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三菱UFJ、「半沢頭取」が逆風下で挑む抜本改革

4/12 5:41 配信

東洋経済オンライン

「伝統的な商業銀行が成長ドライバーになるのは難しい」――。
昨年末の会見で三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の亀澤宏規社長がこう断言するほど、銀行を取り巻く経営環境は厳しい。低金利が長引き、従来の預金と貸し出しを中心としたビジネスモデルでは立ち行かなくなっているからだ。
向かい風が吹く中、4月1日付で傘下の三菱UFJ銀行の頭取が交代した。新頭取に就いたのは、13人の副頭取や専務を抜き、常務から抜擢された半沢淳一氏(56)だ。

変革期にある銀行をどう舵取りするのか。半沢新頭取に聞いた。

■経営課題の解決で成長余地はある

 ――銀行の成長性をどう見通していますか。

 国内商業銀行の業務のうち、預金・貸し出しについて言えば、厳しいのは間違いない。純粋に利ザヤが縮小しているからだ。ここを改善するのが(成長への)いちばん大きな道ではあるものの、残念ながら当面の間は無理だと言わざるをえない。

 一方で取引先の経営課題を解決し、手数料をいただく余地は十分にある。コロナ禍において経営課題を感じていない顧客はいない。アフターコロナへの対応、デジタル化の進展、非対面取引の増加に加え、気候変動にも対応しなければいけない。

 こうした課題に対し、顧客に言われてから動くのではなく、自ら(解決策を)提案する。これはわれわれがやりきれていなかった部分だ。タイミングをとらえた提案をきちんと行えば、収益を上げることはできる。コスト削減と両軸で取り組み、収益性を上げていく。

 ――収益力を高めるうえで特に重点を置く分野は? 

 3つある。国内収益基盤の強化、グローバル事業の強靭化、環境・社会課題の解決への貢献だ。

 国内では(富裕層向けビジネスの)ウェルスマネジメントや法人向けの分野で課題解決型の提案を行い、デジタル化も進める。この5年間で店舗に来店する顧客の数は半分になったが、ネットでの取引は2.5倍に増えている。顧客起点で考え、オンライン上の取引でも使い勝手のいいサービスを作っていく。

 グローバル事業はこれまで海外銀行を買収してきたが、2019年のインドネシア・バンクダナモンの子会社化で一定のメドがついた。量的な拡大を終え、これからはしっかりとシナジーをあげて果実をとる。

 ――買収子会社とは具体的にどんなシナジーを考えていますか? 

 例えば東南アジアには4つの子会社を持っている。その4行の間でのシナジーもあるし、4行とMUFGとの連携や、2020年2月に出資して業務提携した東南アジアの配車アプリ大手のGrab社との連携も考えられる。

 わかりやすいのはGrab社との連携だろう。現在、(子会社の)タイのアユタヤ銀行でGrabのドライバーや加盟店に対する融資を行うビジネスが始まっている。これをインドネシアなどにも広げる。将来は対象をGrabのユーザーにも広げることも考えられる。

■本館を建て替え提案力を高める

 環境・社会問題においては特に、気候変動対応に焦点が当たっている。もはや環境問題というより、産業構造の問題になっている。そうした流れに対応できるよう、顧客の支援を行う。

 これらを実現するには、グループの総合力を発揮して、スピード感を持って付加価値の高い提案を行うことが必要だ。

 そのために、銀行の本館を建て替えようと考えている。そこに持ち株会社(MUFG)と傘下の銀行・信託・証券を集約する。本部の人員数を減らし、管理コストも引き下げながら提案力を高める。

 現在はグループ内で丸の内と大手町に9つのビルがあり、1万9000人が働いている。これまでは(1カ所に)この人数を集約するのは難しかった。

 それがコロナ禍で在宅勤務の比率が上がり、実現可能になった。現在、銀行の本部は50~60%の社員が在宅勤務だ。

 新しい働き方にも適したビルのあり方を考えながら、2022年度中には詳細を固めて取り壊し、着工したいと考えている。

 ――足元では新型コロナの影響により、多くの企業が資金難に陥っています。

 資金需要は2020年の4~5月をピークに落ち着いていたが、2021年3月ごろからまた少しずつ増えてきた。特にホテル、小売り、旅行、サービスなど個人消費関連の企業は厳しく、資金ニーズが増えている。

 緊急事態宣言は解除されたものの、(感染再拡大への)懸念を持ちながら経済活動をしている。おそらく2021年度もコロナ禍以前の状態に戻ることは難しい。

■事業再生ノウハウを持った人員で対応

 回復の遅い会社は注視が必要だ。コロナで産業構造が変わり、元の状態に戻れない企業には、ビジネスを変えるための新しい業務内容を提案しなければいけない。

 その意味で、2021年度は重要な1年になる。2020年度も大変だった年であることは間違いないが、まずは「(資金で)つなぐ」1年だった。

 しかし足元では「この企業はコロナ前(の経営状態)に戻る」「この企業は戻らない」という違いが明確に見えてきている。2021年度は将来を展望し、その企業をどうするかという(提案型の)支援の比重が高まる。

 ――経営が厳しい企業の支援に対応する社内体制は十分ですか。

 事業再生の経験をしている人がどの程度残っているかという問題はある。ただ、融資担当の部署には2000年頃からずっと融資を担当し、ノウハウを持っている人材がいる。注視しなければいけない数百社については、本部の融資部で個別に対応していく。

東洋経済オンライン

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最終更新:4/12(月) 5:41

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