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「きれいな資料」で報告する部下を、上司が褒めてはいけない「意外な理由」

3/30 5:01 配信

マネー現代

(文 高井 伸) ----------
豊富なデータや図表を使い、見やすいレイアウトでまとめられた「きれいな資料」。その資料を用いて理路整然と報告する部下。一見、何の問題もないようですが、そんな部下を手放しで評価するのはよくないと、株式会社インターパーク 取締役COOの高井伸氏は指摘します。上司なら押さえておくべき「きれいな資料」に潜む問題点とは? ----------

あなたにはこういう部下や同僚はいませんか?

 資料が整っている。報告もまとまっている。表現方法もウィットに富んでいてミーティング参加者のウケもいい。一見すると全く悪くない100点満点で、仕事ができる人に多い報告の仕方だと思います。

 では、なぜこういう部下を褒めてはいけないのか? 
 理由は大きく分けて2つで、

 1、きれいな報告資料の作成に割かれているリソースを、生産性の上がる仕事に充ててもらいたいから。
2、普段の仕事が忙しければ、報告業務に時間を物理的に割けないと思うから。

 だと思います。

 ただこれだけだと、いやいやそんな事言われても。報告する側にも都合がありますよ。会社から求められるんだから仕方でしょ。という反論があると思います。ごもっともです。ですので、これはさすがに暴論すぎるので理由を説明していこうと思います。

 きれいな資料で報告する部下を、褒めてはいけない理由。

 まず解説しないといけないのは、報告内容とリアルタイムで起きている事象に「情報の差分」が生まれるからダメだという内容です。

きれいな資料は「リアルタイムの情報」とかけ離れる

 前提を2つ説明します。

 1つ目は、報告とはクオリティの高さを追及すると、資料作成や論法立てに準備期間がかかるということ。2つ目は、報告とは「ある時点=報告起点時」からの振り返りになるということ。

 その2つの前提を掛け合わせると、報告とはクオリティを追及すればするほど、報告起点時をより前の日時にもっていかなければなりません。つまり報告内容のクオリティとリアルタイムの状況把握は、トレードオフの関係にあります。

 不確定、不確実、状況の移り変わりがとんでもなく早いVUCA時代といわれる今、ビジネスパーソンにとってはリアルタイムの動きを捉えることが何よりも大切です。つまり「きれいな資料」で失われた報告起点時から今現在の間に存在する「情報の差分」にこそ価値がつまっています。

 この差分を情報として得られないというのは、報告を受ける側にとっての大きな機会損失です。リアルタイムの情報という価値は今、急上昇中の流動資産であると言えます。

 褒めるという行為は「以後も同等かこれ以上を期待します」、という意味を含みます。ですので褒める事で、このレベルの報告は継続してくださいという上司から部下へのメッセージになります。

 そういう意味でも、「きれいな資料で報告する部下を褒めて」肯定してしまうと、いつまでもリアルタイムの情報は入ってこないことになってしまいます。入ってくる情報が鮮度に欠いているということは、報告を受ける側の判断精度も低くなりますし、今の社会トレンドからもズレていきます。

 さらに大きい会社であればあるほど、組織階層が深いので伝言ゲームに時間がかかってしまいクリティカルな問題に直結していきます。

 よって、「きれいな資料」で報告する部下を褒めてはいけないという結論になります。

なぜ部下はきれいな資料をつくるのか?

 この大きな要因は「詰められたくないから」ですね。

 だから資料を完璧にして論法のロジックも完璧に仕上げてきます。

 そう考えると、じゃあリアルタイムの情報を取得しよう! きれいな資料は褒めないでおこう! と考える前に、この「上司に詰められる問題」を解消しないと前に進みません。実は本テーマの課題は、きれいな資料をつくって報告する部下ではなく、むしろ報告を受ける上司や会社の考え方のほうにあります。

 報告する側(下)と、報告される側(上)という上下関係からの脱却が必要になってきます。

 報告をする部下と、報告を聞く上司という一方通行で縦の関係性から、今ある課題を共有して、解決方法を対話で探していく横の関係性へ。上下から左右フラットな関係性へ。この変化が必要になってきます。

労力の方向が生産性に向いていないから

 話を戻して「きれいな資料で報告」がダメだと思う理由をもう少し考えていきます。

 シンプルに報告者の実務が暇で、報告に過剰に手が回ってしまっているケースですね。これは普通にかなりあると思っています。

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これは炎上しちゃうかもなんですけど、綺麗な資料で、話も理路整然と完璧に報告する人って、ああ暇なんだろうなあって、思ってしまっていまう自分がいます。これは比較的ずっと思っています。
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― 高井伸@B2Bマーケターとして日本で482本の指には入る。事業開発なら560本の指に入る。 (@ttttttakai) March 11, 2021
 実は今回の記事を書かせて頂くきっかけになったTwitterのこの発言は、良くも悪くも反響が多かったので、世の中にそういう人、そう思っている人は一定数いるんだろうなと思っています。

 もうひとつは、サボっているわけではなく、労力の方向性がズレてしまっているというケースもあります。どういうことか。説明します。

 個人としても会社としても、報告内容としてのまとまりを優先させていると、結果的にやるべき仕事の優先順位が逆転しやすくなります。

 仕事をする上で優先順位として一番大事なことは、生産性を高めることです。振り返る報告業務は二の次です。この順序が逆転してしまっている。実務よりも報告にリソースが割かれてしまっている。この本末転倒な状態もよくありますよね。

 暇な人も、労力の方向性がズレてしまった人も、いずれも生産性に労力が向いていないというのが問題点ですね。

 きれいに報告することが大事なのではなく、今の実務の生産性を良くするために振り返るという原点回帰が、これからの報告では、より大事になってくるのではないでしょうか。

報告のアップデートが必要

 では、結局どうすればよいのか? 
 それには、わかりやすさからの脱却と、リアルタイムの追及という報告のアップデートが必要です。

 例えば、リアルタイムの情報を優先して報告するルールに変更すると、労力の方向性は生産性に向いていきます。過去の情報ではなく、今やっていることを報告しなければならないので、目の前の仕事を頑張るという頭に切り替わります。これはKPIも一緒に移行できるでしょう。

 その代わり現在進行形で動いている施策、結果待ちのプロジェクト、仮説段階のものを含めた現状報告なので、報告内容は当然まとまっていません。今までの報告のわかりやすさも失われます。

 報告を受ける側としては、そのカオスな状況から、事実をサーベイするヒアリング力が必要になりますし、課題解決にすぐに役立つインスピレーションやアイデアを部下に即時フィードバックできる能力も必要になります。報告する側よりも、むしろ報告される側のスキルが必要とされるようになります。

 最後に、「きれいな資料」を作成しない具体的な報告の方法をご説明しましょう。

 私の会社は、顧客管理システム「サスケ」というツールを提供するクラウド製品のメーカーなのですが、こういった情報共有ツールのダッシュボード機能を報告資料そのものとしてつかってしまうのはオススメです。

 運用もシンプルで、まず報告資料の作成はしないルールにして、資料作成の時間をなくします。リアルタイムの進捗が見れるダッシュボードを資料代わりにその画面を見ながらディスカッションをするという形ですね。

 上司が部下の粗を探すのではなく、今存在している粗を部下と共有し、対話を重ねていく。今抱えている課題、悩みを共有できる関係性が大事になりますので、チーム内の心理的安全もひとつキーワードになっていくでしょう。

 報告をバージョンアップさせるということは、関係性をバージョンアップさせることにつながりますし、さらにチームを、会社をバージョンアップさせていくことにつながっていきます。

 とっ散らかりましたが、「きれいな資料」で報告する部下を、褒めてはいけない理由は以上になります。

 一応、今さらですが、本テーマは社内間の報告、情報共有に閉じた話です。社外に出す報告資料は全く別の話ですのであしからず。

マネー現代

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最終更新:3/30(火) 9:31

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