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ふぉーかす SLR終了でドル安も

4/7 9:31 配信

トレーダーズ・ウェブ

 米連邦準備理事会(FRB)は3月31日、「補完的レバレッジ比率(SLR:Supplementary Leverage Ratio)」の条件緩和措置を予定通り終了した。FRBは、2008年のリーマンショックを受けて、大手銀行の健全性強化のために資産のリスク性にかかわらず大手行に一定の追加資本積み増しを義務づけた。分母の投融資量に、国債を含む有価証券保有額やデリバティブ取引などのエクスポージャー額などの帳簿外取引も加えた。しかし、2020年春の新型コロナウイルス感染拡大に伴う混乱への対応策として、米国債市場の流動性問題を解消し、銀行に融資継続を促すために、分母から銀行が保有する米国債やFRBに預ける準備預金を除外する緩和措置を、2020年4月1日から2021年3月31日までの時限措置として打ち出した。

 緩和措置により、金融機関は、損失に備える資本を積み増すことなく米国債保有などを増やすことができた。共和党やウォール街の金融機関は、金融システムと米国債市場に与える影響軽減のため3月末までの期限を延長するように要請していたが、民主党のウォーレン上院議員やブラウン上院銀行委員長は延長を認めないよう求めていた。2022年2月に任期を迎えるパウエルFRB議長は2期目の再任を目論んでおり、民主党の有力議員の支持を必要としていることから逆らえなかったのかもしれない。

 条件緩和措置終了に対しては、楽観論と悲観論が交錯している。楽観論としては、クレディ・スイス・グループの米国債ストラテジストであるポズサー氏が「SLR適用除外となった資産の圧倒的な大半は、実は銀行の事業子会社が保有しており、FRBが緩和対象とした銀行持ち株会社によって保有されてはいない。SLR条件の緩和措置が予定通り3月末で終了しても、市場の混乱は避けられる。FRBも市場も緩和措置の終了による大混乱を恐れることはない。銀行が売りを余儀なくされることはなく、米国債レポ市場の機能が制限されることにもならない」との見方を示している。

 悲観論としては、緩和措置の失効によって、金融機関が保有米国債の売却を余儀なくされることから、米国債下落、すなわち、米国債利回りの上昇、スワップスプレッドの縮小、レポ金利の上昇が警戒されている。BMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、クリーター氏は「約2000億ドル相当か、さらに大量の米国債が売られることをわれわれは想定している」と警告している。米国債相場の下落はドル買い要因となるが、金融機関の収益悪化ならば、ニューヨーク株式市場の伸び悩みから、リスク回避の円買い要因となる。

 FRBは、2023年末までゼロ金利政策の継続を表明しており、月1200億ドルの資産購入(800億ドルの米国債+400億ドルの住宅ローン担保証券)を継続していくことから、2000億ドル程度の米国債の売却への警戒感は杞憂なのかもしれない。

 今年の米国債相場やドル相場にとってのリスク要因は、バイデン政権の大規模財政支出による、財政赤字拡大、法人税増税、7月末に期限を迎える債務上限停止となっている。バイデン政権は、「より良き再建(Build Back Better)」を標榜して、3月11日に「米国救済法(American Rescue Plan:約1兆9000億ドル)」を成立させた。3月31日の「米雇用計画(American Jobs Plan:約2.25兆ドル)」に続いて、4月中旬には「米国家庭計画(American Family Plan)」を打ち出すと表明している。財源としては、トランプ前政権が35%から21%へ引き下げた法人税の28%への引き上げ、所得増税、ミニマム税21%などが示唆されている。

 イエレン財務長官は、大規模な財政出動をファイナンスするために、低金利の米国債増発を表明しているが、非居住者による米国債投資を誘引するには、高利回りかドル安によるドル建資産の割安感を示す必要がある。イエレン財務長官は、調達金利の上昇よりも、ドル安を誘導する可能性が高いことから、3月末のSLRの条件緩和措置の終了、7月末での債務上限の終了、財政赤字拡大を受けた米国債格下げ懸念によるドル下落に警戒すべきかもしれない。

 (為替情報部・山下政比呂)

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最終更新:4/7(水) 9:31

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