IDでもっと便利に新規取得

ログイン

トヨタ「ランクル」次期型を大胆に予想してみた

4/11 8:01 配信

東洋経済オンライン

 トヨタの本格的4輪駆動車である「ランドクルーザー」が受注を終了した。次期型へ向けての動き出しだと思う。注目度の高い車種だけに次期モデルへの期待も高まるが、今回はランドクルーザーの総括として、誕生した背景や世界中で愛される理由、そして今後の展開を予測していく。

 現行のランドクルーザーは、2007年に前型からフルモデルチェンジをして今日に至る。デビューしてから14年というロングセラーモデルだ。その間、世界で520万台以上が販売された。年平均で40万台が販売された計算となる。また、初代からの累計販売台数は1000万台を突破しており、世界ブランドとして定着している様子がうかがえる。

 実際、テレビニュースなどで国際的支援の場での雄姿を目にする機会も多い。そうしたランドクルーザーへの大きな期待を世界から得る背景にあるのは、開発主査自ら販売地域へ出かけ、利用者の様子を確認し、改良の手を止めないことにある。日本のものづくりで重視される言葉に“現地・現物・現実”の三現主義があるが、まさに現地へおもむき、現地での使われ方を目の当たりにすることが、世界の利用者からの絶大な信頼を得る進化につながっているといえる。

■走行性能と耐久性が信頼を生んだ

 また、世界でも過酷な自動車競技と位置づけられるダカールラリーに長年参戦し、なおかつ、報道などではあまり目立たない量産市販車の部門に参加し、つねに上位に絡んでクラス優勝も数えきれないほどだ。あえて市販車部門に挑み、完走さえ難しい極限での環境で経験を積み、優れた成績を収めたことは、開発に役立っているはずだ。

 ほかに、トヨタは5大陸走破プロジェクトも実施し、ランドクルーザーに限らずさまざまな車種で世界の道を実際に体験することを行っている。豊田章男社長が就任して以来掲げる「もっといいクルマづくり」へ向けた活動が、道なき地域での移動を保証するランドクルーザーの進化に大きく貢献しているといえるだろう。

 具体的な仕向け地として、販売台数がもっとも多いのは中東地域だ。2020年の実績で10万2000台以上が販売されている。次いでオセアニアの4万7700台、北米の3万7800台、欧州とアフリカが3万台以上、そして国内と中国が2万台強の水準だ。ほかに中南米やアジアへも販売されている。ランドクルーザーの販売で圧倒的に多いのは、やや小型となるプラドのほうだが、それは取り回しのよさが好まれているのだろう。いずれにしても走行性能や信頼・耐久性がしっかりランドクルーザーで作り込まれているからこその実績であるはずだ。

 ランドクルーザーの競合と考えられるのは、アメリカのジープ「ラングラー」、英国のランドローバー「ディフェンダー」、そしてドイツのメルセデス・ベンツ「Gクラス」であろうか。いずれも、未舗装路を苦にせず走り通す猛者ばかりである。こうした本格的4輪駆動車の動力は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンが主体であった。それは、燃料の品質が必ずしもよくない地域においても、無事に走り切ることが何よりの条件となるからだ。実際、ランドクルーザーの開発においても、各地域で販売される燃料を使って耐久・信頼性の確認をしてきたといわれる。

■都市部での需要増を考えれば電動化が必然

 一方で国内外を含め、いずれの4輪駆動車も、このところ都市部で利用される機会が増えている。未舗装路を走ったことのない本格的4輪駆動車もかなりあるはずだ。そうなると、ほかの乗用車が電動化への移行を進めるなかで、ランドクルーザーも環境規制への対応も考慮しなければならない時代へ足を踏み込むことになっていくだろう。電動化と本格的4輪駆動車の相性はどうなのだろうか。

 技術面では、モーターはエンジンに比べ、約100倍速い応答が可能なので、ことに未舗装路で確かな接地性や駆動力を発揮させるには、モーターのほうがうってつけだ。より緻密な駆動力制御を行えるので、タイヤが滑りやすい路面状況であっても、姿勢を崩さず走破する能力をいっそう高められるはずだ。

 電動化は、日常的な保守管理においても、エンジンオイルの交換が必要ないため、より容易であったり楽であったりするはずだ。一般的にモーターの寿命は、車体が廃車となってもなお、次の車体で使えるといわれるほどだ。それほど耐久性に優れている。ブレーキ性能については、たとえブレーキパッドが摩耗しても、モーターであれば回生を利用して停止するまで減速することができる。もちろん、そのための制御が組み込まれていなければならないが、エンジン車では考えられない安全機能を持たせることも可能だ。

 ドイツのアウディは、2022年のダカールラリー参加に向けて、EV(電気自動車)の試作車を開発しているとの情報もある。環境性能はもちろん、走行性能においてもEVは、悪路走破に適合しやすい一面を持つ。一方でEVへの懸念は、充電だろう。世界にはまだ送電網が整備されていない地域がある。まして未舗装の荒野を走ることを考えれば、送電網を当てにすることはできない。それが最大の課題だ。

 それでも、EVで南極点へ走破しようという冒険家が日本にいる。充電は、太陽光と風力を合わせて行うというのだ。逆に燃料補給路のない場所でも、太陽光パネルと風力発電機を持ち運べは、どこでも充電ができる可能性はあるともいえる。もちろん、天候の影響は受けることになる。

■“レンジエクステンダー”という選択

 また、ダカールラリーを目指すアウディは、エンジンを使った発電機を搭載するとの話もある。悪路の走行性能に優れたモーター駆動を使いながら、エンジン発電機も併用するという案は、EVのレンジエクステンダーの発想に通じる。ちなみにレンジエクステンダーとは、エンジンを純粋な発電機として使い、プラグインハイブリッド車(PHEV)のように駆動力として用いないシステムだ。その目的は、電気自動車の航続距離を伸ばすことにある。

 たとえばBMWの「i3」は、当初からレンジエクステンダー仕様を車種に持っている。レンジエクステンダーを前提にすれば、大量の車載バッテリーを搭載する必要もなくなり、車両重量を抑えることにもつながる。そのうえで、未来のランドクルーザーはどのような仕様になるだろう。以下は、トヨタの思いとは異なるかもしれないが、私の考え方だ。

 これまでの文脈からすれば、都市での利用を考慮して電動化は避けられないだろう。そのうえで、未舗装の荒野でも従来どおり安心と信頼を保つ、命を守る移動手段としての役目を担うなら、モーター駆動とレンジエクステンダーの組み合わせ、または少なくともRAV4程度の一充電走行性能(95km)を備えたプラグインハイブリッド車が現実的ではないだろうか。

 こうすることで、日常的には排出ガスゼロでの利用が可能となり、都市での暮らしにも胸を張って利用できる。そして未舗装路で出たら、エンジンでの充電機能を活かしながらより長距離を走り続けることができるようにする。途中で充電設備がなくとも、ガソリンを補充することによってエンジンで発電し、モーター走行を続けられる。

 保守管理については、モーターの耐久性はすでに述べたとおりの長所があり、発電用エンジンについては従来どおり整備の知見があればできるだろう。また、そのエンジンは、発電主体の性能であれば、さまざまな燃料の水準にも対処できるはずだ。走行の動力としてもエンジンを使おうとすれば、より高性能である必要がある。だが、比較的一定回転で発電に使う発想であれば、それほど高性能を狙う必要もない。そのぶん、エンジンの保守管理も容易になるだろう。

■ランドクルーザーの電動化では発想の転換が求められる

 トヨタは、ガソリンエンジン車の燃費を2倍に高めることを狙いに独自のハイブリッドシステムを開発し、1997年にプリウスで世に出した。それから25年近くとなる今日では、エンジンのいっそうの効率を求めており、それには発電用と割り切るのがよい。日産は、発電用と割り切ることでガソリンエンジンの熱効率を50%にまで高める技術を構築できたと発表している。

 トヨタのシリーズ・パラレル方式ハイブリッドは、20年以上にわたり社会や環境に貢献してきた。しかし、ハイブリッド技術の貢献は、モーター駆動を主体としたシリーズ式に発想を変えることで、さらに広がりをもつことができるようになった。その延長が、EVのレンジエクステンダーだ。

 ランドクルーザーの電動化も、そうした発想の転換ができれば、世界を牽引し、未来を拓く本格的4輪駆動車の理想像を描いてゆけるのではないかと思う。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:4/11(日) 8:01

東洋経済オンライン

投資信託ランキング

Yahoo!ファイナンスから投資信託の取引が可能に

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング