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効果的な1on1を実践する大前提は「何故やるか」をしっかり理解すること

4/12 6:01 配信

ダイヤモンド・オンライン

 著者の由井俊哉氏は、外部コンサルタントの立場で、ヤフーの1on1の現場への落とし込みを担当し、6万部突破のロングセラー『ヤフーの1on1』(本間浩輔著)、『1on1ミーティング』(本間浩輔、吉澤幸太著、ともにダイヤモンド社)の発行にも携わった。現在は、1on1導入の経験が最も豊富なコンサルタントとして、数多くの企業でマネジャー層を対象とした指導を行っている。本連載ではその経験を踏まえて、これまで言及してこなかった“1on1の導入法” “1on1の実践法”という具体論を展開する。

● 職場コミュニケーションの 希薄化を補う方法としての1on1

 1on1ミーティングは、今やすっかり職場コミュニケーションを改善するための一手法として、産業界に広がったように思います。

 私は人材マネジメントのコンサルティングや、研修講師を生業としていますが、現状、お引き受けする研修のほとんどが1on1の導入・定着をテーマにするものになりました。

 これほどまでに1on1が関心を集めている背景には、いくつもの要因がありそうです。

 (1)今までのマネジメント方法の限界
(2)「働き方改革」による労働時間の上限設定
(3)新型コロナ禍によるリモートワークの普及

 (1)~(3)は、時系列の変化です。

 直近の状況が(3)であり、リモートワークの広がりによって、職場のコミュニケーションがさらに希薄化しています。ですから、それを補うための方法として1on1に注目が集まるのは当然のように思われます。

 しかし、コロナ以前に、職場の課題は顕在化していました。それが上記(1)と(2)です。(2)時短によって、コミュニケーションは難易度を増していました。また、(1)は例えば年上の部下を持つようになった、というような新たな状況への対応です。それに(3)が加わって、私たちは組織のありよう、コミュニケーションの手法を、根本から見直さざるを得なくなった、といえます。

 1on1は、そのように積み重なった課題を、快刀乱麻を断つが如くに解決に導くわけではないでしょう。しかし、事態を改善するためにはかなり良い方法である、と思われているでしょうし、実際その通りではないかと考えられます。

● 人事部門からのアナウンスだけでは 1on1導入の目的理解が進みにくい

 ただ、1on1の現場での運用にあたっては、当のマネジャー層の間に当惑も広がり、混乱も生じているように見えます。

 例えば、1on1を何のためにやるのか、やれば何が起きるのか、意義や意味が腹落ちしていないというケースは珍しくありません。

 人事部主導で、あるいは経営トップの肝いりで「1on1をやれ!」と指示が降りてきた場合、「やり方」だけが伝えられる一方、意義や意味についての懇切丁寧な解説はなされない場合があります。

 巷で1on1が知られるようになった弊害かもしれませんが、「ヤフーがやってるアレだよ」だけでは正しい理解はなされません。

 人事部門からのアナウンスだけでは1on1導入の目的理解が進みにくく、これについては上司自らがメンバーに目的をしっかり伝えることができなければ、浸透は困難です。

 そこのところが曖昧なまま進められるケースでは、「やり方」もまた正しく伝わらない、ということが起こりがちなのです。

 例えば、「1on1は部下の話を聞くもの」という理解はいいのですが、「上司は自分自身の話をしたり、意見を言ってはいけない」という誤解が生じていることがあります。もちろん1on1は部下のための時間であり、部下が話したいことを話してもらう場であることに間違いありませんが、相互理解や対話を深めるためには、上司の意見や考えを伝えることも必要です。

 また、そもそも論として、コロナ禍以前にも、部下との間の対話が十分ではなかったというマネジャーは少なくありません。このような場合、制度として1on1が始まったとしても、部下が簡単に心を開くことはないでしょう。昨今話題の「心理的安全性」が確保されていない、という状態です。この場合、対話を通して信頼関係を醸成するには、少しの時間が必要です。

 マネジャーを対象とする1on1研修では、実際に対話をしてもらい、自分の話を聴いてもらうことの価値を感じてもらいます。すると、ほぼ例外なく受講者は「聴いてもらうこと」によって満足感を得ることを体感します。

● 「できていないところを指導する」 ことだけが上司の役割なのか?

 同時にマネジャーは、それまでの部下との接し方が一方的だったことにも気づきます。「部下をどのような存在として見ているか」ということが、自身の言動を決めていることに気づくのです。部下との日常的な関わり方については、部下の話を傾聴するよりも、自分の言いたいことを言うというマネジャーの方が多数であることは言うまでもありません。

 どうしてそうなるかというと、「部下は常に上司の指導を必要としている」「上司は部下のできていないところを指導する」ことが重要だと考えているケースが多いからです。

 ここで私は、受講者であるマネジャーに問いかけます。「あなたが若い頃、上司のどういうところが嫌でしたか?」。そうすると、みんなハッと気付きます。ダメ出しばかりで、言いたいことが言えなかった。上司の一方的な意見を押し付けられるばかりで、工夫したり、努力する気が失せてしまった ……。

 そこに気づくと、彼らの話法は変わります。部下の良いところを認め、期待をかけることで生じる効果について、あらためて必要性を感じるようになるからです。

 同時に、部下について知っていたつもりだったけれど、知らないことが多い、ということにも気がつきます。特に上意下達の文化が強い会社ほど、部下の仕事に対する価値観や実現したいこと(WILL)を把握していない。しかし、誰もが確信を持って正解を言えない変化の時代にあって、社員のWILLを問わない会社に可能性はありません。

 このように、1on1の実践を進めると、上司と部下との間の本質的な問題が明るみに出てきます。そして、上司が気づきを得ることで、部下への関与のしかたが変わります。だからこそ1on1は、多くの人のパワーを引き出す手法と言えるのです。

ダイヤモンド・オンライン

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最終更新:4/12(月) 6:01

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