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還暦を迎えた「東京メトロ日比谷線」、苦難と発展の歴史とは

4/12 6:01 配信

ダイヤモンド・オンライン

 東京メトロ日比谷線は今年3月、1961年の開業から60年を迎えた。昨年6月には56年ぶりの新駅となる虎ノ門ヒルズ駅が開業するなど変わり続ける日比谷線の、これまでの歴史を振り返ってみたい。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

● 開業60周年を迎えた 東京メトロ日比谷線

 東京メトロ日比谷線は3月28日、人間でいえば「還暦」にあたる開業60周年を迎えた。日比谷線は1961年3月28日に南千住~仲御徒町間で開業すると、1964年の東京オリンピック大会までの全線開通を目指して昼夜突貫工事が進められ、1964年8月29日に北千住~中目黒間が全通した。

 日比谷線のルーツは、1925年に策定された地下鉄整備計画「東京都市計画高速度交通機関路線」の2号線にさかのぼる。当初の構想では、目黒付近から東京駅付近、浅草橋を経由して南千住に至る路線とされていたが、1946年の計画改定で祐天寺から皇居の西側を経由して北千住に至る路線に改められ、さらに1957年に現在の中目黒から日比谷、八丁堀を経由して北千住に至る路線とされた。

 日比谷線は同時期に建設された都営浅草線とともに、郊外私鉄との相互直通運転を前提として建設された第1世代の路線である。銀座線と丸ノ内線は走行用レールの脇に設置した給電用レールから電気を取り入れる第三軌条方式の採用など、郊外私鉄と異なる車両規格を採用しており、郊外私鉄との直通運転は想定していなかった。

 日比谷線も当初は銀座線と同じ規格で建設する計画で、上野で銀座線と線路を接続し、銀座線の一部車両を日比谷線の南千住車庫に収容する構想があったという。

 しかし、郊外からの通勤需要の増加と、それに伴うターミナル駅での乗り換え客による混雑激化に対応すべく、新規に建設する地下鉄は郊外私鉄と線路を直結し、相互直通運転を行う方針が決定されたことから、通常の電車と同様に架線からパンタグラフで電気を取り入れる架空電車線方式で建設されることとなった。

 日比谷線は北千住で東武鉄道伊勢崎線と、中目黒で東急電鉄東横線と直通運転を実施することになり、前者は1962年5月から、後者は1964年7月から相互直通運転が開始された(東横線との相互直通運転は2013年に休止)。

● 全線開通から数年で 複数の事故が発生

 日比谷線は当初、東横線沿線の都市開発による将来の輸送需要の増加を考慮し、八丁堀~中目黒間は8両編成に対応したホームで、北千住~茅場町間は6両編成に対応したホームで建設された。ところが、開業してみると伊勢崎線沿線で都市開発が予想以上に進んだため、北千住~茅場町間においても順次、8両編成への対応工事が行われている。

 それまで伊勢崎線から都心に出るには、終点の浅草で銀座線に乗り換えるか、北千住で常磐線に乗り換え、日暮里で山手線か京浜東北線に乗り換える必要があった。それが日比谷線との相互直通運転開始により、乗り換えなしで銀座、日比谷まで出られるようになったことで、沿線人口が爆発的に増えたのだ。相互直通運転の威力を見せつけた格好である。

 一方で、日比谷線は営団地下鉄における鬼門だったと言えよう。全通間もない1966年12月には、直通先の東武線西新井駅で東武大師線の電車と日比谷線の電車が衝突する事故が発生し、乗客7人が死亡した。

 1967年9月には中目黒駅構内の折り返し線で車両が車止めを破って脱線する事故が発生。1968年1月には神谷町駅で回送中の車両から出火し、1両が全焼。「燃えない」とされていた地下鉄車両が全焼する事故は、関係者に衝撃を与え、鉄道車両の耐火基準の見直しにつながった。また同年5月には、東横線内の踏切でバスと接触して先頭車両が脱線。乗客1人が死亡する事故が起きている。

 90年代以降も、1992年4月に中目黒駅引き上げ線で回送列車が衝突する事故が発生。1995年3月の地下鉄サリン事件では2つの列車にサリンがまかれ、最多の死者を出した。2000年には中目黒駅構内で列車が脱線して対向列車と衝突。乗客5人が死亡し、64人が負傷している。

● 新型車両への置き換えで ホームドアの設置が可能に

 そんな日比谷線は近年、大きく様変わりしつつある。東京メトロは2016年から新型車両13000系、東武鉄道は2017年から新型車両70000系の導入を開始し、2020年までに全ての車両の置き換えが完了した。

 13000系と70000系は共通仕様で、ドア上に17インチ液晶式車内表示機を3台設置し、多言語案内に対応。全車両にフリースペースを設置し、車いす利用者やベビーカー利用者が使いやすい車両となっている。また、台車には走行安定性を高めるとともに、騒音や振動の低減を目的として、カーブに合わせて車軸が動く操舵台車を採用している。

 日比谷線の従来型車両は1両の長さが18mの8両編成(編成長144m)で、3ドア車と5ドア車が混在していたが、新型車両では20m4ドアの7両編成(編成長140m)となった。これにより東武線内の他の車両ともドアの位置と枚数が統一されたため、日比谷線および東武線内でホームドアの設置が可能になった。

 2021年4月1日現在、日比谷線内では中目黒、虎ノ門ヒルズ、秋葉原、上野、北千住の5駅にホームドアが設置されており、2022年度中に全駅で設置が完了する予定だ。東武線内でも既に新越谷駅にホームドアが設置されているほか、2021年度以降、北千住~北越谷間の各駅でホームドアの設置を進めていくとしている。

 日比谷線は車体の帯色や案内表示などでは灰色で表示されるため、ラインカラーは「グレー」だと思われがちだが、本当は「シルバー」である。老いてなお、磨けば光る日比谷線の活躍はこれからが本番だ。

ダイヤモンド・オンライン

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最終更新:4/12(月) 13:25

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