IDでもっと便利に新規取得

ログイン

地方の「40、50代男性」最近の婚活で苦労する訳

4/4 18:31 配信

東洋経済オンライン

 結婚相談所の経営者として婚活現場の第一線に立つ筆者が、日本の婚活事情について解説する本連載。今回のテーマは「地方の婚活」。各自治体が婚活の支援センターを開設したり、婚活イベントを活発に行っています。しかし、そうした出会いの場を創出しても、結婚に対する意識や価値観がズレているとうまくいきません。地方にありがちな婚活における問題点とは何でしょうか。

■地方の婚活に対する意識は遅れている

 10年ほど前から全国各地の婚活支援事業のお手伝いをするようになりました。多くの自治体で人口減少や少子高齢化に悩み、地元の人同士で結婚してもらおう、地元で暮らしてもらおうと婚活支援事業を頑張っています。しかし、私の感覚から見ると、地方の婚活者の結婚に対する意識は、東京と比較して30年くらい遅れているように思います。

 婚活支援として、セミナーとパーティーを主催しているケースも多いのですが、まず男性参加者が作業服や農業用の長靴でくることが少なくありません。作業服や長靴がダメ、ということではありませんが、パーティーにふさわしいとは言えないでしょう。

 例えば千葉だと女性は東京に働きに出ている人も多く、おしゃれで年収も高め。だから、長靴の男性はもう第一印象で選択肢からはずれてしまう。結果、女性だけで固まって、冷ややかな品評会となってしまうのです。

 主催者からは「パーティーで婚活を成功させる方法をセミナーで話してください」と言われるのですが、当日のことなので「ファッションは⋯⋯」と解説しても間に合わない。だから、「積極的に会話をしていきましょう」といったその場で実践できるアドバイスをするのですが、これもなかなか理想どおりにはいきません。

 私が男性の背中を突っついて「あっちに行って声をかけてみて」「飲み物を持って『おかわりしませんか?』とエスコートしてね」などとサポートをしないと、たいていどこの現場でも男女別に分かれてしまい、一部の女性の周りだけ5、6人の男性が集まっているような状態です。これにはどこの自治体も頭を痛めています。

 婚活者だけでなく職員、アドバイザーの方々への助言も行っています。アドバイザーは本職ではなく、一般市民からボランティアで募るケースもあります。

 行政の仕組みによって取り組み方はさまざまですが、パーティーを積極的に行う自治体もあれば、専任のアドバイザーがいて結婚までサポートする仕組みが存在するところもあります。本格的なところでは、県独自のシステムを作り県内に数カ所の相談センターを設けるなどして、すでに100組以上の成婚実績を出している自治体もあるほどです。

■「親との同居を望む男性」が多い

 独自のマッチングシステムを作っている自治体もあります。そこではインターネットで会員登録、相手探しができるようになっています。一般的な自治体は紙ベースなんです。窓口に行って入会書を書いて登録し、「この方どうですか」とプロフィールを見せてもらう。

 でも、窓口に行って紙に書かなければならないとなると「人目が気になる」という人が多い。狭いコミュニティなので「あの人、婚活センターにいたよ」とうわさになってしまいます。

 ですから、ネットで相手探しができるのはかなり進んでいますし、それだけ熱意が高いということの表れだと思います。その自治体での婚活における職員の方々の悩みでとくによく聞くものは、「女性がノーメークで来る」ということと、「若い女性が好きな男性が多い」ということ。

 あるとき「40代、50代の男性が『若い女性がいい』とばかり言う。どうしたらいいですか」と相談されました。 男性については、「ジムでもどこでも行って20代の男と並ばせなさい」とアドバイスしました。「20代の女の子がふだん付き合ってる男性はこうだよ」と。そうすると自分の体型などを見て、より現実的になるかもしれません。

 親問題の悩みもありました。「親と同居」を条件としているためなかなか結婚できず、40代、50代の男性が余ってしまう、と。

 婚活において「親と同居」は圧倒的に不利、いやほぼ無理と言っていいくらいです。なのに、男性は「同居して当たり前」「親もそうだから自分もそう」と信じて疑わない。アドバイザーさんたちには、「女性が社会に出て働いている時代。『昭和の時代とは結婚観がまったく違うんです』と口酸っぱく入会時に言いましょうね」とアドバイスしました。

 「親と同居」を条件にすると婚活では厳しいのは、地方に限らず東京でも同じです。弊社の会員でも親と同居を希望している男性がいますが、なかなか苦戦しています。

 知り合いの仲人さん50人以上に電話しまくって、「同居が条件なんです。ほかはなんでも言うことを聞きます。何もしなくていい、上げ膳据え膳でいい。精いっぱい大事にさせてもらいます」とお願いしても、「同居ですか?  同居はね、今どき難しいですね」と返されてしまう。

 同居にかろうじてOKが出るのは、港区や渋谷区といった超都心の二世帯住宅、しかも外階段の場合だけ。都内でも郊外だと避けられます。

■「隣に住んでね」と言われて結婚を断念

 女性会員の明子さん(仮名)は、マンションを1棟所有している男性ともうすぐ成婚というところまで行きました。ところが、最後に男性の両親にあいさつに行ったときに、「うちにお嫁さんに来てくれるのね。うちは4階だから隣に住んでね」と言われたそうです。明子さんはトボトボと帰って来て、この結婚を辞める決意をしました。

 彼女は、男性の実家と同じマンションはもちろんのこと、同じ駅を使うのも嫌だと言います。生活圏が同じだと、近所の人に目撃されて「あそこのうちのお嫁さん、派手な服を着ている」などとうわさされるおそれがある。だから5駅以上離れて暮らすことを希望していました。

 明子さんの気持ち、私もわかるような気がします。私も20年ほど前、雨が降っていたので傘をさして帰宅したら、夫に「今日、すごい派手な傘をさしてたんだってね」と言われたことがあるからです。近所の人から言われたんでしょうね。

 20年前とはいえ東京・世田谷でそのような状況です。地元で農業や商売を営んでいるような人であれば、ちょっとしたことでも簡単に姑の耳に入って、息子の耳に入って、本人に聞かされる。たまったものではありません。

 地域によっては「嫁の分際」というイメージもまだ残っています。昨年秋、東北の男性と結婚した千葉県出身の女性、恵美さん(仮名)。車のナンバーが千葉県内だったため、近所の人が「関東からコロナを持ってきた」と騒ぎだして、村八分状態になってしまいました。

 しかも、二世帯住宅で暮らしていたのですが、ことあるごとに姑から「うちのしきたりは⋯⋯」「うちに嫁いできたのだから⋯⋯」と口を出される。精神的にまいってしまい心療内科に行ったら、姑が「うちの嫁はおかしい」と近所に言いふらし、あげく恵美さん本人に対しても、ここには書けないような罵声を浴びせたそうです。

 あまりにひどい罵詈雑言に、恵美さんは耐えきれず夫に「助けて」と泣きながら電話で訴えたところ、夫は仕事を放り出して帰宅。母親を叱ってくれました。ところが姑は「なんで仕事中にいちいち嫁の一言、二言で帰ってくるの!」と逆ギレ。そんなことが何日も続いたとか⋯⋯。

 結婚前にこの姑にあいさつに行ったときは、ごく普通のお母さんだったそうです。ところが結婚した途端に「嫁の分際で」「嫁にもらってやったのに」「稼げもしないのに」「食べさしてやっている」「○○家に入ったんだから」といった暴言の連続だったそうです。

 今どき都市部の姑は、自分の娘よりもお嫁さんを大事にするぐらいですが、地域によってはまだ嫁は家の所有物のような扱い。自分が若いときには姑にいじめられたのだからあたりまえ、という考えもあるようです。

■価値観を新しくしないと問題は解消しない

 女性は昔と違って働いている人が多いので、価値観が変わってきています。それは地域に限らずどこの女性も同様です。しかし、男性、あるいは男性の家族の意識は変わっていない。

 とくに、閉鎖的な地域では新しい風がなかなか入らず、時が止まってしまいがち。このままでは女性は「都市のほうが、居心地がいい」と出ていってしまい、都市で出会った男性と結婚して地元には戻らず、地元の男性はあまるばかりです。

 農家では結婚したら妻に農業を手伝わせるところもあるようですが、農業をしたことがない人に「結婚したからやれ」と言うのは無理な話です。妻は妻ですでに自分の仕事があるでしょうし、農業をやる、やらないは妻の選択に委ねるべき。嫁は所有物ではないのです。

 男性側の意識を変えるしかない。地域を問わず、今の日本の結婚はどういうものか、今の独身の女性はどんなことを求めているか、理解する必要があります。

 コロナ禍でリモートワークが定着し、都市部の住まいを引き払って地元に帰るUターン、あるいは田舎暮らしをしてみたいとIターンする人も出てきています。そういう人たちが流入することでまた変化があるのではないかと期待しています。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:4/4(日) 18:31

東洋経済オンライン

投資信託ランキング

Yahoo!ファイナンスから投資信託の取引が可能に

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング