場として使われていたようだが、水道インフラもなく、空間も狭かったため、最初は物置として貸し出そうと思ったという。5000円ほどで入居者に提供しようと検討したが、借りる人もおらず、この考えは断念した。

もちろん、物件購入前からこの空間の存在を認識はしていたが、「あんまり眼中になかったかな(笑)。どうでもいいやというレベルだった」。

だが、2つの空室が埋まって満室になったことで、「この空間もなんとかしないと、と思った」そうだ。どうしたものかと考えていた井上さんがある日思いついたのが、「ミニコインランドリー」として活用する策だった。

すでに都内で16軒のコインランドリーを運営していた井上さん。自身のこれまでのノウハウをもとに中古の乾燥機をこの空間に5台導入し、現在は月に4万~5万円を売り上げている。

乾燥機だけを入れたのは、水道インフラがなく、引き入れ工事に費用と手間がかかることを鑑みた苦肉の策でもあったが、うまく需要とマッチしたと分析する。「(洗濯物を外に干しづらい)梅雨の時期を迎えれば、もっといい数字が出てくると思うんですよね」という。

家賃収入だけで月に60万円ほどあったが、ミニコインランドリーを設置したことで、利回りはさらに1%アップの約13%に。

中古乾燥機にかかった初期費用は約120万円、メンテナンスは定期清掃ついでに行っており、経費としてもガス・電気代として月に7000円程度かかるだけ。「単純に1部屋分の家賃がプラスになるくらいのインパクトはあるので、すごくいい案だったと思いますね」(井上さん)

■本業を守るために不動産投資に参入

そもそも、井上さんが不動産投資やそのほかの事業運営に関心を抱いたのは、「どうにか本業を守るため」だという。

建築現場での仕事をしつつ、定時制高校に通っていた井上さん。卒業後も塗装業に従事した後、数年後に独立した。

「親方になって何が楽しいって、自分自身で作業のペースを作れることなんですよ。下っ端として働いている頃は、親方に『休憩』と言われたら、作業がどんなにキリが悪くてもやめないといけない。怒られますからね(笑)。職人は、自分のキリがいいところまで続けたくなっちゃうものなんです」と、今は離れてしまった現場作業の面白さを熱く語る。

「自分の手でひとつの建築物がきれいになっていく様を見ていくのが塗装業の魅力。まるでプラモデルを作っているときみたいに楽しい」と話す井上さん。そんな大切な塗装会社を存続させるために、自社の収支についてもより深く考え始めるようになる。

建築・塗装業界では、資材や人件費などが先払いになるにもかかわらず、売上金が手元に入るのは工期の終わった後だ。「建築業界の収支システムは『後もらい』なんです」。売上を立てれば立てるほど運転資金が厳しくなる。この収支の期間のギャップを埋められないか―。そう考えて、入金の時期が異なる業態で新事業を行おうと、飲食店経営や不動産投資に乗り出した。

■不動産は「月銭ビジネス」

井上さんの不動産投資は古くなった団地の1室(約400万円)を現金で購入するところから始まり、これまで個人や会社名義で木造アパートなど20棟以上に投資。本業の塗装分野とは別に、不動産だけで8000万円ほどの売上が入ってくる状態だ。

「不動産は『月銭ビジネス』だと思っています。今風にいうと『サブスクリプション』でしょうか。毎月安定した収入が、先払いでいただける。我々の本業からすると、すごく良く見えますね。不動産のおかげで入金が安定して、本業も安心して成り立たせていけている面があると感じています」

本業である塗装を、物件の修繕で生かせるのも強みだ。「本業が暇だと、『この物件で修繕できそうだから買っちゃおうかな』とか、そんな風に考えることもありますよ(笑)」という。

■毎日物件探し、利回りは「自分のやり方次第」

出勤してパソコンを立ち上げ、不動産会社からの物件提案のメールなどを見るのが毎朝の楽しみという井上さん。楽待での物件探しも日課にしている。フリーワードで「三郷市」と入力し、掲載されている物件を眺めているそうだ。

「毎日見ているから、そこまで(掲載物件に)代わり映えはしないですけどね(笑)。でも、たまにぽん、と新しく情報が入ってきたり、売れ残りの物件の価格が下がったりしている。それに、同じものを見続けていないと、『これ安いな』『これはちょっと割高だな』というのはわかりませんからね」

特に重視するのは住所。自身の地元でもある三郷市は、「住所を見ただけでどの立地が良いかわかるから、『この立地でこの広さでこの家賃は…』みたいに計算ができる」そうだ。もちろん利回りも確認するが、井上さんは「たとえ今6.7%で掲載されていたとしても、指値ができたりとか、空室を満室にしたりとか、結局自分のやり方次第で利回りを上げられる可能性はありますからね」と語る。

■物事の付加価値をいかに高めるか

これまでの事業運営の中では、「付加価値をいかに高めるか」に焦点を置いてきたという井上さん。

例えばコインランドリー事業も、もともとは新宿に持つレンタルオフィスで働くスタッフに、空いている時間で別の業務をやってもらえないか、とスタッフの付加価値を高めるために参入したものだった。最初は東京都内、それも山手線新宿駅~池袋駅に集中させて店舗を展開。多い時には、1店舗で月に80万円以上の売り上げもあった。

だが、現在はコインランドリー投資が一般に広く知れ渡るように。そのため、井上さんも「この先もどんどん続けたら収支を圧迫するな、と思い、ここ2年くらい、新規店舗は増やしていません」と、飽和状態に危機感を抱いている。

今後は、「儲かりそうだから、というより自分がやりたいことをやっていきたい」と話す。今力を入れているのは、観光農園作り。井上さんのパソコンのデスクトップにもこの農園の写真が設定されているほどの愛のこめようだ。

「ブルーベリーの観光農園をやりたいと思って、今苗を植えたり、精力的に活動しています。オープンは1~2年先になっちゃいますけど…」



これまで、さまざまな事業で成功してきた井上さん。その極意は、やはり与えられた環境に満足することなく、自分自身で工夫し、収益を生み出す努力を怠らないことだろう。

それは不動産投資でも全く同じこと。利回りが低い物件でも、もっと収益を上げられる手段はないか、と試行錯誤することが重要だ。

不動産投資の楽待

関連ニュース

最終更新:4/20(火) 10:00

不動産投資の楽待

投資信託ランキング

Yahoo!ファイナンスから投資信託の取引が可能に

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング