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改革を押し進め持続可能な成長をめざすインド、インド株式ファンドにもチャンス

4/2 17:36 配信

モーニングスター

 インド株式市場が上昇力を強めている。MSCIインド(配当込み、円ベース)は、年初から3月末までに13.94%上昇となり、同期間では米国(MSCI米国・配当込み、円ベース)の13.09%や中国(MSCI中国・配当込み、円ベース)の10.51%を超える上昇率になった。インド政府による農業改革の改正法には農家が、12の国営銀行のうち2行を民営化する計画には労組が、それぞれ反発して政府の掲げる改革の歩みは遅々としているが、それでもコロナ禍から立ち上がりつつある経済を株式市場は前向きに評価しているようだ。イーストスプリング・インベストメンツは4月1日に「インド株式市場の魅力」と題したレポートを発行し、インド株式投資にチャンスがあると注目を促している。
 

 イーストスプリング・インベストメンツ(シンガポール)のポートフォリオ・マネジャーのアナンド・グプタ(Anand Gupta)氏は、「過去5年間、数多くの外生的なショックがインドの企業収益を圧迫してきましたが、経済が回復し、改革が徐々に実を結ぶにつれて、企業収益は回復に向かう段階にきているのかもしれません」と、インド株式のアクティブ運用にチャンスが巡ってきているという見方を示している。
 

 グプタ氏は、インドの株式市場について、セクターの分散が効き、かつ、国内外に収益機会をバランスよく持っている企業群によって構成されていると評価している。たとえば、インド株式市場の大型株と中型株をカバーする代表的な株価指数である「MSCIインド・インデックス」において指数構成比率(2020年12月末現在)が17.33%を占める情報技術セクターは、企業収益のほとんどを国外の北米やヨーロッパから得ている。また、指数構成比5.96%のヘルスケアもかなりの部分を国外から得ている。「実際にインドは、世界のワクチン市場の約50%、アメリカで販売されるジェネリック医薬品の約40%、イギリスで販売される医薬品の約25%を製造しているのです」と指摘する。一方、指数構成比で最大の27.05%を占める金融や、3.23%の資本財・サービスは収益の源泉の多くが国内にあり、インド経済が好調な時には業績が向上する傾向がある。このように、特性のはっきりしたセクターがバランスよく存在しているのが、インド株式市場の特徴でもある。
 

 ただ、昨年までインド株式市場がなかなか上昇のきっかけをつかめなかったのは、インド政府による経済改革によるイレギュラーな変化が続いてきたことによる。たとえば、2016年後半にはインド準備銀行が、国内の銀行に対して資産査定(Asset Quality Review)を指示し、不良債権に対する適切な対処を迫った。この結果、銀行の貸し出しが鈍化し、企業の資金調達コストが上昇し、インド経済の打撃となった。また、同年11月8日には、偽札の撲滅をめざした高額紙幣の廃止が打ち出され、現金取引に依存しているインドの大規模な露天商や日雇い労働者等のインフォーマル経済に大打撃となった。さらに、2017年7月に全国規模の物品・サービス税(GST)の導入によってサプライチェーンが混乱して経済の足を引っ張り、2020年にはコロナ禍による大打撃を受けてしまった。
 

 グプタ氏は、「外生的なショックにより、インドのGDPに占める企業収益の割合は年々、下降の一途をたどりました。これによる、現在のインドの株式市場の株価収益率(PER)は、世界的にみてやや割高な水準となっています」と現状を分析している。インドのGDPに占める企業利益の割合は、2001年3月末に1.7%から、年々向上して2008年3月末に7.3%(ピーク)にまで拡大したものの、その後低下し、2018年3月末には1.6%と2001年3月末をも下回る水準になってしまった。2020年3月末には1.7%だったが、今後は徐々に上向く方向と予想されている。
 

 また、「バリュエーション(投資尺度)においては、1株あたり純資産に対する株価の倍率を示すPBR(株価純資産倍率)で見た場合、インド株式(MSCIインド・インデックス)は、先進国株式(MSCIワールド・インデックス)、新興国株式(MSCI新興国インデックス)それぞれとの相対比較(相対PBR)において、ともに過去平均を下回る水準にあることにも注目しています」としている。先進国株式に対する相対PBRは、過去平均の1.6程度に対して2020年12月末時点では1.2割れというマイナス1標準偏差を大幅に下回る歴史的な割安水準にあり、新興国株式に対する相対PBRは過去平均1.8に対して1.6と、マイナス1標準偏差の割安な水準にある。よほどのショックがやってこない限り、現在の株価水準から大きく下押すリスクは小さいといえるだろう。
 

 先の述べたように、未だにインドの経済改革は道半ばといえる。農業改革や国営企業改革には関係者の反発を招くなど、痛みの伴う改革が続いている。一方で、2021年度(21年4月~22年3月)の政府予算では、インフラ投資に割り当てる予算を2020年度から26%増額し、5.54兆ルピーに引き上げた他、教育、医療、栄養などの予算も増額が計画されている。痛みを伴う改革を断行しつつ、持続可能な成長をめざして着実に前進しているように見える。
 

 MSCIインド・インデックスの過去15年を振り返ってみると、2006年から2007年の世界経済の好調期には、MSCI米国インデックスを上回る上昇率を示し、反対にリーマンショックで世界的な不況に陥った2008年~2009年には米国などを大きく上回る急激な落ち込みとなった。MSCIインド・インデックスの2016年3月末を100とすると、リーマンショックの底である2009年1月に55.68ポイントに下落し、その後、2015年1月末の194.30ポイントまで緩やかに上昇した。その後は、200ポイントあたりで5年あまりにわたって横ばいを続け、2020年3月のコロナショックの下落を経て、出直ってきたところだ。
 

 リーマンショック後に、ほぼ一本調子に上昇を続けた米国株や米国を先導するように上昇した中国株が2016年3月末から2021年3月末には4倍程度に上昇したことと比較すると、インド株は約2.6倍と、米中と比較して出遅れ感は強い(ちなみに、日本は1.55倍と一層出遅れている)。コロナの行方に不透明感は残るものの、世界経済は最悪期を脱して出直り始めている。世界経済を追って回復するインドに注目したい。
 

 なお、イーストスプリング・インベストメンツが運用するインド株式投信は、「イーストスプリング・インド消費関連ファンド」「イーストスプリング・インド株式オープン」「イーストスプリング・インド株式ファンド」「イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド」など、ラインナップが充実している。(グラフは、MSCIインド・米国・中国・日本の各インデックスの過去15年間のトータルリターンの推移)
 

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最終更新:4/2(金) 17:36

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