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ソフトバンクがオンライン診療に勝算見込む訳

4/12 6:01 配信

東洋経済オンライン

 コロナ禍で広がりつつあるオンライン診療で、新規参入が相次いでいる。通信大手のソフトバンクが2021年度上半期中にオンライン診療事業を始めることがわかった。手がけるのは、医療サービス子会社のヘルスケアテクノロジーズだ。

 同社は昨年7月に健康医療相談アプリ「HELPO(ヘルポ)」の提供を開始。現在は診察ではなく一般的な医療情報をチャット相談の形式で提供しており、自社で採用した数十名規模の医師や看護師、薬剤師が24時間対応する。ユーザーが相談を書き込むと、30秒以内に返信が来る仕組みだ。

4月12日発売の『週刊東洋経済』は「沸騰! 医療テックベンチャー」を特集。投資額が10年前の5倍に膨らみ、米中のIT大手なども参入する医療テックベンチャーの最前線を追っている。

 「病院に行くほどではないが、グーグルで検索しても的確な答えが見つからないということはよくある。何でも相談を投げ込んでもらって、医療従事者の知見とノウハウを提供するのが狙いだ」。ヘルスケアテクノロジーズの大石怜史社長はそう話す。

■医薬品の即日配達も

 ドラッグストアで購入できる一般用医薬品のネット販売や病院検索機能も提供し、相談内容に応じて薬の購入や病院での診察を促す。薬の配達地域は東京23区内のみだが、物流ベンチャーと提携し、夕方17時までに注文すればその日の夜21時までに届く。病院検索では「女性の医師がいる」「クレジットカード決済ができる」といった項目でフィルタリングが可能だ。また、ソフトバンクグループ内の検査会社と連携し、新型コロナウイルスのPCR検査も提供している。

 現在は法人や自治体を顧客とし、法人では従業員の福利厚生の一環として、自治体では国民健康保険の加入者への健康指導などとして使われている。サービス開始前にはソフトバンクの社員に実証実験を行い、7割が継続的な利用意向を示した。現在のヘルポの利用者数は非公開だが、2021年度中には数十万人規模を目指すという。「将来的には一般消費者への提供も計画している」(大石怜史社長)。

 今後展開するオンライン診療の事業は、独自にビデオ通話などのツールを開発するのではなく、医療機関に導入済みのシステムに接続する形になる計画だ。大石氏は、「クリニックごとにオンライン診療アプリを入れるのは不便。患者がヘルポのアプリを開けばワンストップで診察を受けられるようにしたい」と説明する。事前のチャット相談の内容を問診票として医療機関と共有し、診察時間を予測して予約を取りやすくするシステムも開発を進めている。

 コロナ禍での特例措置として、昨年4月に「初診」でのオンライン診療が解禁されてから1年が経過した。初めての診察や新たな症状・疾患の診察の場合、従来は対面が原則だった。だが新型コロナウイルスの院内感染などを防ぐため、厚生労働省は時限措置として規制緩和に踏み切った。コロナ禍でデジタル政策が加速したことを受け、厚労省は初診からのオンライン診療の恒久化に向けた検討を進めており、今秋の指針改定を目指す。これを商機とみる企業は増えている。

 実はヘルスケアテクノロジーズは、ソフトバンクグループの孫正義社長率いるソフトバンク・ビジョン・ファンドが400億円超を出資していた中国のヘルスケア企業、平安好医生(ピンアン・グッド・ドクター)との合弁事業だ。

 中国ではオンライン診療や薬のネット販売が急速に広がっている。「平安はヘルスケアのテック企業としてパイオニア。事業のノウハウ面で協力を得ている」(大石氏)。ちなみにへルポのデータはすべて日本国内のサーバーに保管され、平安側がアクセスできない体制を取っているという。

■さまざまな企業との提携で事業拡大へ

 将来的には健康診断のデータを活用した生活習慣病の予測や、ウェアラブル機器との連携、フィットネス動画の配信なども計画する。「すべてを自分たちではやらない。ベンチャーも含めてさまざまなソリューションを持つ企業と共創したい」と大石氏は話す。

 ソフトバンクは2017年に新規事業開発を担う「デジタルトランスフォーメーション本部」という部門を設立。ヘルスケアテクノロジーズもこの中から生まれた新規事業の1つだ。河西慎太郎本部長は組織の狙いについて、「ソフトバンクにとって次の柱になるものを育てたい。単にベンチャー投資をやるということではなく、パートナー企業を探して社会課題を解決できるような事業を一緒に作っていく」と説明する。

 「社内のハイパフォーマーを集めた」(河西氏)という本部のメンバーは、発足時に120人だったのが直近で240人まで増えた。そのうち半分がエンジニア、もう半分が事業企画やバックオフィスの人員が占めるという。ヘルスケア以外にも、物流やスマートシティなどの分野で事業提携や合弁設立などを進めている。

 データやテクノロジーの力で医療やヘルスケアが大きく変わろうとしている。激しい競争の中でソフトバンクはどこまで存在感を示せるか。

『週刊東洋経済』4月17日号の特集は「沸騰! 医療テックベンチャー」です。

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最終更新:4/12(月) 6:01

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